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卒業



三年前のあの日



僕はあの場所を



卒業した




見つけようとして



諦めて



戦おうとして



諦めて



残そうとして



諦めた



そんな場所





花びらの舞う卒業式



でも涙は出なかった



「さよなら」も



「またね」も



「卒業」も



同じ意味だと



思っていたから



僕らは笑いながら



大きく手を振った




「バイバイ また会おう」



約束もせずに



また会えるなんて



僕達は



「人生」の



書き易さに



騙されていたんだ






二年前のある日



僕はあの頃を



卒業しようとした



ただ楽しくて



笑って



悲しくたって



笑って



そんな自分も



笑ってた




そんな頃





花びらの舞う遊歩道



なんでもない



ただの「今日」





思ったよりも



遠い遠いあの頃



泣かないことが



強さだったあの頃



今の一年を



引き替えに



一日だけ



帰れたらなんて




そんなものを




僕は捨てようとしたのさ





僕達は



「思い出」の



軽い響きを




信じ込んでいたんだ






一年前のこの日



君はこの場所を



卒業していった



愛されるために



走って



愛そうとして



走って



生きるということを



走った



そんな君




花びらの舞うこの季節



君だけの卒業式



「さよなら」と




花びらを吹き上げて



空を見ているんだ



泣いてなんかないさ



本当だって



ただ光が



目に染みただけ



約束は破ってないよ



嘘じゃない




ホントだよ……





僕達は



「運命」の



重い響きを



笑っていたのに





そして僕はただ



約束を抱いて



ここにいる



そう君を憎んだ



この世界で




君が愛した



この世界で



僕は生きなきゃならない






「人生」



「思い出」



「運命」



そして「さよなら」



その重さを知った僕は



時に泣きながら



時に笑いながら



今日この時を



生きていく




「卒業」の



その日まで




その時まで




僕はここにいる






―――


最近「源氏物語」(恥ずかしながら現代語訳版ですが笑)を読みはじめました。


そして感じたのが、「察しろよ」と言わんばかりの、ぼかしてぼかして書いた文章の魅力であったり、「何かになぞらえる」という表現の巧みさであったりします。


近頃は「それを取り入れることが出来たらなぁ」、なんてことを頭の隅に引っ掛けながらこういう詩を書いています。笑




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