02
トナカイに待つように言われてから、かなりの時間が経った。
ステージでは、20名ほどの生バンドが色々なジャンルの曲をそつなく演奏している。
時計をしばしばながめないようにするのがひと苦労だった。
サンタ役のサンライズ・リーダーは盗みの現場には、足を踏み入れないこと――それが今回の仕事での一番のポイントだった。
トナカイの二人、ルディー(赤鼻)とシヴァ(弟子)が万が一その場で捕まろうが殺されようが、任務失敗の場合はそのままサンタは会場から退却、という手はずになっている。
その代わりに、受け渡し後のデータについては今度はサンタが責任を持って外に持ち出さなければならない。その時にはトナカイはすでに撤収しているはず。次に彼らの顔が見られるのは、無事外に出られてからだ。
それにしても、あまりにも遅い。ついに時計をみる。
すでに20時半を過ぎていた。頭の中に電話のアナウンスが流れる。
なぜか由利香の声。
「お電話ありがとうございます。美苑の営業時間は終了いたしました。通常の営業時間は……」
これでは、せっかく家に帰れたとしても殺される。しかしせめてもの救いは、愛する者の手にかかって終われることか。
先ほどから、どこかのすばらしい体格のオバサマにしきりにダンスに誘われる。
白クマの毛皮(サイズ的には、絶対それしかあり得ない)に身をつつんだ、かなり羽振りのよい人物だ。アナタワルツが上手ね、とやたら頬に触ってくる。香水がきつくて鼻が曲がりそうだった。でも伊豆の別荘をあげる、って言われた。サンライズは心のメモにしっかりと記録。
他にも、数人につかまるが適当に相槌を打ち続けていた。
さりげなく逃げる技もようやく習得しつつあった。




