なんでもない風景
なんでもない風景を見た
寒空の下
若いお父さんが
小さな可愛い子二人の手を引いて
道を渡っていたんだ
微笑ましくて
それでいて
ちょっとうらやましくて
僕はあったかいものを感じながら
三人を追い越した
でも
あの子たちのお母さんは
どうしたんだろう
残酷な想像も容易に出来る世の中だけど
きっと
幸せな
温かな家で
皆の帰りを待っているんだろう
きっと
そうだろう
そうであってほしい
なんて意味のない祈り
なんでもない笑顔の君
分からない振りをしながら
淡い期待を抱いてたりして
特別でもない
希少でもない
ただかけがえのない
貴重な笑顔に
僕は嬉しくなるんだ
でも
ホントは君は
どんな想いでいるんだろう
残酷な妄想が
僕をひどく傷つけるんだけど
きっとただの邪推で
君には暗いとこなんてカケラもないんだろう
きっとそうだろう
そうであってほしい
なんて意味のない願い
残酷な想像も容易に出来る世の中だけど
きっと
幸せな
温かな場所で
春の訪れを待っているんだろう
きっと
そうだろう
そうであってほしい
なんて意味のない祈り
―
そういえば今日も、耳をふさぎたくなるようなニュースが流れてきたような。
やれやれ。