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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
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輸送作戦①

少し遅くなりましたが、更新いたします。

ベースを出て、数日は平和だ。

荒涼としているが、穏やかな風が吹く中、たまに襲ってくるのはゴブリンや狼、運が悪くても砂漠サソリだから、パンツァーファウストか機銃で倒すことが出来た。


「ここいらはまだ平気だね。」


「そうだな。 我らもここいらまで行軍訓練や討伐では来ていたからな!問題はここからだ。」


「そうだね。 ここからだね・・・。」


ここから設定上の郷国の領土。

しかし、帝国に蹂躙されて、管理の行き届いていない場所に入る。 今は二つの国とは違う戦闘服を召喚して、着用しているが、心境は微妙だった。

さらに2日たった昼間、先行偵察の兵士から報告が入った。 盗賊と思われる勢力が難民と思われる集団を襲っていると。


「どうする?彼らを見捨てて、先を急ぐという事もあるが?」


「・・・。 さすがにそれは出来ない。 急襲チームを編成する・・・。」


「わかりました。 良かったです。 最初と変わらずで。」


「ほっとけ」


「はい。 編成します。」


ユリーダ指揮の下で、装甲車1台・バイク隊5台・ハーフトラック3台と隊員30名程が、編成された。 敵の勢力を半扇状に囲んで攻撃を開始した。 開始の号砲は装甲車の37mm砲。 一発で敵中央を榴弾が引き裂いた。 そこへ、機銃弾が殴り込み、迫撃砲弾が数発飛来すると、戦線が瓦解した。 止めのバイク隊の突撃と歩兵の乱入で、ゲームセット。


「集合!被害報告!」「被害なし!」


「よし!」


被害を受けた難民と思われる人たちの元へ向かう。

やはり故郷の国の人だった。 兵隊が退却したことで、食料や家畜、家を取られてしまった上に娘まで取られそうになったために一族で逃げてきたという。

保護はしたいが、任務であるため無理であった為、ベースに向かってもらえないかを話した所、行き先がないよりはと、了承してくれた。 食料も少しではあるが、分けたことで感謝された。


「偽善かな・・・。」


「そうかもしれんが、隊長が助けなければ、彼らは死んでいたぞ。 胸を張って良いと思うぞ」


「ありがとう」


車窓の後方で自分と同じように手を振る彼らを見ながらひとり愚痴った事をユリーダが返してくれた。

自分らの任務を行うために前進する車両群。

これからの苦難を超えた先に何が待っているのだろうか・・・?

さらに4日。 ここまでくると、帝国の影が多くなる。 公国の残存部隊がいそうな所を進んでいるが、いたのは少数で、それ以外は義勇軍と自警団だった。 後者はまだ自制心があるらしく、検問はされたがすぐに解放されたが、前者は女性隊員の供出を強要してきた。 怒ったユリーダがマサルが手を出す前に相手をぶん殴り、強制的に進んだ。

 なぜ、手を出したのかと、聞いたが自分が出す方が丸く収まると、一言だった。

しかし、その性か、ユリーダは隊内の女性隊員の中で姉御の様な扱いを受けるようになり、信頼された。


「目的地が近づいた。 頑張ろう!」


「はい!隊長!」


気合を入れ直して、一路獣王国へ。

こうして、輸送していくが、徐々に避けるのが難しい状況になり始めたこともあり、計画を避けて進むを陽動も含める計画にシフトする事を決められた。


輸送隊指揮官 マサル・50名


奇襲隊指揮官 ユリーダ・30名


奇襲隊が先行し、輸送隊が慎重に進む。 躍進行軍で進む。

こうして、敵の前線部隊を削りながら、敵の攻撃を躱しながらすすんだ。

当然、帝国兵の物資を貰い受ける事も忘れない。

途中に幾つかの集積場や車両基地を攻撃して、後方を引っ掻き回した。

しかし、目立ち始めたころにその戦域から移動して、他の地域へ移動することで目的地に急いだ。

様々な戦域でチクチクしたことで、後方に不安が残っていると思わせたことで、前線に後方遮断の効果が出始めて、積極な攻勢が出来なくなった。 補給に不安を抱えたままで攻勢をかけて、前線で勝利をしても後方で瓦解をすれば、逃げられないからだ。 やむなく、前線や第二陣から戦力を抽出して、憂いを取る部隊が編成された。 しかし、マサル達はうまく逃げて目的地傍の森林地帯に身を隠した。


