朝 Ⅱ ~世界の終わりの空の色
朝早く
僕は東側のベランダで洗濯物を干しながら
朝焼けを見ていた
それは火の海と言っても
過言ではなく
赤々としたでこぼこの世界に
僕は目を奪われたんだ
空の色が僕たちの
知っているそれとは
違っていても
僕たちは
何故か
その色を
恐れはしないけど
もし世界が終わるとして
その日
空は
きっとこういう色をしてるに
違いなかった
僕たちは
今日もまた新しい積み木を積み上げて
空に近づこうと
手を伸ばすのだろうけど
多分
そこにあるのは
また新しい空
手の届かない場所が
またひとつ
できるだけ
朝日は僕たちが必死に積み上げた
小さなおもちゃを
たやすく貫いて
僕のもとに飛び込んできた
僕たちはどこまで行っても
空の下を生きていくんだろう
だからこそ
僕たちは
空を目指して
生きようとするのかもしれない
朝日はその閃光で
僕の目を焼きながら
さらに高く昇っていった
そうして世界の終わりは過ぎ去って
後には
いつもと同じ青空が
僕たちの前に広がった
僕は翻る洗濯物を
そこに残して
いつもと変わらない景色の中に戻っていった
―
石垣りんさんの「洗濯物」という詩を読み、直後に見た朝焼けの中で考えました。
珍しく題名を気に入ってます(笑)