11 二週目 休日 ミサ 後編
休日一日目は、アルジェントとリーナとの遭遇イベントが発生し、街へ出かけることができなかった。
ミサは、次こそはシャルルの体力の最大値を上げようと考えながら、 街に出かける選択肢を選んだ。
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王都 教会
シャルルと侍女は、街の広場から少し離れた所に建つ小さな教会を訪れていた。教会には街の住人や旅人など数人が礼拝に来ていた。入り口に立っているシスターに挨拶し、シャルルと侍女は祈りをささげた。
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画面は、シャルルの自室背景に戻り、魔術が1上がった、体力が10上がったと表示された。
「へ!?終わり!?」
教会で祈りをささげて誰にも会わずに休日が終わってしまい、戸惑うミサ。
「イベントがランダム発生だから、祈りをささげるっていうイベントだったんじゃない?」
「なるほど。必ずしも誰かに会うってわけじゃないのか」
ユキの推理にミサはうなずく。
休日に街に出かけられるが、プレイヤーが行き先を決めることができないため、必ずしも誰かに会えるわけではない。しかし、誰かに会わなくてもスキル値と体力の最大値は上昇する。
「えーっと、今のシャルルは…」
ミサは、シャルルの現在のスキル値と体力を確認する。
剣術スキルは一週目と変わらず69、魔術スキルは初期値40から92に上昇し、学問スキルは初期値40のままである。体力は、最大値が120に上昇したが、休暇をとっていないため、現在の体力は80である。
「ねぇ、ミサ。スキル値の他に今覚えている技も確認できるみたい。右矢印押してみて」
「ホントだ!」
説明書を読んでいたユキが、シャルルの覚えている技を確認する方法を見つけた。ミサは、ユキの指示通りに操作し、覚えている技を確認する。そして、ユキは技の説明を読み上げた。
【技は、剣術では剣技、魔術は魔法として習得することができます。学問では技を習得することはできません】
「学問で技って言っても、ねぇ?」
「カンニングとか?」
「それ覚えちゃダメでしょ!」
そう言って笑いあうミサとユキ。
「シャルルが覚えている技は魔法二つだけかぁ」
覚えている魔法は、初期から覚えていた初級魔法ファイアボールと二週目に覚えたファイアアローだけである。
「剣術はこれから覚えるんじゃない?」
「たぶんね。まだスキル値が足りないのかな」
魔術スキルと剣術スキルの差は大きい。ミサは、剣術スキルが足りないから剣技を覚えていないのだと推測する。
「じゃあ、次の週は剣術?」
ユキがそう聞くと、ミサは首を横に振った。
「ううん。次は学問にする。ほら、まだ出てないキャラがいるじゃん?」
ミサは、パッケージをユキに見せた。
パッケージには、禍々しいオーラを発するシャルルが上部に描かれ、中央にはヒロインことリーナとリーナを守るように5人の攻略対象キャラクターが描かれている。
「すでに出ているのは、アルジェントとロッソ、リュークだったね」
ユキは、すでに登場している攻略対象キャラクターを順番に指をさした。登場していないキャラクターは、青色の髪のキャラクターと金色の髪のキャラクターの二人だった。
「うん。アルジェントはともかく、他の二人はそれぞれのスキルに対応したキャラクターだと思うから、学問にも一人はいると思うんだ」
剣術を選んだ週にはロッソと、魔術を選んだ週にはリュークと出会った。そこから、ミサは、各スキルに対応した攻略対象キャラクターがいると推測する。
「ねぇ、ミサ。それだと一人余るんじゃない?」
「えーっと、婚約者、剣術、魔術、学問…あれ?じゃあ、残りの一人はどうやって出すんだろ?」
ユキとミサは顔を見合わせ、首を傾げた。