商業ギルド
少し長文です
小国連合の商業ギルドへ向かうマサル。
道中に売られている物にはなかった。 そこで売れる技術であるという事が分かった。
マサルの考えたのは技術をマニュアル化して、売りに出してそれを元手に運用資金にするというもの。
「とりあえず何とかなると良いが・・・。」
「大丈夫?隊長?」
ついてきてもらったのは、最初に手をあげた少年兵見習のジョン君。 12歳。
この町に半年はいたらしく、ギルドの場所も知っていたので、案内をお願いした。
「ああ、平気だよ。 商業ギルドはどこ?」
「ここだよ。 隊長。」
指さす先に煉瓦造りの建物が立っていた。
やはりギルドらしく、商人や仕入れの人らしい人物が入ったりしていた。
これから戦場へ赴く兵士のようにマサルも入っていく。
------------------------------------
商業ギルド・受付
少し涼しい風が吹き抜ける中に異質な服を着た人物が来た。
おつきの子は外の難民の子供らしいが、入ってくる男性は軍人そのものの格好だった。
どこの国とも言えない様々な模様の入った上下の服にブーツ、軍帽を被り、拳銃らしいものも携帯していた。 その人はまっすぐ私の元へやってきた・・・。
面倒ごとではありませんように・・・・。
----------------------------------
商業ギルドに入ると、全員から視線が集中した。
軍人が来ることはないのだろうか?と、思えるほどに。
ひとまず空いている受付嬢のいるブースへ向かう。
「始めた来たのだが、良いだろうか?」
「はい。 なんでしょうか?」
「このあたりで石鹸・シャンプーは売ってないのか?」
ザワッ、ザワッ
「あっ、あのう失礼ですが、石鹸とは何でしょうか?シャンプーとは?」
「石鹸もシャンプーもないのか?体や手を洗うものなのだが・・・。」
「それでしたらムジロですか?シャンプーはわかりませんが」
「石鹸はそのムジロとは別になるが、同じ洗うものだ。 シャンプーは髪を洗うものだ。」
「髪をですか?」
受付の女性が、自身の髪を触りながら答える。 まだ実感がわかないようだ。
「その製造方法を売り出したい。 自分は義勇軍を創設しようとしているが、資金がな。 そこで私の知っている技術を売るので、販売したい。 一部はうちでしか卸せないので、そこは定期的に購入契約を結んでほしい。」
「少々お待ちください。 上の者に相談してきます。」
「わかった」
自分では判断に困ると思った女性は上司の報告すべく上がっていく。
マサルはブースからは離れ、窓際に立って、腕を組んだ。 当然だが、進んで軍人に話しかけるものはいない。 軍人はどこの世界でも略奪者であり、守護者なのだから。
----------------------------------
ギルド二階・副ギルド長室
ドアを叩く音で誰かが入室の許可を求めた。
「どうぞ」
「副ギルド長。 いま、ムジロ以外の体を洗う商品の製造方法を売りたいという方が見えてます。 ギルド長に連絡した方が良いですか?」
ムジロ以外での体を洗うものだと?!それがあれば、俺もギルド長に・・・!逃してはならん!叶うならむしり取れるだけむしり取れば、自分の懐にも・・・。
邪な心で現れた幸運に感謝した。 売りにきているのは軍人。 頭は馬鹿だから適当な事を言えば、騙せる。 勝った。と、思った副ギルド長はギルド長に報告はせずに自身が交渉することにして、受付嬢にその軍人を呼んでくるように伝えた。
-------------------------------------
「お待たせしました。 副ギルド長がお会いになります。 どうぞ」
受付嬢に案内されるまま、副ギルド長室と書かれた部屋に入った。
「ようこそお越し頂きました。 当ギルドの副ギルド長のレナウンです。」
「どうもありがとうございます。 マサルです。」
受付の女性は副ギルド長の後ろで、待機している。
そこからは世間話の様なことから始まって、徐々に本題の話にシフトしていく。 まず、ムジロと違う事を説明し、大まかな製造方法とシャンプーについても説明をした。 そして、いざ製造方法のマニュアルを一読すると、難癖をつけてマニュアル使用料金の大幅な値下げや物資の購入・輸送に難色を示し、購入時の割り増しを要求してきた。 それどころか、商業ギルドの全護衛業務の無償奉仕を条件に付けてきた。
「ここは我らギルドにとって、必要な事な『ズキューン』ので・・・。」
話を遮ったのは、マサルの放ったワルサーが火を吹いたからだ
「舐めんなよ・・・。」
ピコーン スキル『威圧』発動。
室内が絶対的殺意を受ける状態になりました。
「ひっ!」
「黙って聞いてりゃ、無茶苦茶言いやがってよぉ・・・。 死にてえか?あん?」
マサルは副ギルド長の眉間に拳銃を突き付けた。
「てめぇ、喧嘩してえならしてやろうか?ギルドを中にいる人間事吹き飛ばすか?それとも機銃弾の雨の中で皆殺しが良いか?選べよ?」
「あわわわわ」
「姉ちゃんも動くなよ?動くとそのきれいな制服が血で染まるぜ?試してぇなら止めないよ。」
受付嬢の女性は腰が抜けて、動けなくなっていた。 震えながら首を縦に振った。
その様子に再び副ギルド長に向き直る。
「お宅のいう使用料の値下げは理解できる範囲なら了承できたが、意味の分からない大幅な値下げは納得できない。 販売と輸送も割り増しくらいはまだ納得できるが、無償の護衛業務はなんだ?舐めてんのかい?それならお前ひとりでやれよ。 今すぐ選べよ。 ここで全員死ぬか、街のすべてをお前のせいで奪われるかを」
「すまないとはおもうが、もう少し待ってくれないか?」
「誰だ?」「ぎっ、ギルド長・・・。」
「レナウン君。 重要な案件は二人で対応することになっているだろう?これはどういうことだ?」
「そっ、それは・・・。」
そういうと、机の上にあるベルを鳴らした。
「すまないね。 気分を悪くしたとは思っている。 出来れば、もう一度話を聞かせては貰えないかな」
「・・・それはそちらの誠意次第かな。 こっちは誠意をもって接したが、横柄な態度と要求をした。 それに対しての怒りが収まっていない。 どうする?」
「・・・まずは彼らを退席させていいかな?」
「女は良い。 とばっちりだからな。 男はダメだ。 的にするから」
「できれば、それも辞めて貰いたいが・・・。 仕方なかろう。 自業自得だ。 君は残り給え。 彼女は休憩室へ運んで女性職員に対応してもらえ」
「はい。 失礼します」
呼び出された二人の職員は受付嬢を担ぐと、退室していった。
副ギルド長は自分も退室したかったが、ギルド長と今だ殺気を放つ軍人に止められ、出来なかった。
「さて、また一から話してもらえると嬉しいな」
仕切り直しだと、言わんばかりにギルド長がマサルに向き直った。
第二ラウンドが始まった。
軍人と言えば、脅しみたいな感じで書いてみました。