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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
18/109

防衛線

少し残酷な描写が増えました。

少しグロ系です。

申し訳ない

要塞にたどり着いたマサル達輸送隊は、ここが終着ではない事がわかっていた。

自身らの力を見せる時だった。 さっそく連合の石や岩を城壁に持っていき、配置に着いた。


「さて、一当たりしますか!」


減っても、高級士官が多く犠牲になった状態でも残った士官によって継続されていた。

城門に迫る兵達に連合の物資が落とされ、下の兵を倒す。 その物資の中に手投げ弾も含まれているために多くの兵士が死傷する。 


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城門前・攻め手側


「一気に城門を破壊しろ!進まねば、死だ!」


幾人もの兵士達は破壊するための武器を持って門を叩くが、その彼らの上からは今までなかった岩や石、手投げ弾が降って来る様になった。 弓矢や弾は当たらなければ、平気だったが、石や岩は食らえば、それだけで致命傷になるし、手投げ弾の爆発は近くで炸裂すれば、手や足が持っていかれるし、後方へ搬送しなければ、いけなくなる。


「ちきしょう!あの連中が爆弾積んでいやがったんだな!くそ!退け!立て直しだ!」


こうして、仕切り直しの退却が始まったが、それも地獄だ。 

退き始めた軍勢に迫撃砲弾が降ってきた。 60mm砲弾だが、それでも脅威だった。

着弾の音が響くたびに断末魔の悲鳴が響く。 黒色土の地面を赤茶に染め上げるには十分な量の躯が重なった。


「俺たちは何のために戦ってんだ・・・。」


名もない兵士の呟きは振り下ろされた60mm迫撃砲弾という死神の鎌に吹き飛ばされるのであった。


   -----------------------------------

要塞城門・見張り台


「おれは夢を見ているのか?」


「心配するな。 俺も見ている・・・。」


彼らが眼下で見えているのは、阿鼻驚嘆の光景だった。

門の前の広場の惨状が想像を超えた。

石や岩は予想が着くが、爆弾は超えた。

獣人は銃は使えるが、爆弾は繊細な兵器であるために製造・運用が出来なかった。

輸送隊が持ってきた鹵獲品とはいえ、爆弾はありえない惨状を作り出した。


「彼らが敵でなくって良かったよ・・・。」


「それはいえるよ。 マジで。」


そして、音がやんだ時に広場は血の池が出来ていた。

何人もの兵士が重なって死んでいる。 体の欠損やありえない方向に曲がった死体も多くある。

敵が撤退したことを確認したことで、掃除をしようと外に出た兵士は嘔気に苦しんだ。

少し坂になっている門前は坂を下りるように何条もの血の川が流れていた。


「ここは地獄だ・・・。 魔女の窯の底はここにある」


獣人兵の一人がつぶやく。

帝国兵は翌日、もっと過酷な地獄を味わうのだった・・・。


   -----------------------------------

帝国軍・指揮陣幕内


「明日は虎の子の大砲で門を砲撃しよう!」


「いや!それは危険だ!唯一残った兵器だ。 もう少し慎重になるべきだ!」


「じゃあ!どうするんだ!」


互いに妙案だという物を相手が潰すを繰り返しの議論の末、手投げ弾が届かない場所から撃つという結論なった。 

とはいえ、残った兵器は対戦車砲しかも37mm。 それもたった5門しかない。

補給隊が来るのはまだあと。 それ以外は携行兵器のみという状態。

しかし、作戦は実行される。

夜明けとともに5門の虎の子が火を吹いた。

門に着弾するたびに歓声が沸く。 そして、帝国側は思った。


これならいける! 門に穴を開けてくれ!


