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偽善者の「白月光」に火の海へ突き落とされた私、やり直しの人生ではあいつの一族を破滅させ、全てを奪い尽くして差し上げます

作者: 熾星
掲載日:2026/10/01



皇帝が揚州を巡幸した折、私は知府によって皇帝に献上された。


ところが、菊のように淡泊な賢妃が画舫へ乗り込んできた。


彼女は私をきちんと安置すると言った。


だが振り向けば、尼寺に火を放ち、私を焼き殺した。


私は、自分は強いられただけだと訴えたが、彼女は淡々と口にした。


「身を慎まなかったのはあなたでしょう。私の少年郎には関係ないわ。」


再び人生をやり直した時、皇帝は私を胸に抱き、どんな褒美が欲しいかと尋ねた。


私は葡萄を皇帝の口へ運び、艶やかに笑った。


「妾は一生、陛下のおそばでお仕えしたく存じます。」



1



花煙る三月の揚州。人を離れがたくさせるのは景色だけではなく、人もまたそうだった。


幼い頃から私は揚州知府に引き取られ、水芙蓉と名を与えられた。


劉知府は私と姉妹たちに琴棋書画、それに口には出せない秘術まで習わせた。


姉妹たちは次々と輿に押し込まれ、達官貴人の屋敷へ送られていった。


最後に府に残ったのは私一人だった。


十七歳になった年、窓の外では杏の花が枝いっぱいに咲き、劉知府が私の部屋の扉を開けた。


「恩返しをする時が来た。」


私は従順に侍女に髪を整えさせ、鬢に油をつけ、絨花の簪を挿し、雲錦の対襟襦裙を身につけた。


「芙蓉は、どちらの大人なのか知りとうございます。」私はやはり堪えきれず口を開いた。


劉知府は眉をひそめ、答えず、ただこう言った。


「自分の身分と役目を忘れるな。」


それは龍の彫刻を施し、金の屋根を載せた画舫だった。いったい誰がこれほどの越権を敢えてするのだろう。


軟榻に長いこと座っていると、ようやく男が画舫へ入ってきた気配がした。


幾重もの珠簾がめくられ、来た男の衣に刺繍された暗い龍紋が目に入り、私はようやく気づいた。彼こそ今の大渊朝の主、承帝だった。


妙音楼の嬷嬷は、大人方は規則や束縛に飽きているから、いちばん好むのは人と違う女だと言っていた。


皇帝も例外ではないのだろう、と私は思った。


私は礼をせず、彼の本当の身分を知らないふりをして真っ直ぐ近づき、その指に指を絡めた。承帝は怒るどころか、逆に私を一気に懐へ引き寄せた。


「公子さま、そんなにお急ぎにならなくても。劉大人は、水芙蓉はこれからあなたのものだと仰いました。先は長いのですから。」


私は笑いながら承帝をぐっと押し退けたが、手首を掴まれ、軟榻へ投げられ、そのまま覆いかぶさられた。


それからというもの、夜になると承帝は画舫へ来て私と歓を交わした。彼が自分の身分を口にしないので、私も尋ねなかった。


春分の日、彼はまたやって来て、摘んだばかりの芙蓉の花を持ってきた。


「川を渡って芙蓉を摘めば、蘭の生える沢には芳しい草が多い。そなたは朕を……いや、私を大いに喜ばせた。さあ、どんな褒美が欲しい?」彼は私の腕に触れた。


私は幼い頃から劉知府に引き取られ育てられてきた。自分の使命もよく分かっていた。


「劉大人は国と民のために尽くし、清廉なお方ですのに、長年ずっと知府の地位に甘んじておられます。公子さま、機会がございましたら、どうかお引き立てくださいませ。」


私は葡萄を承帝の口へ押し込んだが、彼の瞳が少しずつ冷えていくことには気づかなかった。


その時、梨花木の扉が突然蹴り開けられた。入ってきた女は宮装をまとい、清麗な顔には怒りを浮かべていた。


「皇上、そのような振る舞いはあまりにもお立場を損ないます。臣妾は陛下に失望いたしました!」


賢妃の林如宁は人に命じて私を取り押さえさせた。私は承帝を見たが、彼は私を見なかった。


「如儿、朕はただ物珍しさを楽しんだだけだ。」


「皇上、臣妾が命を懸けて参りましたのは陛下のお名声のためです。水芙蓉姑娘には名分がございません。臣妾が揚州でしかるべく安置いたします。」


承帝は折れてみせたが、林如宁はなおも譲らず、私を送り出そうとした。


私の泣き叫ぶ声にも構わず、承帝は手を振り、それを了承した。


林如宁は私を尼寺へ送った。青衣をまとい古仏を友として、平穏に余生を過ごせるなら、それも悪くない結末だと思った。


ところが夜になると尼寺に火が放たれ、私の部屋の扉は固く閉ざされていた。


燃え上がる炎の中、窓の隙間から林如宁とその大宮女の佩竹が見えた。


「賢妃娘娘、私は強いられただけなのです。」


私は助けてほしいと懇願したが、彼女はひどく冷淡で、まるで私を骨の髄まで憎んでいるようだった。


「皇上と私は少年の頃から深く想い合ってきたのよ。それなのに春分の日に私を捨て、あなたと歓を交わした。あなたが誘惑したに決まっている! 身を慎まなかったのはあなたでしょう。私の少年郎には関係ないわ。」


火は長いこと燃え続けた。民間の女一人の生死など、深く追及する者はいなかった。


長い間ぼんやりしていたような気がする。再び目を開けると、目の前には承帝の顔があった!


