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勇者から王妃にクラスチェンジしましたが、なんか思ってたのと違うので魔王に転職しようと思います。  作者: 玖洞
その6・たまには過去を振り返ってみましょう

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86.私を憐み、私の祈りを聞いてください

「――なぁ、まだ続けるのか?」



 黒曜は、少し疲れたような声音でそう言った。その人型には、傷一つ見当たらない。


 ――私はそれを地べたに這いつくばりながら黙って聞いていた。立ち上がろうとするたびに、赤黒い液体を吸った服が手足に絡む。ああ、無駄に重たくて嫌になる。

 別に私だって戦いたくて戦っているわけではない。戦闘狂じゃあるまいし。これ以外の方法があれば、そっちを選んでいる。

 でも、言葉での説得はどう足掻いても困難。ならば――私の『覚悟』を見てもらうより他に方法はない。そこで最初に物理に出てしまうのは、私の悪い所だけども。


 ――ここまでの体感で約数時間。その間に手足がちぎれそうになったのが数十回。内臓が零れそうになったのは両手の指の数を超え、折れた骨の本数はもう数えたくもなかった。

 痛みはとうの昔に感じなくなった。おかげで人形の手足でも動かしているような気分だ。


 怪我を治す――いや、無理やり『直す』のは得意だから今も何とか五体満足な状態で立ち上がれるけど、それでもこの惨状はひどい。まるでバケツで赤い絵の具を被ったかのような有様で、年頃の乙女にはあるまじき姿だ。


 私でなければ死んでるな、と乾いた笑みを浮かべて、はぁ、と息を吐きだす。

 ……まぁきっと、死なない程度には加減されているんだろうけど。


 向こうは私の限界を知っている。そのギリギリを見極めて相手は攻撃を仕掛けているのだ。きっと黒曜にとっては、それすらも児戯程度の難易度でしかないのだろう。


 べっと口の中の血を吐き出して、顔の血を拭う。まぁ、服も濡れてしまっているのだから、あんまり意味はないけれど。



「つづけるよ。何度でも、何度だって、ずっと」



 ゆるく構えを取りながら、私ははっきりとした声でそう言った。

 それに対し、黒曜は腑に落ちないといった顔をして眉をひそめた。



「無駄だと分かっているのにか?」



 私はそれに対し、黙って微笑んで見せた。


 無駄――黒曜がそう思うのも無理はない。

 これまで私が仕掛けた攻撃は、一つたりとも彼の元へと届いていないのだから。

 攻撃魔術を放っても封殺され、物理攻撃を仕掛けても軽くいなされる。それは年季が違う、というものではなく、ただ単に私と黒曜では生きているステージが違うのだろう。アリが一匹ではゾウに勝てないように、それは当然の結果とも言えた。


 そもそも、ここは黒曜の神域なのだ。

 彼の心次第で、私の存在なんて簡単にかき消えてしまうような不利な場所。


 神憑った奇跡が十回くらい起こらない限り、ただの人間である私に勝機なんてない。

 私だって、それはちゃんと分かっている――分かっていて、反抗すると決めたのだ。今更無駄だ無理だと言われても、私の心は揺らがない。


 私は自分の意見を曲げない。そしてあちらも譲らない。ならばお互いどちらか一方の心が折れるまで、ぶつかり合うしか方法はないのだ。



「無駄かどうかは、私が決める。だって私は――まだ諦めてなんかいない」


「……このじゃじゃ馬め」



 黒曜は苛立たしげにそう言うと、すっと右手を振るった。その刹那、何百を超える空気の斬撃が私に襲い掛かる。


 咄嗟に障壁をつくり防ごうとするも、ガラスを割るかのように簡単に突破されてしまう。その斬撃の一つが、右足に深く切り込み、私は思わず膝をついた。


 じわりと生理的な涙がにじむ。力量の差は分かっていたつもりだけど、ここまで手も足も出ないなんて……。

 それを悔しいと感じるのは、きっと私が驕っていたからだ。一矢くらいは報いれるんじゃないかと、自分の力を過信していた。所詮私の『力』なんて、全て黒曜の行いの副産物でしかないのに。


 でも、今大切なのはそんな自虐じゃない。

 勝てる勝てないの問題ではなく――対決しなくては(・・・・・・・)ならない。尻尾を巻いて逃げ出すという選択肢は、とうに握りつぶした。吐いたつばは、もう飲めない。


 だが次の行動をとろうと思い、急いで傷をふさごうと前かがみになった瞬間、無防備なその背を強かに踏みつけられた。



「かはっ!」



 蹴りつけられた勢いで、肺の中の空気が衝撃で一気に外へと出る。その足を振り落とそうにも、上手く力が入らない。


 ――血を流し過ぎたか、とぼんやりと霞んできた頭で思う。

 いくら魔術を作り上げた人工的な血液や肉片で補強したところで、それが馴染むまではそれなりの時間を有する。


 今の私の体は、ほぼ半数が新たに作り上げたパーツで構成されている。いくらここが現実世界ではないとしても、私の体が私のイメージによって作り上げられているかぎり、どうしてもそのフィードバックは受けてしまう。

