普段と変わらぬ朝・・・出来れば代わって欲しいものがあるけど
「有斗ぉぉおおお!!!」
忙しなく階段を下りる音と共にその声は聞こえてきた。俺はその声を聞いて、ああ。
今日も夢では現実が始まるのかっと思ってしまう。
正直、こう思うのは何十回嫌、数千回目だろうか?詳しい回数など覚える気もないし
覚える気もない。そう思っていると階段から一気にこちらに走ってくる音が
聞こえてきた。逃げようと体を浮かすが
「(ボフッ!!)うおぅ」
やっぱり無駄だった。
「えへへ~♪おはよう私の愛しの有斗~♪」
「ああ、おはよう。凛姉さん」
俺は俺の胸の顔を埋めている姉さんに朝の挨拶を返した。
迅夢 凛。二十歳、俺の姉。
弟の欲目というものは一切合切抜きにしても・・・なんというか・・・
恐ろしい体型をしている。別に恐怖という意味ではない、整った容姿している。
少し小食な所もあって少し痩せて気味で華奢という所もある。
プロモーションはとても良い。外人の母譲りの金色の大きな瞳
そんな瞳で見つめられてしまうと吸い寄せられてしまうそうになる。
そして、これまた母譲りの腰まである届く長い金髪の髪で、スタイルと相まって
恐ろしく耐え難いほどの魅力を引き出している。まさにモデル顔負けといったところだろう。
これだけ容姿が易々だけで十分過ぎるのに、これだけではなく姉の成績は
3年生でありながら4年生を押さえつけて大学トップの成績を誇っている。
こう言った成績が良い人は体育が苦手な人が多いが、どっこい俺の姉はそんなことは一切ない。
体育でも学年トップクラスの運動神経を持っている恐ろしい人だ。
これで、料理が出来れば正しく才色兼備という言葉が相応しい女性なのだが・・・
それでいて部活は弓道部。こんな容姿で弓を射る格好を見た男の大半は
心を射抜かれる。しかも姉の弓道の腕は半端なものではない。
全国大会3連覇を果たす程の実力者であるから凄い話だ。
しかも、その上で知り合いから空手を習っていた為に本人の実力も凄い
。まっ空手なんかの腕で言ったら俺の方が強いだけどね。
そんな頭脳明晰容姿端麗才色兼備の完璧美女に近い姉だが・・・
俺にとっての最高な問題がある。それは・・・
おっそっろしい程の重度のブラコン。勿論、その対象は俺。
本当に勘弁していただきたい毎日毎日、こうして抱きついてくるのもだ。姉さんによると
『これは~♪有斗分を補給の為に必要なんだよ~♪』
有斗分ってなんぞ?姉さん曰く、自分が行動する為に必要なエネルギーだそうだ。
ぶっちゃけそんなエネルギー無くなって欲しいと思った事は多いが
姉さんは補給出来ないと一日動かなくなのでここは我慢。動かなくなった姉の対処は
これ以上に面倒だ。
「ってかさ姉さん。大きな声出したら、天李と雷子が起きるだろ。
何回目だよこれ注意も、また雷子のドロップキックを受ける事になるよ」
「うっ・・・雷子のドロップキックは勘弁かな~・・・本当に痛いし・・・」
「だったら、声を小さくする。そして暑いから離れろ」
「あ~ん、いけず~」
俺は抱きついたままの姉さんを無理矢理引き離した。全く・・・
「ね~ね~有斗~。今日は折角のお休みなんだからさ~、デートにでも行こうよ~」
何を言い出すかと思えば・・・デートの誘いかよ。
普通の男だったら真っ先にOKするだろうが、俺はそんな事はしない。
「じゃ、これから作る雷子と天李、そして俺と姉さんの朝ごはんを作って
洗濯して洗い終わるまでに家を掃除して、洗濯物が洗い終わったらそれを干す。
それが終わったら買出しに行って、安くて良質な食材を買って、それが終わったら
「すいませんでした。デートなんて言ってすいません・・・
無理ですから押し付けないでください」
解れば宜しい」
俺がこれからする事を次々と並べて言ったら姉さんは参ったようで諦めた。
先程挙げたのは、俺がしなければならない本日の予定だ。
俺達の家には親はいない。正確に言えば、両親は二人揃って出張中だ。
時計を見ると7時頃になっていた。さてと、そろそろ朝飯でも作るとしよう