私は、春分の日に生まれ変わっていた。



2



承帝は私を見つめ、突然懐へ引き寄せると、両手を肚兜の中へ差し入れ、滑らかな肌を這わせた。


「どうした。何が欲しいかと聞いただけなのに、そんなに長く考えていたのか?」


私は一瞬で頭が冴えた。前世では、劉知府のために口添えしたせいで承帝に嫌われたのだ。彼が欲しているのは、背後に複雑な勢力を抱えた駒などではない。


私は手を伸ばして葡萄を彼の口に入れ、艶やかに笑った。


「妾には頼れる者がおりません。ただ一生、陛下のおそばでお仕えしたいだけでございます。」


承帝は大いに満足し、声を上げて笑った。少しざらついた指の腹がそのまま下へ滑っていく。


「来い。この女は朕の心を大いに喜ばせた。ただちに答应に封じよ。」


私は驚き怯えたふりをした。わずかに震える身体に、承帝はいっそう興奮した。


「妾は、あなたさまが皇上とは存じませんでした。どこの公子さまがこれほどの気迫をお持ちで、妾を夢中にさせるのかと不思議に思っていたのです。」


情が最も高まった時、私は承帝の耳元に顔を寄せ、か弱い声で言った。


「私は苏清姝と申します。皇上お一人だけの苏清姝です。」


前世と同じように、林如宁は人を連れて画舫へ乗り込んできた。


私は怯えて承帝の懐へ潜り込んだ。彼はすぐに錦の掛け布団を引き寄せ、裸の私の身体を隠した。


「賢妃、なぜこれほど大げさに人を連れてきた?」


私は彼のそばに身を縮めた。承帝が林如宁を見る顔には、すでに不快さが浮かんでいた。


「皇上、臣妾は陛下に本当に失望いたしました!」


彼女は人に命じて私を榻から引きずり下ろそうとしたが、承帝が厳しい声で止めた。


「朕がこの女を気に入り、朕が寵幸したのだ。」


「皇上、お助けください。妾には陛下しかおりません。」


私は涙に潤んだ目で彼を見上げた。見る者の胸を痛ませるような姿に、彼は私を懐へ抱き寄せ、頭を撫でて慰めた。


「皇上、臣妾が命を懸けて参りましたのは陛下のお名声のためです。水芙蓉姑娘には名分がございません。臣妾が揚州でしかるべく安置いたします。」


人は淡きこと菊の如し、とでも言いたげな林如宁の清らかで孤高な姿が、私は吐き気がするほど嫌だった。


「こちらの娘娘、皇上は一言九鼎のお方で、すでに妾を答应に封じてくださいました。これから皇上は臣妾の天であり、唯一の頼りでございます。」


私は林如宁を見ながら承帝の胸へ寄りかかった。彼は私を押し退けなかった。


林如宁はなおも私を連れ去ろうとし、ついには手を伸ばして引っ張った。承帝は彼女を押し退け、人に命じて私に服を着せた後、臨時に設けられた嫔妃の居所へ送らせた。


その後、皇帝と賢妃が画舫で激しく言い争い、険悪なまま別れたという話は、揚州中に沸き立つほど広まった。


皇帝と賢妃は何日も冷戦を続けた。林如宁が昔の情を持ち出したため、承帝は譲歩して私を宮外に置くつもりだった。ところが微服で町を巡った際、民が今上は民を子のように愛し、敢えて行い敢えて責任を取り、民間の女子を妃に封じるほど責任ある明君だと褒め称えるのを耳にした。



3



結局、私は承帝に連れられて京都へ戻った。


林如宁が私を見る瞳は底知れぬほど暗かった。彼女が私を骨の髄まで憎んでいるのだと分かった。


そして私は必ず、彼女と彼女の少年郎が少しずつ遠ざかり、互いを見るのも嫌になるところまで見届けてやる。


承帝は私を承乾宮に入れた。


後宮の嫔妃たちはみな密かに笑った。承乾宮の主位が、雪魄国から和親のため送られてきた公主・宸嫔であることは誰もが知っている。彼女は孤高で、皇帝ですら笑顔一つもらえない。今そこへ私が移るのだから、宸嫔に冷たくあしらわれると思われたのだろう。


ところが宸嫔は早くから承乾宮の西殿を整え、私のために食事まで別に用意してくれていた。


彫りの深い顔立ち、深い瞳、長い睫毛が瞬くたびに揺れる。高嶺の花のように侵しがたい雰囲気を持ちながら、私には気遣いを見せてくれた。


「後宮の人心は測り難く、皇上のお気性も掴みにくい。これからは自分でよく身を守りなさい。」


私は分かっていた。彼女は皇帝も、この広大な後宮も好きではない。


噂どおり、承帝はこの氷山のような美女をひどく気に入っていた。


彼は毎日のように承乾宮へ宸嫔に会いに来た。彼女を床榻に押さえ込むたび、二人は激しくもみ合い、承帝が思いを遂げた後には、宸嫔はいつも顔を覆って泣いた。その姿は胸が痛むほどだった。


宸嫔の抵抗が激しく、しかも承帝の機嫌が悪い時には、彼は私の西殿へ来て、私の身体に激しく鬱憤をぶつけた。


誰もが、私は宸嫔と皇帝の玩具だと笑った。だが私は腹を立てなかった。宸嫔娘娘はあれほど良い人で、この宮中で唯一、心から私を大切にしてくれる人だったからだ。


「娘娘は、逃げようと思われたことはないのですか?」私は尋ねた。


「逃げる機会はあったわ。けれど賢妃に母国のことを考えるよう諭され、それで残ったの。この紫禁城はね、牢獄なのよ。」


宸嫔は自ら淹れた沙棘と酸棗の茶を私に差し出した。


私は茶碗を強く握った。また賢妃だ。自分は皇帝の賞賛と賢淑の名声を手に入れ、その代わりに宸嫔娘娘の一生を台無しにした。


鴻門の宴はやはりやって来た。賢妃は人を寄越し、宮中の嫔妃たちを花見と歓談に招いた。


宸嫔は相変わらず行かなかったが、私には目立たぬよう振る舞えと念を押した。


中宮の皇后は三年前に薨逝し、承帝は深く悲しんだため、皇后の位はいまも空いたままだった。


今、高位の嫔妃の中で皇后の座を争えるのは、皇帝と幼なじみの賢妃のほかには、驃騎大将軍の娘である徳妃・张婉だけだった。現在、皇上の唯一の皇子である顺瑆は彼女の産んだ子だ。


徳妃は鮮やかな赤の宮装をまとい、まるで中宮の女主人そのものだった。一方、林如宁は秋葵色に菊花紋の衣をまとい、いっそう淡雅で気高く見えた。


「苏答应、来たばかりなのだから、そう堅くならなくていいわ。」


林如宁は穏やかな口調で私に席を賜ったが、隣の徳妃は鼻で笑った。


「賢妃妹妹、あなたは人が良すぎるのよ。だから狐媚びする者につけ込まれるのだわ。」


「民間にいた頃から、徳妃娘娘は鳳儀万千で、しかも皇長子をお産みになり、この上なく尊いお方だと伺っておりました。臣妾が直接娘娘にお目にかかれるとは光栄でございます。」


