止みかけた雨と傘を持つ人
止みかけた雨
二歩歩くごとに
冷たい何かが顔に当たるけど
頬には水の気配すら
残ってはいないんだ
どうしたら良いかな
くだらないことだけど
傘はさすべきなのかどうなのか
なんだか少しでも
濡れたくない気分で
とりあえず
さしてはみたけど
何か不安で
人の目が気になるんだ
前から
どこかの中学校の生徒が
男女入り交じって
歩いてきた
笑いながら
はしゃぎながら
彼らはすれ違っていく
誰ひとり
傘はさしてなくて
彼らが通り過ぎた後で
僕は
空を確かめ
傘をたたむ
(なんだ 止んでるじゃん)
そして
額に落ちてきた雨粒には
気付かないふりをする
しばらく歩いていると
やはり前から
紛れも無い老人が
重たい
ぎこちない足取りで
ゆっくり歩いてくる
彼の手の中のビニール傘は
その翼を広げて
ないようで
あるような
雨粒を
じっくり受け止めている
彼が通り過ぎた後
僕はやはり空を確かめ
傘を開いた
(やっぱいるのかな)
決めかねているのは
空も一緒で
とりあえずの雨の気配
雨も降ってないのに
傘をさすのは
ひどく間抜けで
でもなんだか
どうしても濡れたくなくて
雨宿りが出来ればいいけど
そんな時間はなくて
水溜まりをよけて歩いていく
つまらない男
僕はせめて
それを跳び越えていくくらいの
無邪気さは
持っていたかったのに
僕が傘を広げて
すぐ
雨が強くなった気がした
ついてるのか
そうでもないのか
でも僕は
何か
負けたような気がした
―――
意味はあるようで、ありません。笑
このまんまです。