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今日から学校と仕事、始まります。②莞

パンはパンでも食べられないパンというクイズに

作者: 孤独

言わせたい。尋ねてみたいこと。


「む~……」


答えを求めている。それは複雑な計算式を解いて、たった一つしかない答えを出すもんじゃない。読書感想文で100点満点とるような事でもない。

答えに辿り着く過程にある、回答者の葛藤であり、心理描写が複雑で面白くに、だ。



「……三矢、訊いてくれ」

「却下ですよ、松代さん。俺が答えてもしょうがないでしょう」

「お前は問題用紙と同時に回答用紙を隣に置くような事するな!俺の心を読んだろ!」

「くっだらねぇ、あんたの質問に俺で微調整したいのバレバレです。本音が見え見え。気分悪いんで、席外しますよ」



仕事中に仕事とはまったく関係のない事は、休憩中に限るものだ。

三矢は席を外して、その質問が女性達に行くように操作した。

松代は仕方なく。ふと思ったクイズを近くの仕事仲間の女性に尋ねた。この会社には4人、女性の方がいる。各々の反応を探りたいのだ。



「安西。ちょっといいか」

「?なんですか?松代さん」

「今からクイズを出す」

「はい?」



それはいきなり、何にもなく。ジャンケンをしようというノリであろうか。暇ではないが、付き合ってあげる安西は構わないとしていて、ボーっと聞いてあげる。


「”パイはパイでも食べられないパイ”は……?」

「…………え?パンじゃなく?フライパンって答えるあれですか?」

「違う、パンじゃなくてパイだ」

「んー……私、アップルパイは好きですよ」

「安西、真剣さが足りてないなぁ!!不合格!!」

「えええーーーっ!!?」



なんなんだ、その言われようわ。

クイズというより、心理テストだったのか?という感じに、安西は呆けて仕事の手を止めてしまった。



「林崎ちゃ~ん、クイズを出していい?」

「別にいいですけど?」

「”パイなのに俺が揉めないパイってなんだと思う?”」


質問が変わった。

なんだこの違いはと、安西は口をあんぐりしながら、双方を見ている。



「えっ…………」


林崎は少々、考えてみて。松代という男の性格をベースに作られた、この問題から答えを導くと。顔を徐々に赤面させて、隠れる。



「なにを聞いてるんですか!まったく!」

「素晴らしい!100点!」

「いやいや、なんなんですか!ちょっと……私、まだ分からないんですけど!」


完璧な答えではなく、辿り着くまでの事が答えであるが故。口で出せるものではないのだ。松代が正解と思っている答えは……そして、いくつもある。


「よーし!友ちゃん!」

「なんですか?」


なんか変なやり取りをしていると思っていて、無関心であった友ちゃんに振られる質問。調子に乗って、そのまんまで


「”パイなのに俺が揉めないパイ”ってなんだと思う?」

「…………」


友ちゃんも林崎同様に松代というくだらない男の考えを読んで、答えを導くと……。赤面と似ている怒りの感情が沸いてくる。ツカツカと松代のところへ歩み寄り、……



ドゴオオォォッ



「誰の胸が”チッパイ”だ、この野郎!!貧乳は揉めない胸だと言いたいのか!?」

「ぐほぉぉっ!?」


先輩&年上に向かって、制裁のドロップキックをかますのであった。



◇       ◇


「わー、凄くくだらない。でも、好きよ」


友ちゃんのドロップキックで、一時。業務停止の松代に声をかけたのは、最後の仕事仲間の女性。酉麗子であった。


「私だったら、もっとストレートにやるわ」

「どーやって?」


松代の手当てをしながら、酉麗子は実演してあげる。

松代でもやりたいのであるが、この手の悪戯をするなら他が良い。通りすぎった1人、三矢に声をかける酉。


「三矢く~ん」

「げ、なんですか……」

「あなたが今、”口に入れたいパイはなに?”」


『うわぁぁっ、男にもそんなに言わせたいのか?』、それが露骨に分かるほど嫌な顔をする三矢。酉の心の中を正確に読めないが、どっちの答えも大不正解であり、大正解ってところか。無難に、分からないくらい早く考えた末に出した答えは。



「チョコパイ……ですかね」

「へーっ。じゃあ、今から買って来て。私もコーヒーやパンと一緒にチョコパイを食べたい……ちっ」



舌打ちまでして、完璧にパシリにさせる態度。安い金で会社での立場を買う、三矢であった。

三矢が彼女に負ける形で、買い物に行こうとした時。この会社どころか世界でも唯一と言ってもいい、彼女並に厄介でサイコな人物にも同じ質問がされようとしていた。


「あ、宮野ー」

「なんだよ?」

「あなた今。”何か欲しいパイ”ってある」


やべっ。ちょっと見たいなと、足を止めて。2人を見守る三矢。相手は宮野健太だ。酉さんとは違って、狂気的で病的な考えの人だ。あの2人の絡みは危険だが、どんなことになるか気になる。

宮野からは酉しか見れず、酉からは宮野の後ろにいる三矢の姿も分かっていた。



「……………」


今、酉さん。質問を変えていたな。俺は食べ物という逃げ道を使ったが、宮野さん。どう切り抜ける。



「おっぱい」


普通に言ってる~~~~!!あの人、ホントに後先考えてねぇ~!


「うわぁっ!!あんた、そんなに溜まってたの~~!欲求不満だったのね~~」


酉のからかっている笑い。そこに間髪入れずに、


「おう。服の上から胸揉むだけじゃ足りねぇから、脱げ」


お前等、会社で何してんだ!?

オフィスラブでも、セクハラでもねぇぞ。これ!


完全に野獣というか、狂人の性か。酉の服を掴んで壁に押し付ける始末に、さすがに三矢も飛び出した。


「たんまたんま!宮野さん!落ち着け!」

「あ?」

「あら~」


酉の衣類は乱れ、ブラチラ状態。紫だった。宮野も宮野で、酉の体を思い切り堪能している感じに掴んでいる。三矢の注意に反応した宮野は、そちらに酉への苛立ちをぶつけるかの如く。


「なにテメェは横からしゃしゃり出てんだーー!?」

「お、俺を殴りに来るなぁー!」


三矢を追い回し始める。外に飛び出ても追撃は止まない。


「テメェ!影から見ようとしてたな!酉のブラをテメェ如きが見て良いと思ってんのか!!」

「いや!あんたにその権利があんのか!?あんたが襲ってるから、ついでに紫色のブラが見えただけだろうが!つーか、場所と時を考えろーー!」

「るせぇーな!あーいう質問であーいう事もあると、俺があの大馬鹿に教えてやるとこなんだよ!松代が調子に乗るだろうがよ!!お前もその1人だったか!?粛清すっぞ!!」

「わーーーー!!」


それから3時間ほどの逃走劇を外でするのであるが、結局、宮野の執着に敵わず捕まり。めっちゃ理不尽な説教をされる三矢であった。


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