その思いを吹き飛ばす物が虎の子を吹き飛ばした。

パンツァーファウストの一斉射撃。 

8本の凶悪な牙が、3門の虎の子を吹き飛ばし、他に1門の虎の子も片輪と大砲の台座を壊し、発砲不能にした。

これ以上の損傷は無意味と、撤退した。


「どうして、どうしてこうなった?」


    ----------------------------------

要塞・城門矢倉


「敵は砲兵を出してきた!」


「なに!どこだ!」


「門前!5門ある!」


見張りの兵の報告にマサルは双眼鏡で覗く。

ドアノッカー5門。

パンツァーファウストで攻撃を指示した。

8名の隊員が構える。


「撃て!」


8条の牙がドアノッカーを4門、ゴミにした。

最後のノッカーは生き残った砲兵によって、退却していった。


「多分、明日は凄惨な戦場になる。 そんな気がする。」


「そうならないと良いがな・・・。」


「敵とはいえ、死ぬのは辛いです。」


「その心は忘れないでくれ。」


マサルの独語に諦めめいた言葉を出すユリーダ。 悲しそうな声でいうエリザを優しく頭をなでながら伝えるマサル。 

明日は、どんな戦いになるだろうか・・・。 それは誰もわからない・・・。 わかりたくもない。

本音だ。


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攻め手・指揮陣幕


「大砲での攻撃にも失敗した。 やはり力押ししかあるまい。」


「だから言ったのだ!冷静に対応すべきだと!どうする気だ?力押しなど下の下だぞ!」


「では、どうしろと?このままでは、我らは全員が処刑か階級はく奪だぞ?!そっちこそどうすんだ!」


「・・・力押ししかあるまい。 残された道は。」


「ですが!「ならば、全員で自決しかない」・・・わかりました。」


こうして、帝国軍は力押しで進むことが決まった。

その夜の食事は豪華だった。

ある者は喜んだが、何かを察する者は悲壮な顔で、食事を食べた。

最後の晩餐だから・・・。


翌朝、先頭に立つ佐官クラスの声で、悲壮な戦いが火ぶたを切られた。


「全軍、突撃!!!!」「わーーーーー!」


二度と戻れない前進が始まった。


   --------------------------------------

要塞・見張り台


「警報!帝国軍の総攻めだ!」迎え撃て!」


見張り員が拡声器を手に叫ぶ。

塀の上で寝ていた兵は、飛び起きて近くにある銃を取塀の外へ向ける。

下にいた者も銃眼に機銃や小銃を突っ込んで、準備をした。 

マサルも塀に駆け上がり、銃を構えた。 近くに複数個の手投げ弾を置いて。

地鳴りのような声と共に梯子やハンマーを持った塀が押し寄せてきた。


「撃つな!まだ撃つなよ!」


指揮官たちは無駄弾を減らすために距離を詰めさせる。 そして、相手が兵や門、銃眼に向けて射撃を開始したと同時に発砲した。

ひきつけられるだけひきつけた射撃は、やはり多くの帝国兵を打倒した。 落ちた梯子を後ろの者が拾い、まえへ。 その繰り返しののちに城門までたどり着いた。

梯子を倒されないように人が乗り、重みを付ける。 そこを駆け上がろうとするが、そこを銃撃や石、熱湯が襲う。 敵も突入隊がやられないように下から銃撃をする。 しかし、どの梯子も登り切る前に落ちてしまう。 後続が続く。

 城門はハンマーや銃底で殴って、破壊しようとするが、そこに油や熱湯が襲い掛かる。

熱せられた油や湯に全身に浴びた者はしばらく転げまわったのちに動かなくなる。 少しでも掛かれば、痛みで下がるが、すぐに寄せてくる。 徐々に数の暴力で劣勢になり、押し切れなくなったときにマサルは悪魔の決断をした。


「このままでは・・・。 あれを持ってこい!背に腹は代えられない。」


「はっ!」


 火炎放射器の投入だった。

火炎放射器を装備した隊員の先発隊が10名。 やってきて、突破されかけた城壁で火を吹いた。

そこには全身を消えない炎に焼かれた帝国兵の姿があった。 断末魔の声と共に塀から火だるまのまま落ちる兵や盾ごと焼かれる兵士、梯子ごと焼かれた兵士。 たった10人で橋頭保を築こうとしていた帝国勢を燃やした。 さらに後続の隊員も城壁前にも銃眼を使用して、攻撃を開始したことで、門前も火炎の蛇がのたまう危険地帯に早変わりとなった。

数十分の火炎の共演は帝国側の多くの攻城兵器を焼き、兵士も火だるまにした。 化石燃料特有の嫌なにおいと共に、人の脂肪が焼けた匂いが混ざり、耐性のない獣人兵の多くが吐いた。 使用になれた隊員も実際の使用は初めてだったために、冷静になると吐くものが出た。

帝国側は立て直すことが出来ない程のダメージを受け、なし崩し的に撤退を始めた。 しかし、それは規律ある撤退ではなく、敗残兵の様な撤退だった。 

 ユリの偵察で判明したことだが、バズーカ襲撃で高級将官や佐官がほぼ全滅し、生き残った佐官が指揮を引き継いだ。

その佐官もドアノッカー破壊の際に戦死し、佐官がいなくなった為に尉官クラスが指揮を引き継いだ。 そこで、今回の大攻勢になったらしい。 とはいえ、ここまで大量の戦死者と兵器の損耗に被害を免れた尉官が、撤退を決意したとのこと。

ここで追えば、さらなる損害を与えられるが、要塞側も負傷兵が大部分でそれ以外も疲労の色は濃く、追撃隊の編成は出来なかった。 しかし、それに異を唱える者がいた。

老将軍だった。


「何をしておる!追撃隊を編成しろ!今こそこれまでの屈辱を返すときであろう!」


「ですが、将軍!兵隊は殆どが負傷兵で、追撃もままなりません!兵にも疲労の色は濃く、編成が出来ません!」


「くっ、ならば、あの傭兵どもを追撃させろ!彼らは車両がある。 平気だろう!」


「それも無理です。 彼らも疲労困憊のために編成できないと、リーダーに言われました。」


「頼りにならん者どもだ!儂の近衛で追撃する!貴様はここで兵の世話でもしておれ!」


「お待ちください!将軍!それは危険すぎます!」


「うるさい!」


縋り付くように止めた副官の女性を殴り飛ばすと、執務室を出ていった。 鎧兜に単発装填のライフルと同様の拳銃、槍と剣装備の近衛兵100名を連れて、出撃していった。 結果はさんざんで、将軍は戦死してしまい、そのまま帝国側の戦果に。 近衛も40名が戦死して、17名が被害を受けて帰還するという失態を演じた。 最後の最後で、総司令官が功を焦った事で後味の悪い物になった。


「焦らずともそのままにしておけば、自身の功績になったのに・・・。」


「先ほど副官殿に聞いたが、何でも身分の高い家に生まれた方らしく、見える形の戦果が欲しかったのだろうとのことだ・・・。」


「叩きに叩いたのちに自身の近衛隊が止めを刺した・・・。 見える功績の前に事前準備だろうに。」


「そこまで考えが回らない程に焦ったんだろう・・・。 我々のせいでな。」


「完全なる八つ当たりかよ。 さて、どうなるかな?」


「そこまではわからない・・・。」


ユリーダとの会話は、眼下に広がる死体処理の作業中の者たちをみて、ため息が出た。


「俺らもやるか・・・。」「はい。」

少し涼しい今日この頃、皆さんはゆったりとした時間を過ごせてますでしょうか?

私は家でも忙しい日々でございます。

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