私は座らず、地に伏して徳妃を持ち上げた。案の定、徳妃は機嫌を良くし、私に席を賜ったので、そこでようやく腰を下ろした。


「妹妹への初対面の贈り物に、大きな金の耳飾りを用意したの。気に入るかしら?」


暗い桃色の衣を着た女が太監を呼び、耳飾りを私に渡させた。宮女の迎杏が、あれは淑妃娘娘だと教えてくれた。


「奇遇ね。本宮も苏答应に精巧な鎏金の耳飾りを用意したのよ。その耳飾りはずいぶん野暮ったいわね。まあ、宮女上がりなら趣味がないのも当然だけれど。」


徳妃も人に命じて耳飾りを私へ贈らせた。そこで林如宁が突然口を挟んだ。


「苏答应、どちらか一組選んでつけて、皆に見せてはどう?」


私は心の中で冷笑した。どうあっても徳妃か淑妃のどちらか一人を怒らせるつもりなのだ。


結局、私は徳妃から贈られた鎏金の耳飾りをつけた。


「淑妃妹妹が贈った耳飾りも、苏答应は戻ったら大切にしまっておきなさい。あれも心遣いなのだから。」


林如宁は淑妃の肩を持っているように見せかけながら、実際には私と淑妃の間にわざと亀裂を生じさせようとしていた。


私が自分の側についたと見た徳妃はますます得意げになったが、淑妃は淡く笑って流しただけだった。


「宸嫔は本当に礼儀を知らないわ。毎回顔も出さず、娘娘方をあまりにも軽んじています。今後もし皇子でも産んだら、どうなることやら。」


誰が口火を切ったのか分からないが、話題は宸嫔へ移り、皆がひそひそと囁き始めた。


徳妃の顔色はますます暗くなった。今のところ皇嗣を産んだのは彼女一人だけだ。


「宸嫔が産めなくなればいいのに。」彼女は小声で呟いた。


承乾宮へ戻ると、私は真っ直ぐ宸嫔のもとへ行き、今日の出来事を話して、くれぐれも用心するよう伝えた。


宸嫔は笑った。「後宮では誰もが龍胎を宿したがるけれど、私は望んでいないの。」


「妹妹がそこまで淡然としていられるのは容易ではないわ。寒凌が泉下で知れば、きっと感動するでしょう。」


林如宁だった。彼女は佩竹を呼び、一碗の薬湯を持ってこさせた。


「これは徳妃の意向よ。本宮も、あなたが寒凌を深く愛し、侍寝のたびに避子湯を飲んでいることは知っているわ。でも避子湯を長く飲み続ければ身体を損なう。この净药は本宮がわざわざ東南から取り寄せたもの。定められた量を飲めば苦しまず、しかも永久に子を持てなくなる。あなたと寒凌は一途に想い合っている。本宮はあなたたちを成就させてあげたいの。」


またこの、賢く大度で物分かりの良いふりをした偽善的な姿だ。私が口を開こうとしたところ、宸嫔に止められた。彼女はその净药を手に取り、一息に飲み干した。


ほどなく真っ赤な血が宸嫔の下からどくどくと流れ出した。林如宁が言ったようなものではなく、薬を飲んだ宸嫔は激しい苦痛に襲われた。


承帝は激怒し、林如宁を廃そうとした。彼女は龍袍の裾にしがみつき、声を上げて泣いた。


「臣妾と皇上は少年の頃から深く想い合ってきました。陛下なら臣妾をいちばん理解してくださるはずです。徳妃姐姐が子を産ませたくないから薬を与えてほしいと仰ったのです。臣妾は、彼女が長く避子湯を飲んで心脈を損なわぬようにと思っただけなのです。」


太監や宮女たちも皆供述し、徳妃が花見の席で確かに宸嫔に皇嗣を産んでほしくないと口にしていたことが分かった。だが徳妃は無実だと叫び続けた。


「そなたはどうだ。聞いたのか?」


承帝は突然、隅に跪いていた私を見た。賢妃の視線もこちらへ向けられた。



4



「臣妾は、聞きました。」


徳妃はその場で妃位の服制を剥奪され、嫔妃の宝冊も取り上げられた。


承帝は当初、白綾一本を賜って彼女を死なせるつもりだった。だが父である驃騎大将軍が自ら全兵権を差し出し、老齢を理由に官を辞して郷里へ帰ることを願い出た。ひとり娘の命を残すためだった。承帝はもともと兵権を取り戻したいと思っていたため、すぐに受け入れ、张婉の封号を剥奪して钟粹宮に禁足し、死ぬまで外へ出ることを許さなかった。


「本宮は、こっそりやれと言ったのよ。それなのに、こんなふうに私を害した。まさか本当に私心がなかったとでも?」


张婉は引きずられていった。林如宁のそばを通る時、狂ったように罵り続けた。


承帝は宸嫔への償いとして彼女を妃位に封じ、顺瑆は子のいない林如宁に養育させることになった。私も証言の功により贵人へ昇り、封号に「丽」の字を賜った。


「身の程を知っているようね。」林若宁は嘲るように笑った。


「賢妃娘娘は今や日の出の勢いで、皇上とも情が深く、中宮の后位も手を伸ばせば届くところにございます。これから臣妾も娘娘を頼りにさせていただかねばなりません。」


「私の少年郎と私は幼い頃から一緒に育った仲よ。もちろん、彼がいちばん愛しているのは私なの。」


私は従順に目を伏せた。林如宁は勝者のような姿で、満足げに立ち去った。


その直後、私はすぐ珠簾の方へ向かって跪いた。


「淑妃娘娘が民間の噂を利用して私の入宮を助けてくださったこと、感謝いたします。これで徳妃はもう立ち直れません。残るは賢妃だけです。」


淑妃は笑みを浮かべながら珠簾の後ろから出てきて、私に座るよう言った。


「この賢妃は皇帝と幼なじみで、情も深い。彼女を倒そうと思えば、そう簡単なことではないわ。」



5



宸妃は寵を失った。


林如宁は承帝に、中へ入ってもっと宸妃を慰めるよう勧め、わざと宸妃の下半身が血まみれになった姿を見せた。承帝は吐き気をこらえきれず承乾宮から逃げ出し、それ以来二度と来なくなった。


