01
業務用リフトを降りて地下2階、更に少し階段を下りた鉄格子の部屋に、二人は並んで座っていた。
落ち着いてしばらくすると、エリックは背広の内ポケットから煙草を取り出して
「一本やるか」
勧めてきた。サンライズはかぶりをふった。
「今はいい」
エリックは火をつけて一息たっぷりと吸いこみ、ふうっ、と煙を吐き出してから
「モノ盗りか?」
楽しそうにそう聞いてくる。
「葉巻を盗りにね」
応えると、おかしそうにくすくす笑った。
「オイラはさあ、」息つぎをしてからもまだ笑っている。
「ちいっとばかり金に困ってね……兄貴のブタの貯金箱を開けに行ったワケさ。
パーティーの最中に、なんだかおかしなヤツらが外で見つかったって聞いてよ、オイラが目えつけてたお宝が盗られっちまったらどうしよう、って焦ったのよ、そしたらよ」
ちらっとサンライズをみる。いたずら坊主の目つきだ。
「やっぱり書斎に入ったんだな。金庫開けたのか」
「ああ」
「でもアレはまだ残ってたぜ」
何の話か分からないが、多分エリックがさっき金庫から出して今、どこかに隠して持っているものだろう。
「欲しかったのは、書類だ」
なぜか彼には正直に話をしている。
「そっか」
エリックは、長くなった灰を太った親指で器用にはじき飛ばした。
「まあ大人はお宝だけは一杯ため込んでるからな」
どんな書類かについては、全然気にしていない様子だった。
「仲間に裏切られたのか? 先に逃げたヤツらも一味なんだろ?」
「まあね」
裏切られたわけではないが、そういうことにしておこう。エリックはやれやれというふうに首をふる。
「もし無事にここから出られたらさ、復讐してやればいいよ、無事に出られたらな」
サンライズは膝をかかえて、黙って座っていた。
外国産らしい煙草のきつい匂いが、煙にのって牢獄の中を漂っていた。




