72.殺気
〜前回のあらすじ〜
ついに魔王城に突入!コンパスの指すものを探そう!
ん?なんか、リゼがフラグを立てたような気が……。
「よし、これで安全だね」
リゼの立てたフラグは回収される。
リゼが踏み出した次の瞬間、シンから、異常な雰囲気が醸し出される。
「リゼ、止まれ」
命の危機を感じている。攻撃しなければ、殺される。
『アミ、大丈夫だ。とりあえず動くな』
タウが、話しかけてくる。
『でも、なんか攻撃しないとっていう気に…』
『気になるだけだ。問題ない。というか俺が同じことをすれば解決するが…回りを巻き込むのは本意じゃないだろ?』
『ほんとに大丈夫なんだね?』
『ああ』
じゃあ、きっと何かの作戦だ。
でも、リゼにはそんな余裕はないらしい。
リゼが、尖った氷を矢のようにをシンへと飛ばす。
シンはそれをひょいっと避けた。
「大丈夫。罠があるから止まらせただけ」
そう言われてリゼが進もうとしていたところを見ると、罠があった。
というか、わかりやすい矢の発射装置があった。
「隠蔽されてたけど何らかの条件を満たしたのかな?」
「多分そうだと思う…ありがとう、シン。でも、どうやったの?…って、まさか」
リゼは何かに気がついたようだ。
ちなみに私は何もわかっていない。
「そう。殺気だ。できるか不安だったけど…タウのことを思えばできるね。これ」
殺気?殺そうとする気、だよね?本当に何があったのだろうか、タウとシンには。
でも、シンの殺気とやらで思考が晴れた気がする…。ん、思考が晴れる?
「ここらへん、何か毒みたいな?なんというか…思考が鈍るような…」
「え…そんなこと…リゼ、調べてみて」
「ん、わかった……っ!!毒だ!今解毒薬作るから待ってて!」
私は、毒だってことがわかるし、解毒もできるけど、何の毒かは簡単にわからない。
ここは、リゼに任せるほうが確実だ。
数十秒後、私たちのまわりに魔法陣が展開される。
「よし、解毒完了…アミ、お手柄。ってあれ?廊下って案外短い?」
言われてみてみれば、廊下は先程よりも長くない。
「幻覚作用…?でも、距離は実際あったように感じたから移動速度低下とかもあるかな…」
考え事が口に出ていたようだ。シンから返事があった。
「でもアミ、それなら僕がわかるはず…あっ、だから思考妨害か」
納得がいったようだ。
地下3階の廊下は、先ほどよりも短く見える。
特徴的なのは、途中に扉があることだ。
「すぐそこに扉があるし、走っていこっか」
「うん。あの扉であってる。僕が前見たやつだ。入ってはいないけど」
「なんのためにこんなところまで来たの?」
至って普通の疑問を私は口にした。
「タウが紹介してくれた」
やっぱり君たち、仲良かったんだね。
扉の前に立つ。
「よし、行こう」
扉を開くと、一面が白な…いや、いつもタウと会ってるところと比べると、タイル風になってるから一面、とは言いづらいけれど。まあ、中くらいの大きさの部屋があり、中心に石でできた書見台のようなものが置いてあった。ただ、書見台ではない。なにかくぼみのようなものがある。
『アミ、召喚しろ』
『さっき言ってたやつね。わかった』
「召喚」
「え、アミなんか言った…?」
ぼそっと呟いたつもりだったのに。リゼが鋭い。
「いや、なにも…」
誤魔化そう。バレてるとは思わなかった。
タウは空気を読んでくれているのだろうか。少し出てくるのが遅めだ。
「ここに何かをはめるのかな?…タウ、さっさと出てきてくれよ…」
シンはもう頼ることしか考えていないようだ。
すると直後、書見台の奥に光が集まりだす。
「よし、さっさと用件を話して帰るからな。今回も4分しかない」
「説明係にしては心配な時間だな…」
「別にいいじゃないか。お前らがちゃんと聞けば…」
「いやだね、私は。お前をここで殺す!」
リゼが盤面を狂わせてきた。
そう宣言してから、タウに向かって剣を振る。
タウに当たるかと思ったとき。
世界は時を止める、いや、止めた気がした。
「ほお…ならばこうするか」
タウがそう言った次の瞬間、というか話の途中ぐらいから、猛烈な寒気がした。
動けない、とか言うレベルじゃない。
俺にはお前らなんか簡単に殺せる、そう言いたいかのような圧倒的な強者の雰囲気を感じる。
これはおそらく、さっきの…
「おい、リゼ。そこに座ってろ」
タウが指さした先へと、リゼは歩き、座る。
意識がないような雰囲気を感じる。
生物としてのなにかが、従えと言っているだけ。
いろいろと聞きたい…けど話すことはできない。
ほんと、少しでも動いたら死にそう。
それくらいの恐怖を感じるのだ。
それが、タウの殺気だ。
もしかしたら、聞けるかな。これで。
『タウ、何でわざわざ』
いけた!!
これで、意思疎通が楽になった。
『お、使えるようになったか。あぁ…まあ発動回数に制限があるからな』
『へぇ。で、殺気ってなんなの?本能に直接来る感じの…』
『解釈は大体合っている。殺気は詳しく言うと、そいつの魔力と、想いの塊だ。魔力が多いほど強くなるし、想いが強いほど強くなる。自分の殺気で相殺することもできる。戦うときに使うときもあるな』
『そうなんだ。今度教えてよ』
『教える際にお前が苦しくなければな』
『うわっ…物騒』




