A placer
目を掠めた
君の名に
急いで振り向いて
みたけれど
自分でももう
気付いてた
駅の広告に
君の名が
あるはずもない
案の定
その学校は
君の名前を
たった一文字
真似していただけだった
こんなところで
君が出てくるなんて
よせ やめてくれ
僕は忘れなきゃならないんだ
ほんの一瞬
頭をかすめた
夢だったのに
目が覚めても
忘れられないのは
どうしてだ
手の中から
すり落ちる
砂のように
時も
思い出も
流れていく
その瞬間は
心地良いのに
手にこびりついた
砂粒は
忌まわしく
感じてしまうんだ
目を掠めた
君の背中
でもここは
君の街じゃない
目で追ったのも
ただの反射で
期待なんて
ほんの少ししかしてない
言うまでもなく
そこに君が
いるはずもなかった
あんな微かな気配に
惑わされるなんて
よせ やめてくれ
僕は忘れなきゃならないんだ
ほんのわずかな
可能性に
必死で縋り付いて
ドラマの主人公でも
演じてるつもりなのか
苛立ちのままに
空に放った砂粒達
すぐに後悔して
それを再び拾いあげようなんて
まさか本気じゃないだろうな
どうすれば
そんなことを信じられるんだ
草むらに飛び込んだボールが
見つからず
泣いたことだってあったのに
どんなに特別な意味をつけようと
砂は砂でしかない
そうあれも
ただの砂粒だった
ただ 何かが
何かが
輝いていた
それだけのこと
―――
「A placer」とは砂金収集所のことらしいです。←
内容は……
まぁ、察してください。笑