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 06

 それでも、自分の役割は最後まで捨てていないらしい。

「ファイルは紙でした。ページも10しかなかったので、見開きでフィルムに撮ろうとしましたが、あきらめて」自分の震える両手を見おろす。細かい作業もできなかったのだろう。

「そのまま持ち出しました」

「すまないが、ファイルはシヴァに持たせてくれ」

「もう持ってるよ」シヴァはおなかのあたりを軽くたたいた。サンタとトナカイが直接接触したら、トナカイが資料を持ち出す手はずになっている。

「塀を飛び越えるのに、電流は切った」とシヴァが塀の上を指す。部分的にバイパスをつけたらしく、2メートルくらいの柵の両端から、更に別の線が大きく内側にのびて繋がっていた。

「ルディー、まずシヴァを出すから手伝ってくれ」

「はい」どうにか二人で手を組んで、ばねを効かせ、シヴァの体を外に放り出す。

「機材は」

「これだけです」カバンもひとつ、宙を舞う。

「ルディー、自力で出られそうか?」

 いつもなら、少し助走をつければ越えられる高さだが、ルディーはものうげに塀を見ていた。サンライズは声を尖らせる。

「ルディー」

「出られません。それに大変なことに気がつきました」

 これ以上タイヘンなことがあるのでしょうか? どこかで冷静な解説口調が聞こえる。

「マイクロフィルムの容器……」

「あのペンのこと?」

「落としてきた、書斎に」がーん。ルディーにあるまじきミス。

「私、取りに戻ります」

「いいよ、放っておけ。しばらくはただのペンだと思ってるだろう。フィルムには何も写してないんだろう?」

「動作してません。しかし……」

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