「淑妃の宮へ移りなさい。自分で新しい道を探すのよ。」


宸妃は相変わらず淡々としていた。寵を得ることも失うことも、彼女にとってはもともと重要ではなかった。彼女は宮女の大半を解散させ、側近として使っていた太監の元德まで私に与えた。


それでも私は結局、承乾宮に残ることを選んだ。


「大小姐、元德がご挨拶申し上げます。」


元德は地に跪き、私の衣の裾を掴んで泣き崩れた。


彼はもともと私の苏家の家僕だった。兄が汚職の濡れ衣を着せられた後、家僕たちの身契をすべて返して自由にしたが、苏家では私以外の者は流刑の途中で全員が不可解な死を遂げていた。


元德は幼い頃から苏府で育ち、私付きの侍従だった。汚職事件の後、真相を突き止めるために太監となって宮中へ潜り込み、何年も身を潜めていた。


「私の師傅は大総管の东福海です。大小姐のお力になります。」


彼は顔を上げて私を見た。まだ二十代になったばかりだというのに、その目にはすでに鋭い狠さが宿っていた。


夜になると、私は宮灯を手に一人で薬房へ向かい、いくつか薬材を取った。その後、人に気づかれないよう遠回りして西花園へ行った。


すると承帝も一人で湖畔に立ち、月を眺めていた。私はうっかり落ち葉を踏んで音を立て、見事に彼の注意を引いてしまった。


「誰だ!」彼は大声で叱り、こちらを見た。


私はすぐ背を向けて歩き出したが、月明かり越しに彼がすでに私の顔を見たのは間違いなかった。


案の定、彼は大股で追ってきた。


「振り向け。」彼は命じた。


私は怯えたふりをして振り返り、何日も練習しておいた最も美しく見える角度で、そっと彼を見上げた。


「臣妾、清姝が皇上にご挨拶申し上げます。」


承帝は手を振って立つよう示したが、私が提げている薬材の包みに目を留めた。


「丽贵人が、夜更けにどうしてここにいる?」彼は疑わしげな目を向けた。


私はわざと薬材を背中へ隠し、拗ねるように彼を責めた。


「宸妃娘娘はお身体の具合が悪いのに、賢妃娘娘は宸妃が外の者に会いたがらないと言って、宮中の太医を承乾宮へ来させないのです。臣妾は宸妃娘娘がお苦しみになるのを見ていられず、こっそり薬房へ行って薬を替えてきました。これは全部、臣妾がお金を払ったものですから、皇上は没収なさらないでくださいませ。」


承帝の顔色がわずかに変わった。やはり、宸妃に対して罪悪感を抱いているのだ。


「そなたは心根が優しい。朕が必ずこの件を厳しく処理する。朕もしばらくそなたに会っていない。今日は一緒に承乾宮へ戻り、話でもしよう。」


彼が手を伸ばして私を引こうとしたが、私は身をかわした。


「臣妾は、誰もいないところで皇上と二人きりになりたいのです。」


宸妃がこの先一生、この薄情で不義な皇帝の顔など見たくないと思っていることを私は知っていた。絶対に彼を承乾宮へ連れて戻るわけにはいかなかった。


私は手を伸ばし、承帝の龍紋刺繍の腰帯に指をかけ、甘く笑いながら竹藪と假山の方を示した。彼は笑い、私に引かれるままついてきた。


假山の石は身体に当たって本当に痛かった。皇帝である承帝にとって、屋外で欲望のままに振る舞うのは初めてだったため、ひどく新鮮で面白かったらしい。一晩中私を弄び、全身に青紫の痕を残し、夜明けになってようやく終わりにした。


私は力なく彼の懐に横たわり、小さく呟いた。


「賢妃娘娘がお知りになったら、また皇上にお怒りになりますね。」


承帝は余計なことを考えるなと言い、起き上がると人を呼び、私を送り返させた。


ほどなくして、私を丽嫔に封じる旨が届き、さらに咸福宮の主位として住むことを賜った。


宸妃の身体は太医たちの手当てでかなり良くなっていた。私は別れを告げに行った。


「自分を大切にしなさい。」彼女は相変わらず清冷な姿だった。


「はい。娘娘もどうかお大事に。」


私は必ず、林如宁が大切にしているものを一つ残らず奪ってやる!



6



咸福宮は長く荒れたままだった。承帝は人に命じてきちんと整えさせ、宮内の調度はすべて揚州・江南の水郷風にし、竹藪と假山を至る所に配した。


廃妃となった张婉は宮中で自縊したが、誰も顧みなかった。この後宮ではいつだって、新人の笑い声だけが聞こえ、旧人の泣き声は顧みられない。


数え切れないほどの宝物が流水のように私の宮へ運び込まれ、たちまち丽嫔の名は宮中に知れ渡った。


淑妃は私に、男というものは新しいものを好み古いものに飽きるから、彼がまだ新鮮さを感じているうちに、自分の望みを叶えなければならないと言った。


「男がいちばん好むのは、結局二種類よ。一つは、自分が美しい幻想を抱いているのに手に入らない白月光。もう一つは、自分の手で調教して、自分の望む従属者に仕立て上げた女。」


「私は宮女から一歩ずつ這い上がってきた。皇帝が自分の手で調教した女でもあるわ。でも私は従順すぎて、すぐに彼の望む形になってしまった。そうしたら今度は、彼のほうが退屈したの。」


「分かる?」


淑妃は昔を思い返し、寂しげだった。柔嘉公主を産んだ後、かつての盛んな寵愛はもう戻らなかった。


咸福宮にはほかの嫔妃がおらず、すべての偏殿が空いていた。私は元德にこっそり宮外へ買い物に行かせ、夜陰に乗じて自分の手で一つ一つの偏殿を整えた。


承帝の私への寵愛はますます深まり、昼間から咸福宮へ来て、假山の庭で私と戯れることもしばしばだった。私を捕まえると假山の奥へ引き込み、激しく「罰」を与えた。


だが、ほどなくして彼は竹藪と假山の遊びに飽きた。


「皇上、臣妾は学が浅く、分からない詩句がたくさんございます。どうか皇上に臣妾の先生になっていただき、ご教示を賜りとうございます。」


私は彼を北偏殿へ連れていった。そこは私が学堂のように整えてあった。


承帝は目を輝かせ、ひどく新鮮に感じたらしい。待ちきれない様子で、私が用意した夫子の衣装へ着替えた。私は外袍をはだけ、その下に着ていた国子監の学生服を見せ、四書五経と教鞭を彼へ渡した。


