84.酒までの道のり
〜前回のあらすじ〜
酔っ払った魔王共が暴れてました。事の顛末を聞き出そう!
私はお風呂に入ってから、部屋に戻り寝る準備をした。
『タウ、結局シンと何をしてたの?』
ずっと気になっていたが、リゼのいる中で聞くのはさすがにだめかと。
『そうだなぁ……とりあえず招くか』
そう言った矢先、私は白い空間にいた。
タウは私の前でくっくっく……と笑っている。
『俺の願いを聞き入れるならば、話してもいいぞ』
……たぶん大丈夫でしょう。裏切らなければ、それでいいもん。私には、彼しかいない。
『いいよ。何?』
すると、タウが私の頭を撫でてきた。
時間にすれば数秒だっただろう。
でも、私は完全に思考が止まっていた。
意味がわかんない。ほんとに。
え、なにが起こったの?
顔の体温が一気に上昇する。
絶対赤くなってる。
『いつもよく頑張ってるな。…よし、これで俺の望みは終わりだ。心置きなく話せるな』
……もうそれどころじゃないって…。
『とりあえず、帰すぞ』
そう言うと、私は現実に戻されていた。
「えっ、いや、まだ私の心が落ち着いてないんですけど!」
最初よりは落ち着いたけれど、まだ…。
しかし、私の声は虚しく部屋に響くだけだ。
『そうか。じゃあ、話すぞ』
他サイドの物語が始まった。
「そういえばさ、そのスキルはどうなってるの?感覚というか…」
言いたいことはなんとなくわかる。
俺はシンが取り出したお酒を見ながら話をする。
「アミと共生してる感じだな。ただ、意識だけがあるというかそういう感じだ。スキルを使えば、昔と同じように生きられる。ただ、魔力の問題、使用回数の問題はあるがな」
いずれ、解決させたいところだな。
「…まあいいや。僕のスキルがタウによく伝わらないのと一緒か。2つ目に行こう」
そうして、シンは2つ目の質問をする。
「昔読んでた漫画って…まだあるか?」
おい、いきなりゆるい質問だな。
呆れる、としか言えない。
「あるが?ただ鍵がかけてある上に、俺がそこまで好きじゃなかったやつはあそこに置いてある」
あそこ、とは、実家のことだ。
「そっか…じゃああのやつは?」
「ある」
しばらく話を聞いたところ、読みかけだったのに関係悪化により、読めなくなって、400年より長く引きずっていたのだとか。
一途というか、執着というか。
「まあ、欲しいやつはお前の部屋の隠し扉の奥に置いておく。今選べ」
隠し扉の開け方を伝え、俺はシンから題名を聞く。
「ありがとね」
めちゃくちゃ嬉しそうだな。
雰囲気がものすごく和らいでいる。
「これは解決だろう?よし、シン、飲むぞ!」
俺はグラスを取り出し、机に置き、酒を取る。
そして、注ぐ。とぷとぷと言って入っていく。グラスは結構大きめなやつしかなかったため、それいっぱいに入れている。
しかも、かなり度数が高いはずだ。これ。
2人分注ぎ終わり、俺たちは向き合う。
「じゃあ…」
「「乾杯」」
一気に半分くらいをぐいっと飲みほす。
「うん、やっぱりうまいな。これは」
甘めなのが好みだ。
「そうだね。これは一気に飲みきれるね」
そう言ってすでに顔が赤いシンは、残りを半分ずつ2つのグラスに注ぐ。
そうされたら、飲むしかないだろ。
思いっきりグラスを傾け、飲みきった。
甘い、深い酒の味わいを楽しんでいた。
『ここで記憶は途切れている。魔法を使ったような気もするが……たぶん酔っ払ったな』
私はどうか知らないけれど、この2人は絶対に弱い。今の話を聞いて確信した。お酒には弱い。
リゼと今度飲んでみようかな。私も気になる。
せっかく15歳になったというのにまだ私は飲んだことがないのだ。
『お酒かぁ。飲んでみたいねぇ』
『そのときは俺も呼べ』
だめに決まってるでしょ!!
『だめ!リゼと2人で飲むの!』
『そうか…』
意気消沈、という感じで引き下がった。
『物事の顛末はこんなもんだ。そろそろ寝たらどうだ?』
そう言われて時計を見ると、すでに22時だ。
普段ならとっくに寝ている時間だ。
『じゃあ、おやすみ』
『おやすみ』
すぐに意識はまどろんだ。




