01
横浜のみなとみらい第三埠頭近くの倉庫前、うっすらと白くみえる雪は、積もるというほどではない。夜明けとともに、姿を消してしまうだろう。
それでも寒さには変わりがない。そして、夜明けに近いこの時間は、闇がいっそう濃く感じられた。
サンライズが取るものもとりあえず駆け付けると、すでにパトカーと関係車両が回転灯とハザードとをいっぺんに点けて、あちこちに停車していた。
赤とオレンジの光が不規則に乱れ飛ぶ中、向こうからなじみのタカハマが手を振った。県警の国際捜査課という仕事がら、サンライズともたまに現場がかちあうことがあった。それほどゆっくり話したことはないが、妙にサンライズのことを気に入っているらしく、歳の多い兄貴のような口をきいてくる。今夜も
「間に合ったな。って、なんて格好だよ」
タカハマはそう言いながらまじまじと彼を凝視した。
「パーティーの帰りだ」
「ふうん、すげえパーチーだったんだな。コート、貸そうか」
返事をする前に、くしゃみが出た。タカハマは自分のコートから煙草やら小銭入れやらレシートの丸めたのをごちゃごちゃと出して、下に着ていたジャケットに移し替え、豪快に脱いだ。それをふわりと彼にかぶせる。
少しだぶついていたが、寒さはかなりしのぐことができた。
タカハマに教えてもらい、彼は倉庫の端まで歩いていった。
警察官の間に、エリックが立っていた。ゆうゆうと煙草をふかしている。まるで自分が、彼らの上司みたいにくつろいでいる。
サンライズの姿をみとめると、「おお」煙草を投げ捨てた。すぐ近くの警官が、神経質そうに吸殻を拾い上げる。
エリックはこちらにゆったりと歩いてきた。つながれたもう一人と反対側の奴もついてくる。
サンライズは身分証を彼らにみせ、エリックに目をやった。
「無事だったかい?」
快活な笑みを浮かべ、大将は先にそう声をかけてきた。