「夫子、授業を始めてくださいませ。」


私は髪を髻に結い、主拆竹钗を挿した。見ればまさに女学生そのものだった。


承帝はひどく気に入り、もっともらしく私へ学問を教え始めた。時おり抜き打ちで暗誦させ、私が答えられない時には机の角へ押しつけ、激しく体罰を加えた。


「今日のこの『关雎』は覚えたか?」彼は私の耳を軽く噛んだ。


「夫子、学生が覚えられたら、少しご褒美をいただけますか?」


彼は教鞭で私の脚を叩きながら、動きを激しく突き進め、掠れた声で言った。


「よい。朕の姝儿を丽妃に封じよう。」



7



承帝は毎日のように咸福宮へ来て、その日の興味に合わせてさまざまな役柄を楽しんだ。


「出家人はすでに三界の外へ超脱し、欲も色も断っている。」


この日、彼は東偏殿で道袍をまとい、私は彼を誘惑する妖女に扮した。


私はペルシャ風の半透明の舞衣をまとい、彼の前でひらひらと舞い、やがてその腰へ絡みついた。


「小道士、本当に美人を抱いても心が乱れないの?」


私は手を承帝の道袍の中へ差し入れ、しばらく探るように触れた。彼はとうとう堪えきれず、身を返して私を下に押さえつけ、この身の程知らずな妖女をしっかり懲らしめてやると言った。


「丽妃、ずいぶんと放肆だな!」


その時、扉の外が突然騒がしくなり、林若宁が佩竹を連れてまた乗り込んできた。


承帝は情欲が高まっている最中に邪魔をされ、腹の底から不機嫌になった。


「賢妃、またそなたか?」


「皇上、臣妾には重大なことを申し上げねばなりません。この丽妃の出自には問題がございます!」


林如宁は長い護甲をつけた指で私を指した。私は少しも怯まず、真っ直ぐ彼女を見返した。


「この女の名は苏清姝。十年前、汚職の罪で流刑となった郡河大都督の娘です。皇上を欺いております。この女は罪臣の娘です!」


彼女は正義に満ちた顔で私の身元を暴いた。ところが承帝は、怒るどころか呆れたように笑った。


「丽妃は揚州にいた時から、本名を朕へ正直に話していた。朕もとうにその身の上を承知している。身寄りのない孤女が、朕に取り入り、朕に頼るしかない。それの何が悪い?」


私は承帝の脚に抱きつき、ひどく委屈した顔を作った。


「皇上はお慈悲深く、臣妾が罪臣の娘であることも気になさらず、居場所を与えてくださいました。賢妃娘娘はなぜそこまで臣妾を追い詰め、何をしてもお気に召さないのでしょう?」


「臣妾には张婉のような華々しい家柄もなく、宸妃のような絶世の美貌もございません。娘娘が皇后になる邪魔など、決してできませんのに。」


私はわざと言葉で急所を示した。私の合図を受けると、嫔妃たちの中から緑衣を着た一人がすぐ地に跪き、無実を訴えた。


「兰常在、何がそんなに悔しいの?」淑妃がちょうどよく口を開いた。


「臣妾の父は郡河の光禄大夫でした。十年前の汚職事件で毒殺され、それを畏罪自殺に見せかけられたのです。」


「臣妾は幼い頃、事件が起こる前にこっそり大都督府へ遊びに入ったことがありました。その時、夜陰に紛れて何人もの賊が大箱をいくつも池へ沈めているのを見ました。後になって、それが大都督府の池から引き上げられた、金銀の詰まった証拠品だったと知ったのです。」


「大都督も臣妾の父も冤罪です。当時の主審は賢妃の父・林尚書でした。賢妃がこれほど丽妃姐姐を狙うのには、必ず問題があります。どうか皇上、ご明察ください!」


兰常在は何度も地面へ額を打ちつけ、額から血を滲ませた。


「臣妾には何を言っても言い逃れと取られましょう。どうか皇上にお調べいただきとうございます。」


林如宁は、清い者は自ずから清いと言わんばかりの姿だった。


「臣妾には証物がございます!」


兰常在は承帝の足元まで這って行き、一枚の玉佩を取り出した。


「これは当時、あの賊どもがうっかり落としていったものです。きれいだったので、臣妾がこっそり拾ってしまいました。この何年もの間、臣妾と生き残った一族はずっと玉佩の持ち主を探しておりました。前日になって、族人が闇市でまったく同じ玉佩を売ろうとしている者を見つけ、ようやく、これは十年前に林尚書が密かに育てた死士たちの身分牌だと分かりました。その者は重い病にかかり、追い詰められて売りに出したのです。」


承帝は人に命じ、その死士を宮中へ連れてこさせた。死士は、当年に林尚書が郡河大都督を陥れ、自分の罪を被せた一件を最初から最後まで余すところなく白状した。


承帝は指で玉佩を何度も擦り、二枚は裏に刻まれた死士の名が違う以外、まったく同じであることを確かめた。


承帝はただちに徹底調査を命じた。林尚書はすでに古稀の年で、刑部に並ぶさまざまな刑具を見ただけですぐに白状した。


「この毒婦め、まだ何か言うことがあるか?」


承帝は一蹴りで林如宁を地に倒した。


「臣妾は、父がしたことを何一つ知りません。臣妾は潔白でございます。」


林如宁は、幼い頃に承帝を落馬から救った際にできた手の傷跡をわざと見せ、力を失ったように地へ崩れ落ちた。


「臣妾は幼い頃から皇上と知り合い、心には皇上しかおりません。罪臣・林海は重罪を犯した冷酷な者です。臣妾は、このような父を持つことを恥じております。臣妾は皇上をお困らせしたくありません。臣妾は父と縁を切ります。父も林家も、すべて皇上のお裁きにお任せいたします。」


結局、承帝は彼女を廃するに忍びず、翊坤宮に禁足するだけにした。その後、林海の昔の悪事がさらに何件も明るみに出ると、承帝は激怒し、賢妃を除く林家の一族をことごとく処刑した。


