02
しばらく、静かな時が過ぎた。
「何が何でも、早いとこ終わらせて帰る」
突然、サンライズは起き直って、はっきりした声でそう宣言した。
「どうしたんだよ、急に」
エリックが笑いを含んだ声で聞く。
サンライズにもわからなかった。ただ、急に強い思いに衝き動かされた感覚だった。口に出して言っておかないともう二度とここから出られないという強迫観念にも似た何か。
祈りのようなものなのだろうか? 勢いにまかせて彼は続ける。
「いくら警備がしっかりしてようが、いくら拷問されようが、ヤツらが帰らせてくれる気が全然なくても、オレは絶対帰らなくては」
そのビックマウスぶりに、それとも真摯さにか? エリックも驚いたように背筋をのばし
「ほう?」
改めて、彼を見なおした。
「どうした? 大事な用事でもあるのか」
「娘の、誕生日なんだ」
それきり黙ってしまったサンライズは、エリックの視線をしばらく感じていた。
次に口を開いたとき、エリックの声は静かなほど落ち着いていた。
「娘はいくつだい?」
「六歳になった」
「いっしょに、住んでるのか」
「ああ」
「家族、ほかにいるのか」
「妻と、赤ん坊があと二人、男の子」うっすらと笑みがこぼれる。
「双子なんだ」
「はあ」エリックも笑った。「それじゃあ、稼がなきゃな」
家族が多いのはいい、エリックは微笑んだまま壁の方をみていた。




