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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
4.アミ編
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86.呼び出し

〜前回のあらすじ〜

何をやらかしたかよくわからないけれど呼び出された孤児院時代のアミの夢。

しばらく孤児院の中に入ったあと。

いつもとは逆向きの職員向けの棟に入ることで、事の大きさを実感していた。明らかに、私たちがいつも暮らす棟よりもきれいだ。


「アミ、辺りに人がいなくなったので、今回の用件を話します」


目的地に向かう廊下で、アオが話し始める。


「今回は、院長、スイウ様からのお呼び出しでございます。バレたらさすがにまずいかと思い、秘密裏に進めさせていただいております」


それはめちゃくちゃ助かる。

バレたら、居場所がなくなるだろう。

この孤児院は、なかなかに環境が悪い。

だからみんな、ここから出ることを望んでいる。たとえ、友達と別れるとしても。

そんな中、引き取り先が見つかった、もしくは見つかったのではないかという行動を取られたら?

それはもちろん、攻撃の対象となってしまう。

絶対、バレないようにしないと。引き取りではないだろう、しかし誤解を招く可能性はある。私は、今の居場所を失いたくないのだ。



しばらく歩き、豪華な部屋の前に来た。なぜ豪華とわかったかと言うと、扉がとても豪華だからだ。

磨かれた焦げ茶色の木の扉。取手は金色に輝いている。ここまで続く廊下は、途中からカーペットが敷いてあった。

アオがノックする。


「スイウ様、アミを連れてきました」


「ご苦労。開けて」


中から、薄っすらと男性の声が聞こえる。

その後、扉が奥へと開く。


「ようこそいらっしゃいました」


中の男の人が扉を開けてくれたようだ。

しかし、声が先ほどの人と違う。つまり、もう1人いるということか。


「アミ、来なさい」


そう、この声。この声を聞いたんだ。

私は部屋の中へと招かれる。

明らかに住む世界が違うのであろうその部屋に、私は一歩を踏み出した。



部屋はとても広かった。

赤の絨毯にきらきらのシャンデリア。

暗めの色をした木の執務机に、革張りの椅子が奥の方にあり、そこには男の人が座っていた。とても綺麗だ。私はとりあえず、入り口の近くに立ち尽くす。


「アミ、来て。他の人たちは外に。ウイは扉の護衛。誰も近づけないように。アオは帰っていいよ」


「「かしこまりました」」


ふたりともが、外に出ていった。

おいていかれた、という気持ちと、何が始まるんだという少しの隠せないワクワクが渦巻く。


「ふたりきりだね」


そう言ってから、スイウは指を一つ鳴らす。

風の膜が張られた。


「大丈夫。防音してるだけだよ」


私はよほど不安そうな顔をしていたのだろうか。

スイウは少し笑いながら、私にそう言った。


「ところで、君の好きな本は?」


唐突な話題転換に驚く間もなく、私の答えははじき出される。もちろん、


「魔王の軌跡、です」


孤児院に置いてある本のひとつだ。

魔王様がいかに過ごしてきたのか、何があってどういう反応をしていたのか。そんなことが冒険譚のように綴られた本。


私はしまった、これでよかったのだろうかと思うあまりスイウのほうをパッと見つめると、うんうんとでも言いたいかのように頷いていた。正解だったようだ。


そして机の中から魔石を取り出す。


「これに触れて。スクリーンみたいなのが出てくるから」


言われるまま、私は魔石に触れる。


「魔力量250/250 レベル2 属性 風、毒、土」


スイウの言う通り、スクリーンが出てきた。

これは、何が書かれているのだろう。


「うん、完璧。じゃあ、ここからが本題」


満足そうなスイウが話を切り出す。


「君に、スキルを受け渡すよ」


えっ…。

スキルって、魔王様が持っていたとされる?

でもそもそもスキルって何?

いきなり来たスイウさんは、なぜ私を選んだ?

様々な疑問に飲み込まれそうになる私は、思わず言葉をこぼした。


「なんで…」


万感のこもった言葉だった。

だが、スイウからの説明はなかった。


「もう、渡したから。僕はもう持ってない。あと、いい?僕の言うことは、ここでは絶対だ。疑問なんて必要ない」


理不尽だ。でも、これが社会だ。


「これって…なんなんですか?」


スキルを渡した、と言われても実感がない。

疑問ではない、質問だという屁理屈を持ちながら、聞いてみた。


「うーん、魔法に似たようなものなんだけど…。他のスキルはわかりやすいんだけどさ、これはめちゃくちゃわかりにくいの。説明不可能」


持っていた本人から言われたら仕方がない。

わからないなりに、何かを授けられてしまったなりに、頑張るしかない。よくわかんないけど。


「これから、1ヶ月毎ぐらいに様子見にくるから。よろしくね、あと、頑張ってね。帰っていいよ」


意味深な言葉だ。

しかし後の私はこう思うことになる。

あぁ、ラゼイがいたということを、スイウは知っていたのだ、と。

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