「いつも人は淡きこと菊の如しといった顔をしている賢妃が、血のつながりも情も顧みず、ここまで狠いとは思わなかったわ。」


私は本当に彼女を見くびっていた。


これで林如宁は失脚すると思っていた。ところが半年後、彼女はなんと再び寵愛を取り戻した。



8



「林如宁、あの賤人!」


永寿宮には淑妃の泣き叫び、罵る声が響き渡った。


「昌月国が我が大渊朝へ侵攻しようとしている。皇帝は本来、戦うつもりだったのに、あの林如宁が侍衛に扮してこっそり養心殿へ入り献策したの。大渊の兵力を損なわせたくない、戦で民を流離させたくないなどと言って、なんと私の柔嘉を和親に送るよう主張したのよ!」


淑妃は私に抱きついて泣き崩れた。柔嘉公主は穏やかで素直な子で、会うたびに明るく挨拶してくれた。私もとても可愛がっていた。


「柔嘉はまだ十四歳よ。昌月国は寒く厳しい土地なのに、私の娘がそんな苦しみに耐えられるはずがないわ。」


「私が皇上をお諫めしてみます。」


私は立ち上がったが、行く手を塞がれた。


「林如宁、この賤人!」


柔妃が飛びかかっていったが、佩竹に平手で叩き倒された。


「あなたとは二人きりで話があるわ。」


林如宁は私に出ていくよう目で示した。当然、私は拒んだ。すると彼女は一枚の扳指を淑妃の足元へ投げた。淑妃はたちまち凍りつき、震える目で私に退出するよう合図した。私も従うしかなかった。


一刻ほどすると、柔嘉公主が固伦公主に封じられ、来月には昌月国へ和親するという知らせが届いた。


「柔妃が、本当に同意したの?」


私はひどく驚き、元德を見た。


「奴才も妙だと思っております。賢妃が何を言ったのかは分かりませんが、淑妃はほどなくして公主の和親に同意しました。賢妃は永寿宮で、『宮女上がりの賤婢ごときが私と争えると思っているのか』とまで言ったのに、淑妃は反抗もしなかったそうです。」元德も理解できない様子だった。


再び永寿宮へ行くと、淑妃は柔嘉が幼い頃に遊んでいた布の虎を握りしめ、涙に暮れていた。


「私たちは林如宁には勝てないわ。」


「彼女は一体、あなたに何を言ったのですか?」


私は淑妃に尋ねたが、彼女は首を振って何も言わず、ますます激しく泣くだけだった。


柔嘉公主が嫁ぐ日、宮中の嫔妃は皆見送りに来た。淑妃は泣きすぎて気を失い、ほかの嫔妃たちも、公主が寒苦の地へ嫁ぐことを惜しんだ。


「柔嘉が江山社稷のために力を尽くし、皇上のお悩みを解くのも務めのうちです。それに昌月国の太子がいずれ即位すれば、公主は王后になる。宮女上がりの淑妃が国王の岳母になれるのも、彼女の福というものよ。」


林如宁の言葉はどこを取っても、柔嘉公主のためを思っているように聞こえた。彼女は気絶した淑妃を一瞥し、手を振って宮へ送り返させた。


「やはり如儿は聡明だ。兵を動かさずに平和に共存する方法を考えつくとは。」


庶出の公主一人で戦争による損耗を避けられるのだから、承帝は大いに満足していた。


「柔嘉公主は本当にお幸せです。昌月太子の正妻になれるのですもの。公主がお嫁に行く姿を見て、臣妾は昔、王府へ嫁いだ時のことを思い出しました。残念ながら臣妾には、皇上の妻になる福がございませんでした。」


林如宁は、先皇后の母家の威勢に圧され、承帝の側妃としてしか嫁げなかった昔話をした。承帝は胸を痛め、その場で彼女を贤贵妃へ昇格させ、六宮を掌管する嫔妃の筆頭とした。


贤贵妃が再び盛寵を取り戻すと、ほかの者たちは我先にと翊坤宮へ媚びに向かった。


淑妃は一日中自分を宮に閉じ込め、柔嘉の布の虎を抱いて、昼も夜も泣き続けた。


淑妃はもともと徳妃の花房の宮女で、若い頃の林若宁によく似ていたため、徳妃によってわざと先皇后のもとへ送られた。先皇后は鬱憤を晴らすため彼女に「宁儿」と名を与え、しょっちゅう辱めた。追い詰められた彼女は大太監・东福海を頼り、ようやく機会を掴んで皇帝の寵幸を得たのだ。


そんな、屈せずに生き延びる道を求め続けてきた人が、本当に簡単に負けを認めるだろうか?


「娘娘、奴才がすべて調べ終えました。」


三日間姿を消していた元德が咸福宮へ戻り、調査結果を私へ差し出した。


真相は、なんとこういうことだったのだ!



9



私は新しく手に入れた雪狐の裘を持ち、自ら翊坤宮へ向かった。


林若宁は主位に座ったまま、私をしばらく跪かせてからようやく立たせた。


「淑妃姐姐は皇上をお慕いし、愛する方との間に子をもうけられたことが臣妾には本当に羨ましゅうございます。臣妾は福が薄く、入宮して何年にもなるのに子がございません。娘娘には大皇子という養子がおられるのに。」


「無礼者!」


佩竹が飛びかかってきて、私を平手で地に叩き倒した。私は泣きながら、怯えたふりをした。


「皇上は長いこと臣妾をお見捨てです。臣妾はただ、娘娘から皇上へ少し良いお言葉をかけていただき、自分の子を一人、そばに置けたらと願っただけでございます。」


「この狼子野心め。本宮がそなたの企みを知らぬと思うな。子どもなら、本宮だって産める!」


林若宁は肘掛けを強く掴み、長い護甲が掌へ食い込むのも構わなかった。


彼女は私を三か月の禁足とし、宮へ戻って自ら仏経を百遍書き写し、心を静めるよう命じた。


三か月も経たないうちに、贵妃が懐妊したという知らせが届いた。承帝は喜びのあまり天下に大赦を行い、私もあの退屈な仏経を書き写さずに済むことになった。


「林如宁の腹の子は皇上の子ではない!」


淑妃は大声で叫んだが、宮人たちは、彼女が贵妃を憎むあまり根も葉もない噂を流しているだけだと思い、相手にしなかった。


「淑妃姐姐、私は信じます。あの子が誰の子なのか、私には分かっています。」


私はもう一枚の扳指を淑妃へ渡した。彼女は激しく動揺した。


「こ、これは私と沈延の定情の品……。」


「沈侍衛は、あなたを裏切って宮を去ったのではありません。」


淑妃はそれを聞くと興奮して私の手を握った。私は握り返し、間違いないと示した。


「姐姐の少年郎は、あなたが妃に封じられた後、自ら望んで入宮し侍衛となりました。ただあなたのそばで守るためだけに。」


「ところが林如宁の少年郎は次々と妃を迎え、今に至るまで彼女を皇后にするという約束すら果たしていません。彼女は偶然、あなたと沈延の過去を知り、柔嘉公主が彼の子であることまで知ったのです。」


