09
番組が終わり、CMが入るとすぐ、ミーナは寝ていた彼の肩に触れた。
声をかける前に、サンライズが目を覚ます。
「もう時間?」
「ええ、出かけられる?」
ああ、と彼は大きな伸びをした。すごくすっきりした気分だ、と立ち上がった。
「じゃあ、行こうか」
「ねえ」コートを羽織りながら、ミーナは未練がましく言った。
「どうしても今夜行かなきゃ?」
「帰らなくちゃ」
「そう」あきらめたようにため息をひとつついて、ドアを開けた。
「いい? 私の後からついて来て。同じ所踏んでね。行くわよ」
「うん」
コテージを出て、西側のひっそりとした庭と林を抜ける。
先ほどまでの起伏の激しい山の中ではなく、ゆるやかな丘が連なる、整備された公園のような場所だが、人影はまったくなかった。
「ここはね、感知器が仕掛けてあるからふだん見張りはいないのよ」
こまめにルートを選びつつ、ミーナはゆっくりと彼を案内した。
やがて、二人は大きな池のほとりに出た。向こう岸には木立が黒々とみえる。こちらの岸には簡単なつくりの桟橋があって、小さな手こぎボートがつないであった。
ミーナはコートの襟を寒そうに合わせ、ボートをあごで指した。
「あれに乗って、向こう岸のほら、白い街灯とオレンジの間くらい、あの辺を目指して行くと、岸があるから。上がってまっすぐ、柵があるけど高くない。1メートル半くらい。でもその上に30センチくらいで電流通してあるけど何とかなりそう?」
「大丈夫」すでに外に出る方法を考えているらしかった。
「助かったよ」
急にくるりとこちらを向いたので、ミーナはどきっとした。彼の目をまともに見るかっこうになった。
「ねえ、一緒に来ないか?」
彼が急に言った。




