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7.答え合わせ

「それで、転移魔法…風属性だよね。それが使えるってことは、アミの属性が追加されたって感じ?」


シンが、話を逸らすように話しかけてくる。

乗っておいて損はない。


「正解だ。アミの属性を俺が使うこともできるし、アミが俺の属性を使うこともできる」


便利だよな。全ての属性が使えるのだから。


次に、と前置きをしてシンが話してくる。

面白い話だったら、答えてやるか。


「で、タウ。君はいったいなんなんだ。アミの別人格?それはそれでよくわかんない。どうやってそうなった?もし故意だとしたら、目的は何?なんでわざわざ、500年前に死んだの…?」


多いな。しかも、最後のに関しては答える気が一切ないし。


「俺もよくわかってはいない。というか、質問には答えない契約だ。だから答えない」


「へぇ。まあいいや。仕方がない。スキルはまだ使えるの?」


まあ、それくらいなら答えてやってもいいか。


「おそらく無理だ。というか、そうだ。俺の刀に勝手に細工するなよ。軽くなってて使いにくい」


何か実験したのだろうが、迷惑極まりない。


「はいはい。別にいいでしょ」


よくはないが?


「少しは後悔しろよ…。あ、あとさ、現代で1番強いのは誰だ?」


機会があったら戦いに行ってもいいな。


「僕を除くと…スイウ…いや、でも…」


あぁ…なんとなくそうだろうなと思っていた。それなら、戦ってはいけないだろう。


「ならいい」


「自分勝手だなぁ…。そういえば、アミのスキルは時間制限、ないの?」


シンは知ってるもんな。俺のかつてのスキルに、時間制限があったこと。正しくは勝手に設けたこと。


「大丈夫に見えるか?魔力消費が大きいせいで、長時間使えない上に、回数制限もある。1分で180だ。というわけで、もう帰るぞ」


少し言いすぎたかもしれないな。これくらいならいいか。

転移魔法の発動を準備する。


「使いにく」


シンが何かを言っている途中だったが、転移した。







気がついたら、朝だった。

私は眠い中、隣の部屋にリゼを起こしに行こうとする。

でも、何かいる。


「あれ…?シン…?」


床でシンが寝ていたのだ。なぜ…?


「おーい、起きて〜。ここは風邪ひくよ…」


流石に起こさないとまずいだろう。


「ん…あ、アミか。おはよう」


「おはよ。なんでこんなところで寝てたの?」


「いや、僕の部屋に虫が出てさ…リゼの部屋だと殴られそうだし…」


言い訳をするような口調だ。私も殴ってやろうかな。


「まあ、いいや。今日はどうするの?」


「コンパスの指す先、行ってみようか」


ついにとうとう、物語が動き出すそうだ。



シンがリゼを起こしにいき、朝ごはんも食べ、作戦会議が始まる。


「ここの場所に行けたとして、何が起こるかわからない。対策をできるだけ練っておこう」


シンの言う通りだ。

でも、リゼが反論する。


「前言ってたやつでよくない?私とアミが攻撃、シンが防御の」


リゼは軽い口調で言っている。しかし、それに返事をするシンの口調は重いものだった。


「いるのが、あるのが敵だけとは限らない。あの魔王のことだ。毒でも仕掛けてあるかもしれないし、即死レベルの罠があっても違和感はない」


やけに知ったような感じのセリフだ。

そんなシンにも、リゼは引き下がらない。


「即死レベルなんてあるわけなくない…?何のために依頼をしたのって話になるじゃん」


「あいつは、僕らにとって即死レベルなことに気がつかずに罠を仕掛けることもある。まあ、依頼をした理由が僕らを殺すことだったら、話は別だけど」


そんな恐ろしいことがあるのかな…?

私に関してはほぼ関係ないだろうし。

というか、


「シンは魔王と知り合いなの?さっきから口調がそんな感じだよ…?」


そう私が言うと、シンは悩んだような素振りの末に言った。


「兄だよ。ただの、人殺しだ」


おぅ…。理解が追いつかない。


「つまり?シンは魔王の弟ってことであってる?」


シンは黙って頷く。

まさかの新情報すぎる。


「リゼは知ってたの?」


仲良さそうだし。


「まあ…ね…。情報分析に500年前の情報もあるから、なんとなく」


言い訳っぽい口調だ。触れなくてもいいかな。


「そっか。で、それより、即死レベルの罠だったらどうするの?諦める?」


「それが妥当だね。その他としては…。毒はリゼに任せる。回復は僕がやる。アミは攻撃に集中していいよ」


「「わかった」」


「じゃあ、行こう」


宿から出る。

前回の反省を活かして、今回はシンがコンパスを持っている。


「これは…北、王城の方だね」


シンは、一息吸ってから言う。


「とりあえず歩こうか」




道に沿って5分ほど歩いた後。

王城を通り過ぎたところら辺だ。


「あれ?向きが変わった…?」


シンがつぶやく。


「近いね。でも、こっちの向きは…王城だよ?」


リゼは、不思議だねとでも言いたいように言う。


「行ってみようか…」


少し不安そうな声が聞こえる。気がつかなかったが、自分の声だ。


「行こう」


シンの言葉で、方針が決まった。



不安すぎる私は、タウと話すことしかできない。


『タウ、なんでかわかる?』


『言うわけないだろ』


反射的に答えるようにそう言った後、息を呑む声が聞こえた。


『やらかした…』


その言葉が聞こえる以前に、私の脳が、理解を拒んでいる。

今の言葉の意味は。そういうことだ。

よく考えればわかったはずだ。なのに、気がつかなかった。

最初、タウは自分が魔王だと名乗ったはずだ。

なんで忘れてたんだろう。その魔王が、依頼したんだ。

思考が停止していた…としか思えない。


『なんで…気がつかなかったのかな…』


『毒魔法だ。実験だな』


そっか。タウが原因か。


「なら、仕方がないか」


私は空に向かって、つぶやいた。




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