淑妃は衝撃を受け、慌てて誰にも言わないでほしいと私に頼んだ。私は必ず秘密を守ると答えた。


「彼女は激しく嫉妬し、何度も沈延を誘惑しようとして失敗すると、彼が離宮したという偽の記録まで作り、翊坤宮の密室に監禁しました。そして宮外から手に入れた迷魂胭脂で彼を惑わせ、ついには子を宿したのです。」


「行きましょう! 皇上に申し上げるのよ!」


淑妃は私を引っ張って告発しに行こうとしたが、私は止めた。


「自分の目で見てこそ、怒りも痛みも十分に深まり、昔の情を完全に壊せるのです。」



10



柔嘉公主が昌月国へ到着した日、淑妃は承帝を永寿宮へ招き、茶を勧めた。


後ろめたさがあったため、彼は案の定それに応じた。


淑妃は林若宁が若い頃いちばん好んでいた対襟の宮服と、一輪花の髪型に着替えた。もともと林若宁によく似た顔立ちも相まって、承帝は情を抑えられなくなった。


「今日は、ずいぶん良い香りがするな。」


永福宮は数年ぶりに皇帝の寵幸を受け、何夜も続けて灯火が消えなかった。一方、林若宁は妊娠八か月で出産を間近に控え、淑妃を相手にする余力もなかった。


どういうわけか、昼間に政務を執っている時でさえ、承帝はいつも淑妃の身に漂う幽かな香りを思い出した。思い出すたびに情を抑えられず、駕を永福宮へ向けた。


酷暑の盛夏、宮中には蝉の鳴き声が耳障りなほど響いていた。私が殿内へ飛び込んでも、承帝と淑妃はなお情事に夢中で、天地も分からぬほどだった。


「丽妃、どうして来た? 朕もしばらくそなたに会っていない。来い、淑妃と一緒に。」


承帝は情欲に酔い、手を伸ばして私の外袍を引き裂こうとした。


「皇上、淑妃は迷魂の薬を使っております。どうかご明察ください!」


迎杏は機を逃さず、解薬を仕込んだ線香に火をつけて香炉へ入れた。承帝は少しずつ正気を取り戻した。


「臣妾は、淑妃の宮女・晚桃がこそこそ動いているのを見かけ、人に命じて捕らえさせました。彼女はすでにすべて白状しております。」


承帝は一気に目を覚ましたようになり、淑妃を強く引き寄せた。彼は生涯、禁薬を使って寵を争う者を何より嫌っていた。かつて先帝の惠妃が迷情の物を使って盛寵を得たため、彼と母后は長年冷遇されたことがあったからだ。


「臣妾は冤罪でございます。臣妾は迷情の物など存じません。」淑妃は梨花に雨がかかるように美しく泣いた。


承帝が晚桃へ刑を加えるよう命じようとすると、小さな宮女はこんな大ごとを見たことがなく、怯えてその場へ崩れ落ち、何度も命乞いをした。


「奴婢が悪うございました! 奴婢が翊坤宮へ手伝いに呼ばれた時、贵妃娘娘の化粧台の前にとても綺麗な箱があるのを見つけたのです。最近、家にお金がなく、盗んで売ろうと思っていたところを淑妃娘娘に見つかってしまい、奴婢はほかの娘娘から淑妃娘娘へ献上された品だと偽ったのです。」


淑妃は激怒し、透かし彫りの螺鈿の箱を晚桃へ投げつけた。


「皇上、ご明察ください。臣妾が箱を開けると香膏が入っており、あまりに良い香りだったので身体に塗っただけなのです。まさか贵妃の禁制の品とは知りませんでした!」


承帝はすぐ人を呼び、林如宁を連れてきて問いただそうとしたが、私はそれを止めた。


「皇上、贵妃娘娘はまもなくご出産で、お身体を動かすのも不便でございます。いっそ娘娘の宮へ行き、はっきりお尋ねになるのがよろしいでしょう。」



11



宸妃は私を助け、林如宁付きの宮女と太監をすべて先に拘束しておいてくれた。


承帝が翊坤宮へ入ると林若宁の姿がなく、疑念を抱いた。


淑妃が先を歩いている時、うっかり博物架の上の筆筒に触れると、なんと一道の暗門が開いた。


承帝は怪しみながら暗道へ入り、その奥の密室から林如宁の声が聞こえてきた。


「沈延、今になっても南芜のあの賤人を忘れられないの? 今ごろ皇帝の身の下で歓んでいるかもしれないのよ。以前、私が寵を失った時、炭を届けてくれたのはあなただけだった。私を少しも好きではないというの?」


沈延が正面から彼女を見ようともしないので、彼女はいっそう苛立った。


「少しくらい目を開けて私を見られないの? 今、私のお腹にいるのはあなたの子なのよ!」


背後から突然、承帝の怒鳴り声が響いた。林如宁が振り返ると、驚いて榻の上へ尻もちをついた。


「皇上、ご明察ください! 柔嘉公主は淑妃とこの男の子です。臣妾がこの男を宮中に閉じ込めたのは、ただその口から証言を引き出そうとしただけなのです。」


林如宁は両手で妊娠した腹を抱え、いかにも哀れで弱々しい表情を見せた。


「皇上、臣妾は陛下がご自身の手で調教なさった女です。陛下は、ご自身が育て上げた女が、このような大逆不道を犯し、皇室の血筋を乱すようなことをするとお思いですか?」


淑妃は弱々しく承帝の足元に跪き、さらに壊れそうなほど哀れに見えた。


承帝は淑妃を助け起こした。当然、自分が調教した女に問題があるとは信じたくない。一方で林如宁についても、禁薬を使ってまで外男と苟且したとは信じたくなかった。


「皇上が臣妾を信じてくださらないのなら、臣妾は死をもって潔白を示します。」


林如宁は柱へ突進するふりをし、承帝に止められた。だがその時、彼女はこっそり机の角へ腹を押しつけた。刺激を受けると案の定、出産が始まりそうな兆候が現れた。出産の苦しみを見せ、皇帝に罪悪感を抱かせようとしたのだ。


