07
ランプは14から15、ゆっくりと移り変わる。バックヤード・リフトなので動きが遅い。
「だったら、飛びこむ前にまた一つ手を借りたい」
ランプを見つめたまま、サンライズは言った。
「おうよ、言わなくてもさっきみたいに上手くやってやるぜ」
エリックは、先ほどのイメージが、サンライズの側から『力』を使って故意に送られてきたのには気づいていなかった。
強制的な思考介入と違い、協調性のある人物に対しては力もすんなりと効果を表す。
ほとんど以心伝心に近いくらいで、逆に気づかれにくい介入でもある。しかし、やはりそのために送り手がダメージを受けるのは、強制的な場合とあまり変わりはない。
救いなのは、ダメージも比較的軽くて済むことだろうか。それでも、続けていればそれなりに消耗も激しくなる。
エリックも、相手が少しへたばり気味なのが気になって、心配そうな声を出した。
「少し強く蹴り過ぎたか?」
「いや、平気だよ。あのくらいにやらないと本当らしく見えない」
「で、今度はどうするんだい」
サンライズは、少しこらえてから、また力を使った。
一連のイメージ、それを、いかにも言葉を使って伝えたかのようにエリックに思わせる。
思考の流れは言葉よりずっと素早く、相手に理解された。全て伝えられるのに数秒ですんだはずだ。 すでにエレベータのランプは16で止まっている。
エリックは、しばらくは疑わないはずだ。ずっと後になって、どうしてあの短い時間で? と訝しく思うかもしれないが、それはその時。
ドアが開く前に、エリックが言った。
「解った。まかしとけ」彼を前に押し出す時、口のはしを曲げて笑う。
「オマエさん、ホントに説明上手だなあ」そして急に鬼のような凄まじい形相になって、大声をあげた。
「さあ、さっさと歩け、この野郎」
家路へはまだ遠い。しかしそこに続くドアが一つ、目の前に開かれた。




