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 04

 サンライズが元の椎名貴生に戻って家にたどり着いたのは、すでに朝の七時少し前。


「ただいま」

 小さな、小さな声で玄関のドアを開ける。

 しん、と静まり返った家の中。最初に居間のテーブルをみる。

 テーブルの上に、メモがあった。

「何時になるか、携帯にも連絡ないので先に寝るよ。夕飯はレンジの中」

 ケーキは取りに行けなかったようだ。

 レンジの中にはチキンが残っていた。

 見ると、チキンの上からケチャップで大きく『バカ』と書いてあった。

 急に腹が減って、冷たいままのチキンを慎重にアルミの巻紙の上からつかんだ。


 チキンをかじりながら足音をしのばせて、寝室をのぞく。

 由利香とまどかの二人が寄りそうように丸くなって眠っていた。

 隣の部屋の双子も、ぐっすり眠っているらしい。少し覗いたが、真冬だというのにものすごいふたりの寝相が垣間見えた。

 由利香は、いつもなら休日でもこの時間なら起きているはずなのに、ゆうべ遅くまで待っていたのだろうか。物音にも全く動じずに熟睡していた。

 枕元には、絵本が何冊も拡げたままになっていた。


 怒っているんだろうな、彼は鶏の脚をくわえたままコートを脱いで椅子の背もたれにかけ(クリーニングに出した方がいいな)、そのまま、自分も背もたれを抱えるように椅子に座った。


 もしかしたら、エリックが金庫を狙ったのは、あのファイルが原因だったのでは? 急にそんな思いにとらわれる。他所のエージェントを見殺しにしたという負い目から匿名の電話を入れたはいいが、やはり自分で動こうとしたのかもしれない。

 自分のことも、いつからMIROCだと判ったのか……今となっては直接彼には聞けない。

 もっと『スキャニング』を使えば判ったのかも知れないが、それでももうあそこではずいぶんと働いた。やることはとにかく、やったのだ。

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