シンデレラ
「時間だ」なんて
君が立ち上がる前から
分かっていた
何度見たことだろう
いつも君は
この瞬間に
それを言う
ここは舞踏会ではなくて
僕は王子様であるはずもない
でも君は
シンデレラのつもりなのか
12時の鐘が響いたら
魔法が解けてしまうのか
シンデレラは
これが魔法と呟いた
この絶妙な距離感
熱すぎず
冷たいということもない
奇跡みたいに
バッチリはまったピース
動かすのが怖いって
そんな呪いを
自分にかけて
君は僕の元を去って行く
帰り道がある内に
いつもの時間
君が出て行く
別れの言葉も
そこそこに
明日があるし
時間はない
いつもギリギリなんだって
君が笑う
けど
君はわざと
綱を渡ろうとしてる
最後のカボチャの
馬車に滑り込んだ君は
ホッとするのかどうなのか
「今までのベスト」が
君を
僕を
臆病にしてしまった
僕達は運命の歯車が
回りはじめるのを
ただ
期待して待っている
「シンデレラは
何も落とさず
帰って行きました」なんて
皮肉な言葉を
送ってみた
意味なんて
分かなくていい
ただ言わずには
いられなかっただけ
でもその時
君の忘れた
「ガラスの靴」が
震え出したんだ
そして馬車を逃した
シンデレラ
彼女は
魔法で出来た
盾も
仮面も
取り去って
「「靴」のために」
戻ってきた
―――
いろいろとなぞらえて書いてみました。
案外良い出来何じゃないかと思っています。