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8.王城へ

曜日感覚が狂っておりました。

働き過ぎもよくないですね。

というわけで1日遅れですが掲載します。

そんな話し合いをしている間に、王城の門に着いた。

門の前には、門番としてだろうか。鎧を着た兵士が2人立っている。

シンは彼らを一瞥してから言った。


「僕が話をつけるから。いざとなったら…リゼとアミの毒魔法にでも頼るか。睡眠のやつ」


つまり、強行突破ってやつだ。


「すみません。王に用事があります」


シンがいつの間にか兵に話に行っていた。

すると片方が慌てたように、


「スキル持ちの!通すよう言われております」

と言っている。

相手からしたら想定済みということ。試されているようだ。




広い門を通り、城の中に入る。

もしかしたら、スイウさんは敵なのかもしれない。そう思うと自然と肩に力が入る。


リゼは剣をどこからか取り出し、シンは白の手袋を口で器用に外した。

私は…そんなかっこつけ方考えたことなかったから、よし、とつぶやいて落ち着くようにした。

今度までになにか、考えておこう。


「いいね。作戦通りいくよ」


「「わかった」」


怖い。でも、やるしかない。

途中で依頼を放り出すのは、なにか違う。


少し歩き、階段も登った。

スイウさんが、廊下の先から出てきた。


「いらっしゃい。よく来たね」


いつも通り、微笑みながら言った。

この言葉で確定した。

彼は、知っていてコンパスを渡した。

敵なのかもしれないが、まだ味方の可能性はある。

疑いすぎずにいこう。


「まあ、そう怖がらないで。実力試しだよ」


敵か…わからない。


「僕は、君たちの実力を知っておきたい。人死にはできるだけ出したくないしね。こちらにも戦闘員はいる。だから、戦ってみない?もちろん、死にはしない。僕が回復させるからね」


「それでも死ぬときは死ぬよね?」


とりあえず、聞いてみる。誰かに向かって、というわけではないけど。


「えっとね…契約ってわかる?」

リゼが答えてくれた。

でも、わかんない。首を横に振る。


「契約っていうのは、闇魔法の一種で、対価によって契約を結ぶこと。違反するとそれなりのペナルティをくらう。それで、今回でいう回復は、この契約を使ってる。と言っても、人と人とでする契約じゃなくて、人と”理”でする契約」


「”理”?」


ことわり、とは?


「世界のルールみたいなもの。続けるね。その方法は、回復したい本人の魔力をすべて使うことによって、その人を仮死状態にすること。そうすればその後に回復魔法で治し、生き返らせることができる。しかも、魔力をすべて使い切るから動けなくなり、勝敗も見分けやすい」


「えっ、魔力ってなくなると動けないの?」


「そう。10以下だと。1分で1ずつ魔力は回復するから、10分は動けなくなる」


そうなんだ。初めて聞いた。

でも、リゼがここまで知ってるってことは、多分安全なのだろう。


「じゃあ、大丈夫かな。よし、勝とう」


やっぱり、勝負するなら勝ちたい。

私たちの体が、淡く光る。


「はい。契約完了。じゃあ、位置について」


その言葉と共に、3人、騎士のような人が出てきた。

といっても、鎧を着ているわけでもない。

私達に合わせたのだろうか。


「よーい、はじめ」


スイウからの掛け声がかかった。

ゲーム開始だ。


私は相手の3人をまとめて剣で斬りかかる。


「解析完了!」

リゼは解析を終わらせたようだ。さすが。まあ、勝負が始まる前から解析していただろうから、当然とも言えるかも。


「アミ、炎で」


リゼからの指示が飛ぶ。

私は無詠唱で火属性の魔法、タウが炎火と呼んでいたものを発動する。


相手3人の周辺が、紅い炎によって勢いよく燃えた。


「アミ!水!」

シンの焦ったような声が響いた。

よく見ると、下に引いてあった絨毯が燃えかけている。

私はとっさに水属性の魔法を発動し、水を出す。

あたりが水で包まれた。

消火完了。


相手の3人は、スイウの魔法で生き返っていた。


「いや、お見事。合格だ。これなら大丈夫でしょ。それじゃあ…はい。これが、本物のコンパスだよ」


そう言って手渡された、前のと同じようなコンパス。

でも、明らかに雰囲気が違う。前のよりももっと禍々しいというか、多大な魔力を感じる。私で感じるってことは、服のやつよりも多く魔力がこもっているのだろうか。


「前のは僕が作ったのだったからね。やっぱ違うでしょ。魔王様の魔力」


なるほど。スイウさんが作ったコンパスだったのか。道理で。


「次の行き先は、きっと危険だ。気張っていきなよ」


「言われなくとも」


白の手袋をはめながら、シンが答える。

私たちも、同じ気持ちだった。


王城からの帰り道。

シンが独り言のようにつぶやいた。


「やっぱりあいつが関わってるのか。なら、方向的にも魔王城が目的地なのかもな」


!!魔王城。なんかすごそう。


「狙い通りって感じだけど、行っても大丈夫なの?」


たしかに。リゼの言う通りだ。

手のひらの上で踊らされてそう。


「でも、手がかりはこれだし…スイウさんもなにか関わってそうだし…行ったほうがいいんじゃない?」


「まあ、そうなんだけどさ。あと、おそらく、タウはひっかけるようなことはしない。正々堂々戦いたいタイプだと思う。そこは信頼がおける」


弟のシンがそこまで言うなら大丈夫だろう。

シンは少し行くのが嫌そうだけど。


「「じゃあ、行こっか」」


私とリゼ。多数決の原理だ。


「そうだね。行こう」


シンも、覚悟を決めた。

これからみんなで、挑んでいく。

たとえ、これが最後だとしても。やるしかない。

なぜなら、それが自分の信念だから。

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