妹
「よっと」
フライパンを勢いよく振ると、フライパンの上にあった卵焼きは綺麗に皿の上に乗った。
うん、今日も良い出来だ。さて、次は雷子の好きな野菜炒めでも作るか。
冷蔵庫の野菜室を確認しそこから、キャベツと人参、ニンニクを取り出す。キャベツを
食べやすい大きさにカットし、人参は素早く皮を剥いて包丁を使って薄くスライスする。
それが終わると、ニンニクを細かく刻み油を引いておいたフライパンに入れる。
しばしそこで炒めたら、キャベツと人参を入れていく。ジュ~っといい音を立てながら
炒められる野菜。中々心地良い音だ。
「さて、いい頃合k「お兄様~!!」どわっと!?」
いきなりの腰への衝撃ぃ!?まっこんな事は毎朝毎朝起きている事で慣れっこだ。
「えへへへ~♪お兄様~おはよ~♪」
まるで天使のような笑みを浮かべて俺を見上げているのは迅夢 天李。俺の妹の一人。
俺達、迅夢家において天使のような存在だ。太陽のような笑顔と純粋な性格で俺達家族を
癒してくれる。天李の笑顔を見ると心が洗われるような気がしてならない。
姉さん同様、母譲りの金髪の髪で更に可愛く見える。まだ7歳という事もある俺にベタベタだ
純粋で可愛い所でもある。が、天李は毎回毎回抱きついてくる際に、凄まじい勢いで
腰に抱きついてくる為に如何せん腰が痛くて仕方がない。これは注意しても治らない。
「ああ、おはよう天李」
俺はそう言って、天李の頭を優しく撫でてやる。天李は気持ちよさそうにニャ~♪という声を
漏らしながら擽ったそうに体を捩っている。お前は猫か!・・・でも、可愛いからOK!
可愛いは正義と言った人の言葉は本当だ!これを否定するものはいないだろう。
「でもな天李。力加減を覚えてくれないか?このままだと俺の腰が大変な事になる」
「ん~頑張ってみるよお兄様♪」
ああ、このやりとりも何回目だろうか・・・抱きつかれて悪沖はしないが、こちとら腰が
痛くてしょうがないのだ。毎晩毎晩湿布を貼って寝てるのだから。俺一人で一体一月で
どれだけの湿布を使えればいいんだ?
「天李。お兄ちゃんに抱きついてないで椅子に着きなさい。お兄ちゃんがご飯作り難そうよ」
声がした方向に目を向けると、俺のもう一人の妹、迅夢 雷子が椅子に座っていた。
欠伸を欠きながら・・・まあ雷子らしいな。
「おはよう雷子」
「おはよお兄ちゃん。ご飯まだ~?」
「ああ、今運ぶよ。ほら、天李も席について」
「む~解ったよ~」
天李はほっぺを可愛らしく膨らませてトテトテっとリビングに歩いて行った。可愛いな
さて、雷子の事も話しておこう。
迅夢 雷子。天李と同じく姉さんと血の繋がった俺の妹である。姉さんと天李と違って
雷子は母譲りの金髪ではなく、黒髪である。腰まで届く長い髪である事から、髪が長いのは
母譲りなんだろうか?本人は長かろうか短かろうが気にしないようだがな。
雷子は面倒くさがりな性格だ。極力面倒事に参加するのを拒む。修学旅行も面倒だからと
行かないという始末だ。やれやれ、思い出作りに行けばいい物を。っまそんな面倒くさがりな
雷子だが根は真っ直ぐとした良い子だ、家族の頼みならある程度の悪態はつくが最終的には
頼み事を聞いてくれる。頼られるのは嬉しいようだが、悪態を付くのは本人なりの照れ隠し。
それと、我が姉兄妹の中で最も毒を吐く奴だ。俺が忘れた弁当を届けに行った時には
雷子が告白されていた場面に出くわしたが雷子は相手の男子の心をへし折るような断り方をし
最後には
「交際なんて、面倒な事するわけないじゃない。アンタと付き合ったとしても私に利益なんて
無さそうだし」
っと行って立ち去っていた。我が妹ながら恐ろしい奴だ。その男子は暫くショックで学校には
行けなかったそうだが・・・
さて、漸く料理をテーブルに運び終わった。さて朝食にしよう
「じゃ3人とも、手を合わせて」
俺たちは手を合わせて口を開いた。
「「「「今日も美味しくいただきます」」」」
さて、良く食べて英気を養おう。