「あそこに見えるのが、我が国の最終要塞のヘラクレス要塞です。 目的地でもあります。」


「綺麗に囲まれちゃってるね。」「はい」


事実、要塞を囲むように敵がかこっており、銃撃をしていた。 

とはいえ、大砲はなく、戦車も帯同していなかった。 ひたすら銃撃をしていた。 爆薬をセットしようとしたと思われる兵士の亡骸が多数あった。 その為、互いに決め手がなく、停滞していた。

マサルが行った集積所の急襲で攻め手側に補給・交代に対して不安が出始めた。 兵は多いが、食料や

物資に不安があり、以前の様な戦法も取れない。 物資が破壊されただけなら破壊されていない物を集める方法でおこなえるが、略奪も並行して行っているために補給部隊の隊員が多く、マサルの略奪部隊からの攻撃に晒された事で、輸送要員がへり、二陣から要員の抽出をした結果、物資輸送に不安は減ったが、

後方の後詰めに不安を残す結果となり、積極的な攻勢が出来ない要因になった。 ただ、一番の不安は車両の不足。 特に輸送を担うトラックが足りなくなった。 その為、現地徴用で地元民の農耕用トラックを大量に徴発したが、輸送力が足りない。 しかも新型と旧型が混在しているうえに速度も違う。 輸送任務時、一番速度の遅い車両に合わすために効率が悪い。 その為、時間を掛けて選別して、早い車と遅い車と分けた。 これで効率が良くなったが、そこを急襲されてさらに失う。

決定的に輸送力が足りなくなった。

これで積極的な攻勢に出れない結果となった。


一方、防衛側は単純に兵力が足りない。

防衛作戦開始時は要塞に3万の兵が駐屯していたが、各戦線で敗退が続き、要塞の兵力からも抽出したことで兵力が目減りして、1万人台へ。

逆に負傷兵が多くなり、今も兵力の主力が負傷兵という事態に。

食料や弾薬は後方から送られてくるが、如何せん負傷兵では攻勢に出れず、怪我をしていない兵はどんどん減っていく状態では、要塞に籠っているほかなく、僅かばかりに補給される予備役兵の老人や少年兵を使って、突破されないように努めた。


互いに最後の決め手となる楔がない状態で虚無に近い消耗戦をしていた。 そこに送り込まれたマサル。どうやら試金石にされたことに気付く。

連合からすれば、隷属に近い条約を望む帝国と対等関係の取引をしていた獣王国。 ここで連合はマサル達に目を付けた。 どちらにも属していない兵士の集団。 連合は獣王国へ貸しを作ろうと画策した。 それがこの輸送計画。 たどり着けて届ければ良し、ダメでもなかったことに出来る。 同じ付くなら条件の良い方で。と、いう商人的な考えだった。 


「はめられたな。 獣人の副官に獣人兵、公国の敗残兵。 彼らからしたら失っても痛くもない兵士。やられたよ・・・。」


「隊長・・・。 あたしたちがいたためにこんな・・・。 逃げるかい?今ならまだ・・・。」


「逃げる?なぜ?」


「えっ?どういう事?」


「はめられたが、こちらも恩を売れる立場になれる。 国間は知らん。 兵力が少し足りないが、普段の倍に働けば良い。 あとで報いてやればいい。 だろ?」


「ああ、そうだな・・・。 そうだ!やろう!」


「元よりそのつもり。 兵たちに準備命令を。 派手に入城してやろうぜ!」


「「「「おお!」」」」


こうして、輸送計画の最後の作戦が始まろうとしていた。






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