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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
3.前哨戦編
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64.巣食う悪意

目が覚めたのは次の日の朝、太陽が上がった頃だった。


「起きたぁ。まだ眠い……」


眠いが、眠気に食欲が勝った。

昨日何も食べていなかったのが地味にきつい。


「お腹すいたぁ。なんか買ってこようかな」


タウも応答ないし、行っちゃおう。


「えーと、ご飯系…孤児院近くのあの店、やってるかな」


そこしか心当たりがなかったため、そこに決めた。

私は宿から南に30分ほど歩いていった。


「懐かし〜」


やっぱり、嫌な思い出も多いが、歩いていくと楽しい。

楽しみながら歩いていき、ついたのは思い出よりもボロボロなパン屋さんだ。


「ここ…だったよね。うん」


なんか、違和感がある。

なんというか…廃居感があるというか。

都会に慣れすぎたのかもしれない。


一応、openと扉の札はかかっている。

とりあえず、開店していそうだ。


「すみません」


中にいるのは、知り合いのおばちゃん。


「いらっしゃい…あ、アミちゃんか!もしかしその格好は…」


「あ、孤児院卒業したので…」


言うの忘れてた。


「そっかそっかぁ…それじゃあ、いつものパンよりも…ちゃんとしたの頼めるようになったのかな」


そうかもしれない………あ!


「お金忘れた…」


やらかしたー。これではパンも買えない…いや、いつものならば買える。


「あはは。アミちゃんは天然だねぇ。じゃあいつものでもいいかな」


恥ずかしい。


「お願いします…」


数分後、パンは出てきた。


「よし、袋詰め完了。ぜひ店で食べていきな」


いつものパン…それは、サンドウィッチの残りとなるパンの耳だ。

孤児院にいた頃はありがたくもらっていた。


「ありがとうございます」


「うん、どういたしまして」


気のせいか、黒い笑みが見えた気がした。

私は席につき、パンを袋を開ける。


「じゃあ、食べるかぁ…ん、美味しいね。でも…なんか違和感というか…」


なんだろう。

前まで食べていたパンと違う味がした。


「あれ…なんか苦しい…」


そう思った直後。

吐き気がする。頭痛がする。心臓が痛い。

症状は悪化していくばかり。


「なんで…?」


おばちゃんを見る。笑っていた。こちらを見下しながら、笑っていた。

見ている余裕はなかった。直後に吐血する。


「くうっ……」


ただ、ひとりもがく。

でも、こんな早い時間帯。人が入るわけもない。


「いやぁ、孤児院の子たちから噂は聞いてたよ。裏切り者が」


おばちゃんは……知ってたのか……。

いや、そんなことよりも、今は生きる術を……。


「タウ…助けて…!」


ついつい、癖で呼んでしまう。

こんな時間、タウは寝てるのにね。


『別に寝てねぇよ。というか、お前が死にかけなのに寝てたら俺も死ぬだろ』


タウ…!


『少し待ってろ…回復…いや、今回の場合はこっちのほうがいいか』


何をする気……?


『〈スキル????〉』


視界が白に染まった。


『どうだ?驚いたか?』


次に目を開けたのは少し後だった。

一面が白の部屋。中にはなにもない。

ただ、私と小さな子が立っているだけだ。


『君は…まさか…』


『タウだ。面と向かって会うのは…』


『それより!死にかけなんですけど!』


叫んでしまった。吐血が収まらない。

マジでもうすぐ死ぬのでは…?


『逆薬』


そう唱えられたと思ったら、痛みは消えていく。


『これでどうだ?』


流石、としか言えない。

いきなり体が軽くなった。


『ふっふっふ…流石だとでも言いたそうだな』


ほんと、その通りだ。


少し気持ちの余裕ができたから、しっかりとタウと向き合うことができた。


130cmくらいの身長に、薄めの着物。

右腕には鎖のような腕飾り。

白い髪に赤色の目。

これは間違いなく…


『魔王様だ……』


まさしく本で読んだ通り。


『でも、なんでいきなり…?』


『おそらく、昨日ドラゴンを討伐していただろう?それでレベルが上がったのだと思う。調べてみるか…』


調べられるのか…。


『うん。53レベル。そういうことだ。まあ、便利になったということで。会議がしやすいし、なかなかに居心地も良くなった』


へぇ…じゃあいっか。


『それで?何があった』


それは…まあ、話してもいっか。

というか断片は知ってるはずだし。


『お腹すいたなぁって思ってパン屋に行ったんだけど…恨まれてたらしく、毒入りだったんだと思う』


『…俺が見ていたのは、毒を食らったところくらいからだ。だからわからないが…孤児院近くのパン屋か?』


なんで…。


『なんでわかったかという顔だな。あそこは昔からあまり態度が良くなかったからなぁ』


『あそこの店の人、孤児院から出た人らしくて、私たちに丁寧だった。みんな買いに行ってた。だからきっと噂も回ってたんだろうなぁって…』


思い出したくもない。孤児院の記憶なんて。


『そんな悲しい顔をするな。来い』


…??一体何だと言うのか。

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