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すがるような目線を、あえてマイキーに向ける。ほんの0コンマ数秒。
つばを呑む微妙な間の後で、マイキーが言った。
「大人、なんなら私がちょっと片付けてきましょうか、ヤツを」
「済んだら、必ず殺せ」
大人の氷のような一言に、今度はエリックがぎょっとしたように向き直った。
「別に殺るこたねえ……」
「うるさい」大人、すでに目の前の男に興味を失ってしまったようだ。
「エリック、オマエが受け渡しの場所に行け。ワンルー、一緒に行ってやれ。あと二人つける。3時間しかないから、すぐ出発しろ」
エリックが、気遣わしげにちらりとこちらを見たのが、顔を伏せたままでも感じられた。しかし、そのままマイキーに銃を突きつけられ、サンライズは小突かれながら部屋を出ていった。
エレベータのドアが開いたのは、地下2階。
「出ろ」
駐車場の下のフロアは、ランドリーとゴミ集積所を兼ねた、せまくて埃臭いスペースだった。電気もほとんどない。
守衛室はあったが、駐車場の見回りに出ているらしく、誰の姿もなかった。
馴れた手つきで電気のスイッチを入れ、マイキーは彼をぐいぐいと押して奥へと連れて行った。
暗がりになったランドリーとキャビネットとの間がちょうどわずかに開いている。壁はうちっ放しのコンクリートらしく、床もそうだった。その片隅に汚れたシーツが、腰の高さくらいまで山になっていた。
マイキーは、その山に彼を突き飛ばした。
埃と、すえたような古い汗と、しめっぽいカビ混じりの土の匂いが鼻をつく。彼はぐったりと、その山の上に身を投げ出した。
マイキーがせかせかした口調で命じる。
「全部脱げ」
まさか洗濯してくれるわけではあるまい。
サンライズは苦しげに脚をひきつけ、丸くなろうとする。
その背中をいやというほど蹴られ、たまらず声をあげる。
マイキーは罵声を浴びせた。
「もたもたするんじゃねえ。もっと痛い目に遭いたいのか」




