5.その後の話
気がつくと、私はシンの膝の上で寝ていた。
…え!?ちょっと待って!意味わかんない!
顔を赤くして、シンから離れる。
「ちょっと!これどういう状況!?」
「ははっ、まあいいじゃん。大丈夫?どこまで覚えてる?」
シンがからかうように笑った後、少し間を置いて真剣な顔で聞いてくる。
でも、あれ?記憶が、途切れてる…?
「えっと…ギルド出て、コンパスを見ようとしたら奪われて…」
言っているだけで申し訳なくなってきた。
「ごめん」
「いいんだよ。取り返せたし。それだけわかってるなら大丈夫かな。アミはね、途中で倒れてたから僕が運んできたんだよ」
なんとなく状況もわかって落ち着き、辺りを見回すと、大量の灰がここにはあった。
一体何があったというのか。いずれわかるかな。
他には何か…と思って辺りを更に見回していると、奥からリゼが走ってくるのが見えた。
「ちょっと〜早くない?」
息を切らしてやってきた。するとシンは、忘れていたというような顔で、
「あ、ごめん。あと、アミ、ちょっといい?」
と言った。何だろうか。
そう思い、首を軽く傾げる。
「この髪飾り、つけといて。お守りみたいなものだよ」
そう言って渡されたのは、先ほど作っていた髪飾り。
お守りって、なんかすごそう。
「ありがとう」
せっかくなら今つけようと思い、つけてみる。
左側の三つ編み、その原点あたりにつける。
「えっと…どうかな」
鏡でも持ってこればよかった。
「まあいいと思う。外れないように気をつけてね」
見上げたシンは思いの外、真剣な表情だった。
「わかった」
だから私も神妙に頷いた。
「で、これからどうする?コンパスのところ行ってみる?」
不意にリゼが言った。
「とりあえず、そうしよう。でも、アミの今後の身の振り方も考えておきたいね」
シンが、今後の方針を決めていった。
「アミ、どんな戦い方ができるの?」
リゼに言われるが、戦いなんてそんなにしてきてない。
「わかんないよ…」
「じゃあ、属性ってなに?」
シンに聞かれる。記憶を探って思い出そう。たしか…。
「火、水、風、土、毒、光、闇だったような…」
するとふたりは意表を突かれたかのように、
「「マジ?」」
となる。なんか不安なんだけど。
「えっ…多分…」
すると、リゼが興奮したように言う。
「それすごいよ!属性って普通2つで、3つなら多い方なの!4つが最高記録でさ!4つなんて魔王以外いないけど!それを軽々と越してくるなんて…」
なんかすごかったらしい。
正直、めちゃくちゃ驚いた。
「まあ、タウの影響かもな…」
だから、そうやってシンが言っていたのも聞き逃した。
しばらく考えたようにし、話し出す。
「まあ、基本的にはアミが攻撃。僕が防御とか回復とか。リゼは解析しながら攻撃。これでどう?」
私はよくわかんないからいいや。とりあえず頷いておく。
「いいと思うよ〜」
リゼは許可を出した。
「それで、アミの攻撃なんだけど…リゼ、なんかいい案ある?」
「う〜ん、剣だと安定するよね〜。でも、魔法もそれだけ使えるってなるともったいないよね。どうしよう」
リゼはうんうんと唸りながら考えている。
『タウはなにがいいと思う?』
『まあ何でもいいと思うが…剣と魔法のふたつを使うのは可能だし、強い。今までの訓練通りでいいと思う」
なるほど。剣をメインに、魔法をサブで、という感じね。
「今日はもう遅くなるし、明日いろいろ試してみよう。宿でも行って寝よっか」
シンが言ったから気がついたが、今後について考えている間に、空は赤く染まっていた。
そりゃあ孤児院を出てきたのは昼に近い朝。妥当だね。
シンが見つけてきた…というか昔使っていたという宿、そこを使った。
異世界のものが多いタイプで、1フロアにひとつ台所と食事場があるし、1部屋にひとつ、お風呂もある。
「じゃあ、また明日」
夕食も食べ終わり、すぐ部屋に入ったため、一足早く私は眠りについた。
だから、シンとリゼが作戦会議をしていたなんて知らなかった。
次の日の朝。
「あれ…?みんなってもしかして起きるの遅かったりする…?」
食事場に向かってみるが、誰もいない。
このフロアには3部屋しかない。よって、私たち3人しかこのフロアには泊まっていない。
だから自然と食事場に集まるかと思っていたのだが、ほんとに誰もいない。物音ひとつしない。
1番に起きたのは私だったってことだね。
もう日が出ているし、孤児院ではこの時間が当たり前だった。
普通じゃなかったのか。通りでタウも朝は寝てたわけだ。
とりあえずリゼの部屋に行ってみよう。
ドアをノックする。
すると、眠そうな目で、リゼが出てきた。
「ん…?あ、アミ、おはよう」
起こしちゃったかもしれない。まあいっか。
「シン、起こしてきてよ。私は身支度して、食事場行ってるから」