 いくら心や言葉で蛮勇を謳っても、体の方がついていかない。それがもどかしかった。



「はぁ……。別に我もお前のことを傷つけたいわけではない。――それは分かるな」


「うっ」



 ぎりっ、と踵を押し込むようにして、黒曜が力を強める。言葉と言動があっていない。

 背中がぎしぎしと嫌な音を立てた。



「まったくもって理解に苦しむ。何故そうも嫌がるのか。――ただ家に帰るだけではないか」



 心底不思議そうに、黒曜は問いかける。



「『だけ』?大切なものを、全部、捨てなきゃいけないのに?」


「心配せずともすべて忘れさせてやる。お前は何も気にしなくていい」



 幼子を諭すような声音で、黒曜は言う。それは甘い毒のような誘いだった。


 ああ、本当に――この神様は何にも分かっていやしない。

 本当に嫌になる。どうしてわかってくれないのだろう。ただ私は――自分の力で生きていたいだけなのに。


 体を横に転がすようにして、黒曜の拘束から逃れる。ごほっ、と口から鮮血が零れた。内臓がやられたのかもしれない。


 満身創痍のままに立ち上がり、私は黒曜のことを睨み付けた。


 いくら私が言葉を投げかけても、黒曜には届かない。それでも、一言言ってやらねば気が済まなかった。



「自分が大切に思っているものを、大事にすると決めたものを、そんな簡単に忘れられるもんか! 全部忘れて、アンタの庇護下で笑って、運命っていうレールの上に流されて――そんなの生きてる(・・・)だなんて私は認めない。目隠しをされたまま生かされて、それが幸せだなんて冗談じゃない! 私が選んだ未来を踏みにじっていいのは私だけだ! それ以外は、たとえ誰であろうと――神様だって許しはしない!」



 まるで悲鳴のように、叫ぶ。


 許せなかった。どうしても認められなかった。

 私は別にそこまでお綺麗な人間ではない。私の人生は、たくさんの屍の山の上に成り立っている。それに感傷はあれど、後悔はない。


 でも、だからこそ(・・・・・)それを忘れてはいけないと思っている。

 あの時感じた胸の痛みも、ほんの少しの躊躇いも、振うと決めた化け物じみた決意も、全部私のものだ。それらを全部忘れて、笑って生きろ?

 そんなの、今までの私を殺してしまうのと一緒だ。


 辛いことも苦しいこともたくさんあった。でもそれ以上に楽しかった思い出もいっぱいある。

 それらを全部失ってしまったら――そんなものはもう私じゃない。ただの生きた肉人形でしかない。



「……分からない」



 呆然とした風に、黒曜は呟く。



「辛いなら逃げてしまえばいいだろう。楽な道を選ぶことの何が悪い」



 ――悪くはないさ。ただ私が嫌なだけだ。



「私は人間だ。辛ければ悲しむし、弱ければ苦しんだりもする。でもそれでいいんだよ、それが人間なんだから。運命がなんだ。死の未来がなんだっていうんだ。――何が腹立たしいって、私が負けること前提なのが一番むかつく! 確かに負けるかもしれない。惨たらしく殺されるのかもしれない。言うのも憚る目にあわされるかもそれない。――でもさぁ、それが諦める理由になるとはどうしても思えない。後悔すると思うよ、負けたらさ。でも、戦わない方がもっと後悔する。私は――そういう『人間(いきもの)』だから」



 そこまで言い切って、私は大きく咳きこんだ。口を押えた掌から、紅い雫が零れる。あばら骨が内臓に刺さったのかもしれない。息が苦しい。

 だが、あふれ出した言葉は止まらなかった。



「最初に黒曜を封じた巫女だって、本当は選べたはずなんだ。彼女だって、本気で嫌ならば役目から逃げてしまえばよかったのに。それくらいの力はあったんでしょう? ――でも逃げなかった。誰かの為ではなく、自分自身の矜持の為に。私にだって、その血が流れている。これが生まれついての性分なんだよ。だから――ごめん。どうか諦めてほしい」



