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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
4.アミ編
91/120

91.現実に帰り

〜前回のあらすじ〜

孤児院にいた頃の夢をずっと見ていたアミ。やっと現実に戻ってきます。たしか……ドラゴンを倒して、魔石を手に入れたんだよね。

『おい、アミ、アミ!』


ん?タウの声?

夢から覚めるか、とは思っていたが、まさかタウから来るとは。私の、元いる世界、未来のタウだ。



そう思った瞬間、意識が覚醒する。

視界に入るのは、魔王城。

私はもう、孤児院にいないんだ。

それを思い出して、苦しむ必要はない。…苦しみの部分しか見ていないのは意味がわからないが。

そんなくだらないことを言っていられる、この居場所が、私にはあるんだ。


『ん…おはよ』


『ああ、おはよう』


あれは、全部夢だ。

久しぶりに見た、孤児院の夢だ。


「さて、起きますか」


時計を見ると、7時だ。

ちょうどいい。先に朝食を作ろう。


キッチンに降りていき、朝食づくりを始める。

もちろん誰も起きていなかった。


小1時間後、朝食が完成した。

簡素なものだが、問題ないだろう。完成したのは、ちょうど、リゼが降りてきたところだった。


「あ、リゼ、おはよ。シン呼んできて」


「うん。あと、言いたいことがあって…」


「ご飯食べながら聞くよ」


そう言うと、リゼはシンを呼びに上に戻っていった。



「ったく…まだ眠いって言ってるじゃん」


シンが起きてきた。機嫌が悪い。朝に弱いからなぁ、この兄弟。


「はい、朝ご飯できてるよ。ほら、座って」


いつも通り、朝は過ぎていく。


「「「いただきます」」」



「それで、私の言いたいことなんだけど…」


朝食を食べながら、リゼが言い出した。


「ギルドに緊急の依頼が入ったらしくて……私、今日1日国外に行かないと行けないんだよね…」


話の内容に追いつくどころか眠そうなシンは、何も聞いていないのか反応がない。

私が聞くしかないようだ。


「どこに?」


「アーヴェキニスア」


どこやねん。

……口調が乱れました。ほんと、どこ。


「リゼ、それってどこ?」


そう言うとリゼは呆れたように話す。


「魔法学院で習ったでしょ…。ウェツギがこの国の北にあって、アーヴェキニスアはさらにその北」


うーん、もうひとつ知らない国が出てきた。わからなすぎる。無理、地理は無理。


「何をしに行くの?」


国の場所を聞くのは諦め、私は目的を聞く。


「なんか、王が国賓として招待されるにあたっての情報がほしいらしくて……以前はどう招いていたのか、警備は、とか。ほら、私のスキルって最適でしょ?だから情報だけサッと渡してサッと帰って来るの。1日でいいと思うけど」


なるほど。スイウさんが、ねぇ。


「じゃあさ、アミ。僕らはウェツギで観光でもしよっか。ちょうど通るでしょ?」


いつの間にか覚醒していたシンから提案される。


「いいかも!ウェツギって何があるの?」


私が聞くと、リゼがちょっとまってて、と言ってから黙った。スキルを使っているのだろうか。

私はその間にご飯を食べよう。

黙々と食べていると、リゼが調べ終わったようだ。


「ウェツギは、観光に特化した国。海に面した、温暖な国家。国全体に漂う自由の雰囲気は今の王による政治の賜物。お土産、食事、ともに文句無し。また景色もよく、朝日も夕日も海と絶妙なバランスでマッチするため、それを目当てに訪れる人もいるんだとか」


おぉ、情報ありがとうございます。


「私、ご飯も食べたいし、お土産も買いたいし……夕日も見てみたい!」


欲張りすぎたかな……?


「うん、いいんじゃない。僕もその案でいいかな。じゃあとりあえずご飯を食べて、魔石をはめてから行こう」


「「はーい」」



素直に朝食を食べ、片付けも終わらせた。さぁ、魔石はめにいこう。


「時間がない。走るよ!」


リゼが走り出す。


「焦りすぎたって意味ないよー」


シンも走ってついていく。

……置いてかれた!


「…置いてかないでー!」


私も走るはめになった。なってしまった。




「はぁ、はあ…着いた」


地下3階、あの扉の前だ。


「よし、入るよ」


扉を開ける。

そこにあるのは、前と変わらぬ部屋。


「せっかくだし、貢献者にはめてもらおう。今回は、タウが一番頑張ったよね…でもまあ、アミ、どうぞ」


タウの功績なのに、悪いなぁ。

まあ、仕方がないか。


「えいっ」


木でできた書見台のようなものの前に立ち、ドラゴンから落ちた魔石をはめる。ぴったりだ。

数秒、赤くぴかっと光った。

そして、元からそこにあったかのようにきれいに馴染んではまっていた。


「これで良し。さて、行きますか、ウェツギへ!」


「いや、ウェツギはおまけなんですけど…私の依頼が最優先だからね!」


シンの言葉に、リゼが真っ先に突っ込んだ。

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