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5 一週目 休日 ミサ

「ロッソ強いぃ」


 結局、一週目ではミサはロッソには勝てなかった。


「でも、五日目はゲージ半分削ったじゃん!」


「ギリギリだよ、シャルルはなんとか攻撃を一発耐えられるようになったけど、最低でも三発耐えられないと勝てないよ」


「シャルルは剣術が苦手キャラだから仕方ないよ。それに、倒せるようになったら、スキル値の上り方がすごくなりそう」


「たしかに、ゲージ半分削ったら、その分ボーナスが入ったし」


 ロッソとの剣術稽古では、負けても剣術スキルが10上がる。さらにロッソのHPゲージを削った割合でボーナスが入る仕組みだった。HPゲージの半分を削った日は、剣術スキルが15入った。

 現在のシャルルの剣術スキルは、初期値20から68に上がった。

 一方、体力は、100から50に減っていた。


「ロッソを倒したら、通常の二倍の20ポイントが入るのかな?さらに撃破ボーナスがあったりして」


「・・・よし!打倒ロッソ!!」


 ユキの言葉に打倒ロッソに燃えるミサ。


「じゃあ、来週も剣術?」


「いや、魔術も学問もスキル上げなきゃいけないから、次は剣術以外かな」


「そっか。でも、その前に体力回復しないと」


 ゲーム内の平日は五日、休日は二日と現実と同じである。

 画面は休日のコマンド選択画面に変わっていた。


[ 1.休暇

 2.街に出かける ]


「あれ?二つしかない」


 休日にはデートができたはずなのにとミサは言いながら説明書のページをめくった。


【デートは、平日に一緒に過ごした攻略対象キャラとできます。好感度が一定以上になると、平日の最後にデートに誘われることがあります。】


「ということは、剣術の週はロッソしか誘えないってことか」


「今のところは、だね。でも、ロッソの好感度も不足してるみたい」


「知り合ったばかりだしね。よし、ゆっくり休め、シャルルよ!」


 ミサは、1番の休暇を選択した。

 画面には、ミニキャラのシャルルがベッドで眠るアニメーションが表示され、日が変わる。

 シャルルの体力が満タンになり、再び選択肢が現れる。


[ 1.休暇

 2.街へ出かける

 3.夜会 ]


「…夜会?」


「あ、あった」


 首をかしげるミサ。ユキは、説明書のページをめくって夜会の説明を読む。


【夜会は、月に一度行くことができます。現時点での好感度を確認することができます。

 また、夜会のダンスでは、一緒に踊った相手の好感度を上げることができます。(ミニゲーム:ダンス)

 エスコートは、婚約者のアルジェントです。】


「そういえば、婚約者がいたっけ。…ところでユキ、リズムゲームは得意?」


「うーん、あまり得意じゃないかな。」


「私も。簡単だったらなんとかできるけど」


 ミサもユキもリズムゲームが苦手であるが、しいて言えばミサの方がスコアが良い。


「好感度確認するにしても、まだロッソしか出てないんじゃ意味ないなぁ」


「だね。街に出かける?」


「そうする。街の説明ってある?」


 再びユキが説明書を広げて街の説明を読む。


【街に出かけるとランダムでイベントが発生します。イベントによっては、各スキル値や攻略対象キャラの好感度が上がります。また、イベントによらず体力の最大値が上がります。】


「おお!体力の最大値が上がるなんていいね!街に出かけよう!」


 ミサは、2番の街に出かける選択肢を選んだ。



--------------------------



ヴァルゴ王国 王都


『お嬢様、今日はどちらに行かれますか?』


 付き添いの侍女がシャルルに行き先を尋ねる。シャルルは特に行き先を決めていなかった。


『そうですわね、今日は……あら、あちらにロッソ様がいらっしゃるわ。』


 街を散策していると、広場に大荷物を抱えたロッソがいた。シャルルは、ロッソに声をかける。

 

『ごきげんよう、ロッソ様』


『こんにちは。こんなところで会うなんて珍しいな』


『今日は、街を散策していましたの。ところで、その大荷物ですが、従者の方はいませんの?』


 ロッソの周りには従者が見当たらない。


『今日は一人だ。というより、買い物はいつも一人だな。』


『え!?』


 シャルルは驚きの声を上げる。普通、買い物は従者の仕事であり、貴族自身が買い物をしても、荷物は同行する従者が持つものである。だが、ロッソは一人で大荷物を抱えていた。


『これだけの荷物を運ぶのも、鍛錬の一つになるからな!ハハハ!』


 ロッソは、買い物も鍛錬の一つと考えているようだ。


『ロッソ様は、常に鍛錬を重ねているのですわね』


『如何にも!…せっかくだ、これを受け取ってくれ』


 ロッソは、荷物の中からリンゴを二つ取り出し、シャルルと侍女に渡した。


『ありがとうございます、ロッソ様』


『あ、ありがとうございます!』


 シャルルはニコリと笑って礼を言う。侍女は、まさかもらえるとは思っておらず、驚きながら深々とお辞儀した。


『では、俺は帰る。また、学園でな』


『はい』


 そういってロッソは帰路についた。シャルルと侍女も帰路につく。



--------------------------



 ピロリンと好感度が上がるSEが鳴り、剣術が1上がった、体力が10上がったと表示される。


「やった!体力が上がった!」


 シャルルの体力の最大値が10上がり、喜ぶミサ。


「休日は、休暇を取って街に出かけるのがいいのかもね」


「そうだね」

 

 ユキの言葉にうなずくミサ。

 画面は、再び平日のコマンド選択画面になっていた。




 


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