春の蝉
五月のある夜
やけに明るい
街灯の下で
蝉の叫びを聞いた
「気が早い」とか
笑い事ではなくて
とてつもなく
おかしな話
時々
生きる時を間違えた
人を見て
「冬の蝉」だと
言う人がいる
まったく違う季節で
短い命を燃やし尽くした
美しさをたたえるように
でもしかし
独りで生きて
独りで死んでいく
悲しさを
言葉の裏に潜ませて
どこかさびしげな
「冬の蝉」
悲しいのはどちらか
明らかに時を間違えた
愚かな者と
明らかに世界に騙された
被害者と
世界は
全ての人を
誤魔化せるほどに
狂ってしまった
季節外れの
蝉の声
それは言うまでもなく
警告の叫び
聞こえるか
聞け
理解せよ
世界はここまで来てしまった
春が春でなくなるとき
夏が夏でなくなるとき
秋が秋でなくなるとき
冬が冬でなくなるとき
悲劇はもう
すぐそこまで迫っている
目がないなら
耳で聞け
耳がないなら
感じ取れ
立ち向かう
小さな勇気もないのなら
一人で 孤独に逃げてゆけ
ただしかし
逃げたくないなら
たとえ負けても
立っていろ
この狂った世界に
他の誰でもなく
お前自身が立ち向かえ
春の蝉は
短い寿命を
燃やし尽くすことも出来ずに
静かになった
帰って来た「春」に
飲み込まれたのか
それとも
ただ 時が来ただけなのか
あるいは孤独が
寂しさが
彼を
殺したのだろうか
―――
勢いで一気に書きなぐったので、自分でもよく分かりません。笑
多分何か、伝えたいことがあるんだと思います。←
でも、やっぱり、五月の夜に蝉の声がするのはおかしな話で、背筋が寒くなったような気がしました。
やれやれ。