贵妃が産気づき、宮中が大混乱になる中、沈延はその時になって目を覚ました。


「皇上、贵妃は卑職に種を借りて子を作れと強要しました。卑職が死んでも従わないと言うと、迷魂胭脂を使って卑職を惑わせたのです。」


しかし承帝はそれ以上聞こうとせず、人に命じて彼を引きずり出し、凌迟に処そうとした。


「卑職は生まれつき六本指でした。襁褓の頃、父に一本切り落とされました。これは一族に遺伝する隠れた病です。もし贵妃が産む子が卑職の子なら、必ず六本指でございます。どうか皇上、ご明察ください!」


沈延は押さえる者を振りほどき、這って近づいた。そして右手を差し出すと、小指の後ろに確かにはっきりとした傷跡があった。


承帝は迷い、産房へ行って贵妃の出産を自分の目で見届けることにした。


林如宁は皇帝が自分を案じているのだと思っていたが、男児を産み落とした瞬間、顔色を変えた。


その男児には、なんと六本の指があった!


承帝は激怒し、その場で孽種を地へ叩きつけて殺し、林如宁を冷宮へ送った。そして彼女の名下にいた大皇子は私が養育することになり、その夜その場にいたほかの下人は全員死を賜った。


「どうして林如宁が必ず男児を産むと確信できたの?」


私は淑妃へ平然と笑った。「彼女は男児を産むため、あちこちで秘薬を探していました。もちろん、私は願いを叶えて差し上げましたよ。」


「沈家の六指の怪病が男にしか伝わらず、女には伝わらなくて本当によかった。そうでなければ柔嘉の身の上まで露見していたわ。」


淑妃は胸を撫で下ろした。


林如宁は冷宮へ入れられても大人しくしなかった。長い血書を書き、承帝との幼い頃の思い出を一つ一つ並べ、自分が彼に嫁ぐため敦亲王の正妃になる道を捨てたことまで持ち出し、承帝が約束を破って自分を皇后にしなかったから、今日のようなところまで追い込まれたのだと激しく責めた。


垣根越しに馬上から遥かに見つめ合い、ひと目で君と知れば、たちまち断腸の思い。


林如宁は冷宮で皇帝と幼い頃に歌った歌謡を歌った。案の定、承帝は心を軟らげ、彼女へ死を賜る考えを取りやめようとした。


だが大太監の东福海が絶妙なタイミングで、林尚書府から見つかった十数年前の敦亲王の書簡を差し出した。そこには、林如宁が自ら求愛してきたが、敦亲王には彼女への気持ちはまったくなく、林家には別の婿を探してほしいと記されていた。


「そうか……そうだったのか。あの頃、彼女は寵を失った太子だった朕を見下していた。別の男に拒まれたから、次善の策として朕を選んだのか?」


承帝は笑いながら、やがて泣き出した。そして林若宁に鹤顶红を一杯賜った。


「白承屹に会わせて! あの人をここへ来させて!」


林如宁は人に伝言を頼み、承帝と最後に一度会いたいと願った。彼は行った。


冷宮の中は簡素で物寂しかった。林如宁は緑の菊花柄の裙をまとい、化粧もせず、素顔のままだった。


「私はそなたと何十年も寄り添ってきた。前朝の圧力のせいで、そなたを皇后にできなかっただけだ。だがそなたの心には、本当に朕への愛があったのか?」


承帝は林如宁が鹤顶红を飲むところを自分の目で見ながら、胸の痛みに堪えきれず尋ねた。


「もちろん愛していたわ。愛しすぎて、あなたと一緒に死にたいほどに!」


林如宁の口元から黒い血が滲んだ。次の瞬間、承帝が呆然とした隙を突き、椅子の敷物の下に隠していた匕首を抜き、一度、また一度と彼の心臓へ突き立てた。


人々が承帝の叫び声を聞きつけて駆け込んだ時には、もう遅かった。



12



承帝が崩御し、唯一の息子である顺瑆が皇位を継いだ。


そして私は彼の養母として、当然のように天下で最も尊い太后となった。


淑妃は新帝から淑慎贵太妃と尊称され、私は沈延を彼女付きの侍衛として与えた。


そして宸妃は悲しみのあまり承乾宮で薨逝し、妃陵へ葬られ、新帝から佳宸という諡号を賜った。


「ありがとう。」


宸妃は普通の粗衣へ着替えていたが、それでも絶世の美しさは隠せなかった。私はさらに斗笠を一つ探し、彼女に被せた。


「北魄国までの道のりは遠いわ。国境まで護送する者をつけます。寒凌がそこであなたを待っています。」


彼女が馬車に乗り、小門から宮を出ていく後ろ姿を見ながら、私は思った。宸妃はようやく自由を追い、自分だけの人生を手に入れられるのだ。


元德は私の肩に白狐裘の披肩を掛け、そのまま私に付き従って淑慎贵太妃のもとへ向かった。


「ごめんなさい。先帝は酒色に溺れたせいで、ずっと前から子を作れない身体だったの。もっと早く教えなかったせいで、あなたに自分の子を持たせてあげられなかった。」淑慎贵太妃は申し訳なさそうな顔をした。


「大丈夫です。私はとっくに知っていました。今の後宮は寂しく冷たいでしょう。敦亲王の娘は活発で可愛らしいので、私が引き取ってあなたの養女にしました。ちょうど私たちのそばにいてもらうのはどうでしょう?」


私は迎杏を呼び、人を殿内へ連れてこさせた。


「柔嘉?」


淑妃は少女の顔を見ると、興奮を抑えきれなかった。


「和親へ向かう途中で、宸额娘と丽额娘が私を別の者と入れ替えてくださったの。敦亲王が名目上、私を養女として引き取ってくれたわ。额娘、柔嘉はずっと会いたかった!」柔嘉は淑慎贵太妃の懐へ飛び込んだ。


その温かな光景に、私は深く心を動かされた。


私はいつものように元德の肩へ寄りかかった。彼も手を伸ばして私を抱き寄せた。


殿外では、陽光が雲の間から草地へ降り注ぎ、残っていた春雪がきらきらと透き通る光を返していた。


「ほら、陽の光はいつか必ず冬の陰りを追い払うのよ。」


―完―








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