 そうして私は、深々と頭を下げた。


 ――今ならば伝わってくれるんじゃないかと、そう思ったのだ。


 私の想いも、望みも、全て言い切った。

 どうか私の我儘を許してほしい。神様の優しさを跳ね除けるようなことをしておいて、こんなことを言っても信じてもらえないだろうけど、本当に悪いと思っているんだ。


 黒曜の厚意は、ただただありがたい。何の気負いもなければ、その手をとっても良かったと思うくらいには。

 でも、私はもうこれ以上大事なものを天秤にかけるような真似はしたくない。


 ぼろり、と大粒の涙が私の目から滑り落ちる。



「神様――どうか神様お願いします。私はまだあの場所で生きていたいのです」




◆ ◆ ◆





 そうやって健気に頭を垂れて懇願する少女を、黒曜は黙って見つめていた。

 小さな嗚咽の声が、嫌でも耳に入ってくる。


 ――泣かせたいわけではなかった。

 ただ黒曜は少女に笑っていてほしいから、手を差し伸べようとしただけなのに。だが少女はそれを『嫌だ』と言う。忘れたくないという。


 黒曜は自分の考えが間違っているとは思わない。今でも、少女が笑って暮らせるのならばそれが一番だと思っている。


 でも、静かに泣く少女の姿が――かつての巫女と重なって見えた。

 己が役割を文句も言わずに全うして見せた、気高い女。あの時も『人間とは不可思議な生き物だ』と考え込んだものだ。


 捨てられないと、少女は泣く。それは立場であったり、思い出であったり、足枷だったり。それら全てが無いと、己は己でなくなると言い切る。

 それを弱さというのか、強さというのか、黒曜には判断が付かない。


 人は愚かで脆い生き物だ。だから自分がこの哀れな少女を導いてやらねばならない。そう、思っていたのに。

 ――今はその愚かさが、こんなにも尊いものに思える。馬鹿だ阿呆だと心の中で毒づいても、少女の意思は愚直なまでに真っ直ぐだ。


 ふふっ、と声にならない笑みを浮かべる。ああ、本当に人間とは理解しがたい生き物だ。

 人間とは実に自分勝手な生き物だ。己が都合で神を封じ、崇め、拒絶する。ただただ、自分の想いを遂げるために。

 ――それが『人間』としてあるべき姿だというなら、人とはどれだけ強い生き物なのだろうか。


 ――この瞬間、きっと黒曜は少女に『負けた』のだろう。何故ならば彼は、ほんの少しでも――少女の決意を美しいと思ってしまったのだから。


 黒曜はゆっくりとした足取りで少女に近づいた。

 そっと労わるように両手を少女の背に回し、抱きすくめる。血錆の匂いがした。



「……よくもまぁ、こんなにも小さい体でここまで無理をしたものだ」



 歳の割に成長しきれていない矮躯。いったい今までどれほどの無理をその体に強いてきたのだろうか。

 先ほど黒曜にして見せたように、己が心を削り取るかのような無茶を重ねてきたのだろう。本当に、馬鹿な娘だと思う。


 とんとん、と宥めるように少女の背を叩きながら、黒曜は続ける。

 泣く子には勝てないとはよく言うか、それが神にも適応されるとは思ってもみなかった。



「もうよい。分かった。分かったから――もう泣くな。お前に泣かれるのは、どうにも落ち着かん」


「なにが、わかったっていうの」



 掠れた涙声で少女は言う。拘束から逃れるかのよう身じろいではいるが、きっとこの手を振り払うだけの力すら残っていないだろう。それでもなお言葉だけは気丈に振る舞おうとする。


