同志
襲撃地点から離れるために装甲車からトラックに変更し、離れる。
運転は自分。 後ろをマリーダに警戒してもらう。 あとは適当に座っている。 助手席にはマリが座っている。 白衣さん二人は自分らの研究成果と共に詰め込まれている。
「助けられて文句を言うのも変だけど、もう少しどうにかならない?」
「無理だな。 ここは敵の勢力圏。 油断は出来ない。」
兵士のマリーダに注意をされるが、元々民間人の白衣さんにそこは無理だった。 とはいえ、状況が理解できていない訳ではないため、ふて顔でそっぽを向いた。
「もう少しで宿営予定地に着きます」
宿営予定地でトラックを止め、野営の準備を始める。 白衣さんの二人は自分の発明品を点検するようだ。
「これからどうするの?獣王国を目指す?それとも新天地にいく?ここいらだと小国連合だけど」
「小国連合?」
「知?それはね・・・。」
小国連合とは6つの小国が合併してできた国で、人種も様々で言語は一緒のために出来た国だった。 偏見はないが、抵抗力は微妙だとのこと。 そして、白衣姉妹の開発していたのは、「パペット」だ。 正確には移動監視ロボット。 他に軽装備(マシンガンまたは迫撃砲)を装備をして、監視と最低限の戦闘行動が出来るようにしたものだった。
「これは思っていたより収穫かな・・・?」
「何か言ったかい?」
「いや、例えばだけど、そのプログラムに追加のシステムを入れられる?アップグレードできる?」
「出来るよ。 あるのかい?」
「ちょっと待って見てくるよ。」
そういって、トラックに取りに行くふりをして、システムを開く。
そこには今までなかったショップの文字があり、そこにはやはり目的の物があった。
電子部品『戦闘用パペット強化システム』 価格:400クレジット
戦闘用パペット用追加プログラム。 システムダウンロードを行うと、現状時の中で最適な決断を行い、任務達成を目指す。
「情報処理・計算能力アップ」「射撃制御アップ」
今の自分のクレジットは800万。
転生特典みたいだ。 当然、購入した。 そして、彼女の元へ持っていく。
「これだよ。 システム強化のプログラムが入っているはずだよ」
「そうかい?どれどれさっそく・・・。」
自身の端末へ入れてチェックをする白衣さん。
次第に顔色が変わり、ニヤケ顔が真剣な顔になり、やがて驚愕の顔になった。 そして、自分を掴んで聞いてきた。
「このプログラムはどこで?!いや、そうじゃない!このシステムを売ってくれ!お金が足りなければ、あたしを好きに居ていいから!」
あまりに必死な訴えに設営をしていた三人と、違う確認作業をしているもう一人の白衣さんが近づいてくる。
「どうしたんですか?!姉さん。 自分の体を差し出すとか言ってましたが・・・。」
「隊長どうした?今夜は相手が必要か?」
「問題が違う気がするが・・・。 そんなにすごいプログラムか?それ。」
「すごいプログラムかって?すごいなんてものじゃない!革命だ!躍進だ!このプログラムをいれたこの子達がいたら、警備隊ぐらいでは対応できない程の部隊が出来る。」
そこまで言った所で真面目な顔になり、自分の方を向いて聞いてきた。
「あたしの体を引き換えにしてもいい。 好きにしていいからこのプログラムをあたしに欲しい。」
一人の女が自身の節操を捧げても欲しいものを持っている男。 彼女からしたら逃すことは出来ないと判断したようだった。
「システムは私が持っていても意味がありません。 必要ならそのまま、あげる。」
「はっ?それはあたしが魅力がないって、事かい?あたしだって女だ。 付いている物はついてるし、することだってできるぞ・・・。」
「いや!魅力がないからとかではなく、システムは我々ではわからないから必要なら渡すと言っただけだ!誤解はするな!」
「じゃあ!あたしも抱いてくれるんだよね?!」
「いや、そうでなくて・・・。」
「じゃあ、どうなんだよ!やっぱり魅力がないのか・・・?」
「そうじゃなくて・・・「じゃあ!抱いてくれるよな?な?」・・・はい。」
「よし!」
さっきまでの泣きそうな顔はどこへやら。 システムのメモリーをもって、自身のパソコンへ向かう白衣お姉さん。 すぐにでも強化をするようだった。
「言質、とられたな。 隊長。」
「ええ、それも一方的にあっさりと。」
「申し訳ない・・・。」
マリーダとエリザの指摘にうなだれる。 マリは何も言わないが、苦笑いをしている。 そうしていると、服を引っ張る行動に見ると、もうひとりの白衣さんが赤い顔をして告げた。
「隊長さん。 姉の後で良いので、私もお願いしますね?」
「いやだから・・・「お願いします」・・・ハイ」
「ありがとうございます」
笑顔でお辞儀をして姉の元へ向かう妹。
その光景をあっけにとられる一同の中で、マリーダが突っ込む。
「隊長。 さっき言ったばかりだろうに・・・。」
「意志の軽い上司ですいません。」
他の二人は乾いた笑いしかなかった。
とはいえ、夜はマリーダに交代の時間まで一緒にいてもらった。
あした、頑張ろう・・・。
二人の技師が仲間になった。