偽善的傍観者
詩集です。
「シリアス」とはいえ、あまり重くはなりません。
読んでくださった方が、夜明けの気配を感じたり、突然に道標を見つけたり、といったことが起きてくれたら嬉しいです。笑
感想をいただけると作者が上記の気分になりますので、どうぞよろしくお願いします。笑
田中 遼
聞いてるよ
悲鳴も
嘆きも
銃声も
見ているよ
悲劇も
苦痛も
爆発も
全てが
画面の向こうで
いつも起きてることなのさ
冷めた目でいられる理由は
ただ一つ
僕には関係ないことだから
「違う」って?
何が違うんだよ
わざとらしい涙ほど
醜いものはないのに
善も偽善も
口に出すのは
簡単なんだ
ただ それだけだから
「それじゃダメなんだ」って
歌う奴もいるけど
派手な身振りをいれて
苦しげな顔を作った
彼女は ただ
自分を見てほしいだけ
まぁ仕方のないことなんだけど
偽善じゃない善なんて
ありはしない
所詮誰でも
自分が一番
大事なんだから
でも 嘲笑うだけの傍観者より
嘘を纏った偽善者の方が
ずっと ずっと
何かを変えようとしてる
拳に拳を返しても
世界は変わらないけど
だからって
ナイフを返してどうするんだ
誰もいない
何もいない場所に
世界を変えて
それを進歩と
ほざく気か
本当に強いのは
自分を抑えることが出来る人
戦わないで闘う人
でも弱いわけじゃない
振り上げた拳を
静かに下ろす
そんな
特別な強さと
手を握り締めもしない
紛れも無い弱さが
同じとでも
思っているのか
いつからか
僕達は
誇りをひがみに
変えてしまった
誰かが
必死で守った
この国を
壊すことなく
燃やすことなく
腐らせてしまったんだ
これじゃダメだって
僕は呟いてみせるけど
誰にも聞こえないように
でも誰かに聞いてほしくて
小さく小さく
呟くだけ
―
「日本人として」、そして何より「自分自身として」といったところでしょうか。
書き出しから二転、三転して、その後部分部分を入れ替え、加筆し、こういう形で完成させた結果、何かギクシャクした感じになってしまいました。
私はこの国には「誇るべきもの」がたくさんあると思っています。
でもだからこそ、今の日本は好きになれない。
自らの全てを否定するような風潮に終わりは来るのでしょうか。