02
エリックは、彼の肩を叩こうとしたが手錠がジャマだったようで、いまいましげに舌打ちをして、反対の手を挙げた。
サンライズは、だまってうなずく。
「オイラも、無事さ。ワンルーは撃たれたが」
エリックたちが姿をみせた時、同じようにおびき出されたソーンダイクの一味と激しい銃撃戦になったようだ。仕方なく、張り込んでいた捜査官たちも銃を使った。公安警察の連中が到着する前に、すべて片がついていた。
「オマエさん、とんだコソドロだったな」
感心したような口ぶりだった。
「MIROCのエージェントなんだって?」
「ああ」
「なら、仕方ねえや」
エリックは懐から、煙草を取り出した。一本引き出してまた懐にしまう。
「奴とは全然ちがうな、オマエさん。単なるヤサ男のコソドロにしか見えなかったぜ。それでもヤツよりはタフだったってワケだ」
はっとサンライズ、顔色を変える。
「ティントレット……もしかしたら匿名の電話、あんたが」
「ヤツを見殺しにしたのは、確かにオレだ」
彼は波止場の彼方はるかに鈍く光る赤い点滅光に気をとられているような遠い目線のまま、煙草の端をくわえた。
聞きたいことは山ほどある。しかし、本当に正直なところを言うと、サンライズは今すぐ帰りたかった。
軽く足を踏みかえた彼の様子に気づいたのか、エリックは可笑しそうな目をしたが、ふと思い出したような真顔に戻って彼に向き直る。
「家族の話は? あれも作り話か」
「あれは本当だよ。昨日が娘の誕生日だった」
ふうん、エリックは納得したのか、また前を向いた。