 愛らしい幼子。本当はずっと手元に置いておきたかった。その想いは今でも変わらない。



「『帰りたい』という決意は今も固いのか?」



 黒曜の問いに、少女はゆるりと顔をあげ、涙に濡れた瞳を向けた。



「――帰りたい。あそこが、私の『居場所』だから」



 その目の奥の光は、決して揺るがない。


 いつの間に、この娘はこんなにも強くなったのだろう。

 いや、きっとこの子供は昔からこうだった。それをかわいそうだからと、ずっと色眼鏡で見ていたのは紛れもない黒曜自身だ。


 ――もう一人で歩けると、幼子だった少女は言う。きっと黒曜の方が、彼女の手を離したくなかっただけなのだろう。


 ――できることならば、弱いままの幼子でいてほしかった。世界中のありとあらゆる脅威から守ってやりたかった。この娘の笑顔が――本当に大好きだったから。


 大好きだからこそ、この手を離さなければならないのが、心から悲しいと思う。



「……約束したんだ。子供の名前を付けてあげるって。私がいいって、私でなきゃダメだって、そう言われたんだ。だから、帰らなきゃ」


「そう、か。……寂しくなるな」



 もう既に、少女の『帰る場所』は黒曜の腕の中ではない。そのどうしようもない事実が、途方もなく寂しかった。


 そう思い、目を伏せると、くいっと袖口を引かれた。



「あのね、よかったら一緒に」



 その次の言葉が出る前に、黒曜は少女の口を手でふさいだ。――それは、受け入れられない。


 この子は優しい娘だ。

 黒曜が『寂しい』と言ったから、共に行こうと言おうとしてくれたのだろう。だが、それは無理だ。


 黒曜のご神体は、山の奥深くに封じられている。あの七巳の一族が管理する山からは、封印が解かれない限り出ることができない。

 封印が解ける。それすなわち――祟りが解き放たれるのと同義だ。七巳の一族が守ろうとしたものを、己が壊すわけにはいかない。かの巫女の決意を、無駄にはしたくなかった。



「時折様子を見に行こう。なに、心配せずとも夢の中ならばいつでも会える」



 だが、会えるだけだ。そうなれば、手助けも何一つできないだろう。

 ――たとえ少女が死ぬことになろうとも、黒曜は黙って見ていることしかできない。考えただけで頭がおかしくなりそうだ。


 でも、たとえそうなったとしても、この少女が己の選択に満足して眠りに付けるなら――それでいいのかもしれない。


 だからせめて、祈りを捧げよう。祟り神の祈りなど、何のご利益があるかは分からないけれど、それでも祈り続けよう。


 黒曜は、そっと少女の額に唇を寄せた。じわりとした人肌の熱が、唇へと移る。



「枷は外しておこう。きっと、今のお前であれば荒れ狂う竜ですらも御せるはずだ」


「枷……」



 その瞳が不安気に揺れる。が、少女は一度キュッと目をつむり、真っ直ぐな視線を黒曜に向けた。不安も恐怖も、何もかも受け入れたような面持ちで、少女はしっかりと頷いて見せた。



「大丈夫――私、がんばるから」



 そう言って、少女は笑った。黒曜の大好きな、その笑顔で。


 ――ああ、もう大丈夫だ。黒曜は漠然とそう思った。泣きたくなるくらいに、温かい気持ちに胸が満たされる。



「生き残れよ、我の愛し子。無事に勝ち残って、またここへと帰ってこい。――お前が神に成り果てた(・・・・・)その時は、きっとまた会えるさ」


「成り果て……? うん、誰が相手だろうと絶対に勝ち残るよ――ほら、約束」



 少女は不思議そうに首を傾げてみせたが、すぐに気を取り直したかのように自身の右手の小指を差し出した。指切り。人間が好む約束の仕方だ。


 はたして少女は『神』との約束がどんな意味をもたらすのか、本当に分かっているのだろうか。

 ――いや、そうではないな、と黒曜は苦笑した。知っていても、たとえ知らなくても、きっとこの少女は同じことをするだろう。……少女がそんな人間だったから、黒曜はここまで彼女を深く愛することができたのだ。


 黒曜はそっと手を伸ばし、少女の細い指に小指を絡めた。



「その名に誓え、七巳 (りゅう)。来たるべき日の戦いにおいて――お前の敗北は絶対に許さない」


「誓おう、黒曜よ。必ず勝って、またここに帰ってくる」



 少女がそう言った瞬間、彼女の小指に巻きつくようにして、黒い文様が浮かび上がった。

 それを祝福というのか、呪いというべきなのか、黒曜には分からない。――ただ、黒曜だけはそれを『愛』だと称そう。それくらいの我儘は、許されてもいいはずだ。


 名残惜しさを感じながら、小指を離す。

 ――さよならだ、愛しき娘よ。



「行って来い、この馬鹿娘め」


「ふっ、あはは。――行ってきます、お父さん」



 そうして少女は、一度だけ甘えるように黒曜に抱き着くと、小さく微笑んで現世へ通じる光の扉へと去っていった。


 ――黒曜以外に誰一人として存在しない神域。今までは気にしたこともなかったけれど、何故だかそれがとても物悲しく感じて、一人静かに目を伏せた。



 ――ふと、少し前のことを思い出す。


 少女が宝物庫(ここ)に来る前に、強大な存在からの干渉を受けた。黒曜が抵抗できないくらいの、上位の存在(ばけもの)


 それを思い出しながら、視線を部屋の隅へと向け、その床に落ちている純白の羽を拾う。触れた指が、じくじくと痛んだ。


 くるくると羽を指の上で回しながら、誰に聞かせるわけでもなく、黒曜は呟くように言った。



「あの娘の運命が(ベヒモス)の王というのであれば、このお方は差し詰め()の王か。……はぁ、難儀なものだな」



 ――きっと、あの少女は気づきもしていないだろう。


 名のある神が何故天上(・・)に住まうのか、それを知っている者は限りなく少ない。ただ漠然と、『そうである』という認識を植え付けられているからだ。


 ――その理由は、極めて単純。


『翼をもつ者が、一番上の座を勝ち取ったから』



「……これ以上、厄介なことにならねばいいのだがな」



 そう言って、黒曜は空を仰いだ。それこそまさに、『神のみぞ知る』というやつだろう。










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