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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
4.アミ編
90/120

90.スイウの念願

〜前回のあらすじ〜

タウと2日過ごしてきたわけだが、その原因となったかもしれない院長先生、スイウにまた呼び出されました、というアミの夢。

またあの部屋に行く。

以前院長に呼び出されたときに行った、あのあり得ないほど豪華な部屋。

未だに何だかわかってはいないが、スキルを渡された、あの部屋。スキルってなんなんだ、ほんとうに。



部屋に着くとすぐ、人払いがされた。

前と変わらない部屋に、にこやかなスイウがいた。


「やあ、スキルはどうだい?」


今日の話題はそれか。そうだろうと思っていたが、回答は考えられなかった。もしかしたら、タウは……そんな気持ちは薄っすらあったが。でもそんな摩訶不思議なことがあるだろうか。だから、濁した。


「よくわかんないです…でも、最近変わったことがあったんです」


そう言いながら、タウに確認をとる。


『タウ、君のこと言っていい?』


『……こいつは誰だ?』


少し考えるような間があった後、そう問われる。

改めて聞かれると、この人をどう説明しよう。


『スキルを持っていた人、らしい。私さ、前この人からスキルってやつをもらって……。ここの院長先生なんだって。偉い人』


『王だな………ならいい』


王様?え、国内の権力者とは言っていたが、王様なの……?ほんとに逆らっちゃいけない人じゃん。

まあ、とりあえず置いておこう。許可は得た。


私の思考に一区切りがついたことを感じ取ったのか、スイウは尋ねてきた。


「どんな?」


「なんか、自分以外の声がして、そいつは魔法も使えるんです。自称魔王なんですけど、実際めちゃくちゃ強いので、そうなのかなって。でも、よく考えたらおかしいですよね、これ」


説明って難しいなぁ。言いながら、最後は少し笑ってしまった。我ながら、ありえない話をしている。この人は王様だ、と言われているというのに。


「……もしかして、昨日と今日起きた、失踪事件は君が関わっていたりする?」


どうやってここまでつなげたのだろうか。魔王様、っていうところかな。

言って、いいのか?タウが何も言わないってことは大丈夫なのだろうか。王様は、孤児を殺したくらいで罰するのだろうか。こんな孤児院のトップなら、罰することはない気がするが。


「そうです。すべて、私の責任です」


スイウは、その言葉を吟味するように、じっくりと時間をかけて考えている。私は、時間が止まったように感じながら、じっと彼の返事を待つ。


「そうか。そうなのか……。ついに…!やっと、僕は…」


喜んでいるのか?感嘆している?よくわからないが、罰することはないのか?じゃあいいか。


「すまない、取り乱した。こちらの話だ。…きっと、それは現実に起きていることだよ。二重人格みたいなものかな?」

二重人格…。そんなこと言うと、実際に患っている方に悪くないか……?でも、1番わかりやすい例えはこれだったのだろう。というかこの国1番の権力者だし、大丈夫でしょう。きっと。うん。


「でも、スキルではないよね…。スキルってさ、攻撃とか防御とか……そういうものだと思うんだけど。ほんと、なんなんだろうな。それは」


院長にわからないならお手上げだ。


「私もわかんないですよ。ほんと」


私は挨拶を交わしてから、部屋を後にする。

廊下に出ると、職員が待っていた。

いや、それでは語弊がある。

明らかに敵対の雰囲気を感じるような、そんな職員どもが6人ほど。


「院長先生とは、何をお話に?」


手から火を出しながら、ひとりの職員が聞く。

脅しだろうか。ここ2日、炎と呼びたくなるレベルの火を見てきた私からすると、何も怖くない。

……ちょっと盛りました。足震えてます。


でも、安心感が少しあるんだ。タウが、いる。


『タウ、どうすればいい?』


『事を荒立てないことが大切だろう。……とりあえず毒だな。アミ、やっていいか?』


敵対してくる職員だ。何も文句はない。

感覚は、鈍っている。


『うん、殺さないように』


『そうだな。〈痺毒〉』


少し辺りが紫に光っただろうか。

その後、職員はバタバタと倒れていく。


かなり音がしたような……。ちょうどここは、あの部屋の前。もしかして院長先生が…。


そう思って後ろを向くと、扉は開いていた。院長先生が、立っていた。


「どうかした?……すごい音がしたと思ったけど、これは…アミ、言い訳は?」


「相手が敵対行動を取ってきました。いつの間にか、倒れていました」


これが、最も良い答えだ。例え、これにより捕まろうとも。私がそう答えると、スイウは事を思い出すように目を閉じた。


「そうだねぇ……僕は最初から見ていたから信じるよ。なんとも美しい魔法で……いや、それはいい。でも、職員を6人もクビにするとしんどいからね。処分なしでいいかい?彼らには急に雷が落ちてきたとでも言っておくよ」


ホッとする気持ちから、その後どうしたかは忘れてしまったが、5年間の日々は覚えている。

訓練と実践、そして思考と反省の日々。

楽しいような、疲れるような。

タウと仲良く?過ごしていたのだったなぁ。


こんなことを話し出すとは、この夢ももう終わりだろうな。ここからは、面白い毎日だというのに。

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