もう少し話すことあると思うけど、相変わらずなことしか話していない
遂に!ようやく!やっとのことで!仕事がひと段落したので、ふらりふらりと正体定かならぬ心持ちで、修三はスロットに行き、負けた。陽介から『ブラパ?(インドネシア語でいくら?の意。この場合幾ら負けたの?)』とメールが来ていたので『とんとんだよ』と返した。すぐに返事が来た。
『明日はリベンジだね♪』添付画像にはてっちゃんがパチンコを打つ姿があった。憎たらしい横顔だ。
修三はスマホを鳴らした。
「このカス野郎」
「ホントに負けたの?嘘じゃないの」
「久しぶりに打ち込んでしまったよ」
「ブラパ?」
「5、6千円くらい負けたよ」
「なんだ大したことないなあ、明日はリベンジだね」
「カスが。最近君の顔見てないから、だんだん君の顔がてっちゃんとかぶってきたよ」
「あっはっは、ひどいな」
「まあ、もともと似ていたからな、間違うのも仕方ないな。そういやあ、カニを食べに福井まで行くとか言ってたけど、他には何を見に行くの?」
「とりあえず天橋立を見に行くけど」
「ああ、あの割れているやつか。他には?」
「まだ決めてない」
「そうかあ、じゃあ打ちに行く?」
「カスが!行かないよ」
「3月の福井でしょ。他に何があったかな。では、あれだ。原発なんかどう?」
「あっはっは、ムードのかけらも無いな」
「でも福井で何が有名って、まずは原発だよね。原発最高」
「行かないよ、カス野郎。特に無かったら京都に行ってみるよ」
「ほほう、今日は何をやってたんだい?」
「ゴロゴロしてたよ」
「一日中?」
「まあ、そうだな」
「アニメ見たり、アニメ見たり、ライトノベル読んだり、アニメ見たり、アニメ見たり」
「ふっふ、まあ、だいたいそんな感じだったよ。俺も少し仕事で疲れたからな」
「そうか。疲れ傷つき絶望した魂を癒すもの、それはアニメ(しみじみと、切々とした劇的口調で)」
「はっはっは、カスが」
「ところでこの前、平日の朝のニュース見てたんだけど」
「うん?」
「各局でやっている朝7時くらいからのニュースとか天気予報だよ」
「はあ、それが」
「なんとガルパンの曲が流れていたよ」
「はっは、だからそれが?何?あっはっはっは」
「この前結局すべて見させてもらったからな(陽介の部屋で)。さすがに憶えたよ。嬉しい?」
「カスが!君も充分アニメエリートだよ」
「旅行はどんな格好で行くの?」
「カスが。また茶の王(加速世界)とか言うんでしょ」
「だ、だだだだだ、だって君は茶色の服が好きで、茶色が良く似合うから、あっはっは」
「ふ、今回は白い服を着ていくよ」
「ええ?そうか残念だなー♪」
「カスが」
「まあ、大丈夫だな。帰ってきたら茶色になっているよ」
「はっはっはっは、こーのカス野郎」
「カーッカカカカカカカ(阿修羅の笑い)」
「あっはっはっはっはっは」
「さて、体力を回復したところで、打ちに行こうぜ。ところでさっきから子供の声が聞こえるけど?」
「今めし屋だからな」
「30代独身男性が幸せそうな家族を眺めながら、不吉な顔でご飯を食べている、と」
「ぺっ!」
「違った、30代独身男性が幸せそうな家族を眺めながら、不吉な顔で、奇声をあげてご飯を食べている、と」
「はっはっは、そうだよ。もうメシ食べたいから切るぞ」
「最後に!メシって何?」
「うどんと親子丼のセットだよ」
「まずい?」
「普通にうまいよ。ぺっ!」
「話を戻すけど、原発をなめるなよ!ぃやられるぞ!♪(舌を巻き巻き、大袈裟に)」
「あっはっはっはっはっはっは」
「ふっふっふ、京都行くなら伏見稲荷がいいよ。外国人旅行者からのランキング一位で登山要素もある。俺も行ったけどおススメ」