無題
時々 空を駆け登って行きたくて
空を見上げて 立ち止まってみるんだ
それはたいてい 鉛の雲が 空を覆っている日にやって来て
僕を当惑させるんだ
空がやけに近くに見えるから
跳び上がれば 届きそうに思うから
僕はここにいなくてもいいんじゃないかと
そう思うんだ
ここにいるのは僕じゃなくてもいい
僕以外の誰かなら きっと もっと うまく
生きていく
空を翔けていく この空を翔けていく
雲の向こうへ 光の故郷へ
ここにいる僕を 消してしまおう
空へ 空へ 空へ
ここにある僕の影を 取り去ってしまおう
そこが風の通り道になるように
僕が鉛を突き破って 飛び上がる日に
きっとそこから 青空が見えるんだ
―
書初め、というか、今年の初めに愛用のペンを取り、最初に何か文章を書こうとしたとき、自分の作品の在庫から見つけたものです。
新年早々暗いもので申し訳ないような気もしますが、まぁ、気分はこんなんでした。
関係あるようなないような、去年あった皆既月食を見ていたとき、「あぁ、自分の影も月に届いてるんだ」みたいな事を考え、「僕の影」を使った詩を作ってみたくなった、というきっかけで作り始めたんだったかな?←
ちなみに題名は「空を翔る」だの、「風の通り道」だの考えたのですが、「無題」というのが一番しっくり来ましたので、こうなりました。
あしからず。笑
結果はともかく、探してる答えの切れ端ぐらいは、この年中に見つけたいなぁ。
まぁ、良くも悪くもこんな感じですが、どうぞこれからも「僕自身として」をよろしくお願いします。
田中 遼