1.魔王の出現
亀更新、リアルが多忙なため、かなり更新が遅くなりますが、気になった方はお付き合いください。
その日、突如として街は闇に覆われた。
何の前触れもなく、月の無い夜になってしまっかのように。
普段と変わらない生活を送っていた街の人々は、すぐに混乱に陥った。
時刻は、太陽がちょうど真上に来る正午を少し過ぎたばかり。
現に先程までは、まだ明るく、突き刺さる日差しに辟易としながら忙しなく動き回っていたのだ。
人々が、何事かと騒ぐ中、誰かが空を指さしながら叫んだ。
「お、おい!空に何かいるぞ!!」
と、その声につられて見上げてみれば確かに人はいた。
ただし、そこに現れた姿は人とは思えないほど大きかった。
黒いコートに黒いマント。全身を黒で染め、道化の仮面を被った人物が。
最早、人と言っていいのかすら定かではないその人型は街を一通り見渡し、徐に話し出した。
「こんにちは皆さん。僕は影の魔王クラウン。この度この世界を支配することに決めました。」
「まず手始めに3日後、最北の国カナンを攻めます。」
「死にたくなければ、抵抗せず、僕に服従を誓ってください。抗うものには等しく死を与えましょう!。」
と、魔王クラウンは一息にそう言った。
それを聞いた人々の中で動揺が走る。
正直、唐突過ぎて殆どの人々が現実について来れていないのだ。
そして、「ですが……、」とクラウンが口を開く。
「貴方方に少しだけ希望を与えます。今より1年後、大陸の中央にある皇国、リストエンデに光の英雄となるものが現れるでしょう。」
「その者に各国が所持しているそれぞれの秘宝を与えれば、僕を打倒できる唯一の人間になるでしょう!!」
「もっともそれぞれが真に協力出来た場合ですが………。」
「それではカナンの皆さんは3日後、そのほかの皆さんは、僕が攻め入るその日まで!」
そう言って魔王クラウンの姿は消えていった。
それと同時に、世界を覆っていた闇が、何事も無かったように消え去った。
まるで今まで起こっていたことが嘘だったかのように。
しかしそれは、すべて現実だったということを数日後知ることになる。
北の国カナンが魔王クラウンたった1人の手によって滅びたという知らせを以て。
そして一年後、リストエンデにあるセントレア高等魔術学院に1人の少年が入学しようとしていた……。