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まずいことに、彼はぱっと走ってソファの長椅子にどさりと身を投げ出した。サンライズと言えば、とっさにソファの後側、壁と床との隙間に伏せたものの、壁といすとにぎっちりと挟まれ、まさに身動きとれない。
ドアが大きく開く。
「鍵が開いているぞ」
「おかしいな」部屋が急に明るくなったようだ。
入ろうとした男たちはみな、口を閉ざしてまじまじとソファに座る男をみつめていた。
「やあ、遅かったねえ」
エリックはのんきな声。大人と一緒に入ってきた男のうち、前にいた一人がつかつかと金庫の前に進んだ。
ゆっくりと振り向いて、大人に告げた。
「開いてます」
大人は、じっと末の弟をみつめているようだった。しばしの沈黙。
「エリック」
大人が呼びかけた。
「なぜ金庫を開けた」
「オレじゃねえよ」エリックが激しく否定するたびに、サンライズの所にもソファごしの重圧がかかる。できるだけ体を平らにして、エリックに気づかれないように気配を消す。
「大人の葉巻が、どっかにしまってあったかと思って、酒か」
「なぜ金庫に触ったんだ」
金庫を見にいった男がつかつかと彼の前にやってきた。
「待てよ、ヨン兄貴」
ゆすぶられているらしい。聞いているのは次兄のヨンファか。
「オレがきた時、もう開いてたんだ。不審者が逃げたって言ってたろ」
「まだ捕まっていない。バカな警備が捕まえたと思いこんでぼんやりしてたんだ」
もうバレていた。しかし二人とももう安全な所まで逃げているだろう。
「でもよ、オレだってちゃんと働いたぜ」
急に体にかかっている重圧がとれ、明るくなった。
襟首をつかまれ、彼は部屋へと引きずり出された。やっぱり見つかっていたのか。
「コイツが部屋に隠れてたんだ。ソファに鋏みこんだところに、兄貴たちがちょうど来たってワケだ」




