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 14

サンライズ、ゆらりと立ちあがる。ベルトに手をかけながら

青龍(チンロン)

その名を呼んだ。

 マイキーの本名、これがキーだ。目の前の男が無表情になった。

きた、ずしんと重い。ヤツの身体と同じくらい重量感のある思念の塊が、彼の上にのしかかって来る。

 耐えろ、彼はぎりぎりと奥歯をかみしめながら、次の言葉をさがす。

「青龍、マイキー、オマエは働き者だ」

 彼はそのまま固まっている。サンライズは、数回、ゆっくりとキーを繰り返した。

 ようやく、マイキーが口を開いた。

「そう、働き者だ」低く、はっきりした言い方だった。

「家族にもよく言われた」すでに彼の目はどこか遠くをみている。

「オマエはよく働いた。働き過ぎだ。朝から晩まで、大人のお守。一日中駆けずりまわっている。オマエは疲れているだろう」

「うん、疲れている」

「今は何をしていた?」

「男をひとり、殺した」まだ死んでねえよ。

「男を殺す前に、どうした」

「犯っちまった。殺す前に」だから犯られてません、まだ。

「いつもそうなのか」

「いつもそうだ」

「気分はいいか?」

「ああ……いや」自分と同じように、相手もしとどに汗をかいている。

「良くない。良くないよ。いつも後から力が抜けて、頭が痛くなる。なんてコトしてるんだろう、なんて酷い事……でも、止められないんだ。アイツの時と同じように、そう、一番はじめの時もそうだった、下級生を」

 今は懺悔につき合っている時間がない。すでに彼も限界に近付いてきた。

「そうだったね」こいつの更生は後回し。彼は吐きそうになるのをこらえつつ、彼と場所を入れ替わった。

 マイキーは、すでに幼子のように泣きだしている。サンライズ、そんな彼をいたわるように壁際、くしゃくしゃになったシーツの上に座らせる。

「良い子だ、青龍、大丈夫だから」

「ぼく、こわいよ」

「だいじょうぶ、疲れているだけだ。今はゆっくりおやすみ、そう」

 彼が指をくわえながら寝息をたてるまで、数秒だった。

 そろりそろりと、眠る男の前を離れ、そしてだっと非常階段へと駆けだした。


 まだ走れるだけ、たいしたものだった。


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