41.戦闘の授業3
模擬戦後の疲れからすごく眠れた。
私はものすごく爽快な目覚めを得て、上機嫌で戦闘の教室へと向かった。
「アミー!今日も!下でやるから!降りてきてー!」
教室に入ったと思ったら、校庭からものすごい叫び声が聞こえてきた。しかも私に向けた。
仕方がないから、また昨日と同じように降りる。風魔法は、自分で使った。
「明日からはこっちで集合しよう。じゃあ、今日の授業を始めるよ」
そう言って甘党先生は、小刀を取り出した。
「一応鞘はあるけど、使わなくてもいいと思う。ナイフの異世界版、みたいなイメージでいいかもね」
そう言って手渡された小刀は、ずっしりとした重みがあった。鞘まで重い。
「それはプレゼント。貰ってっていいよ」
あれか、めっちゃ高い学費はこれに使っているのか。ちなみに私は、学費を払っているということを、つい最近にリゼから聞いた。いつの間にか払っていてくれたようだ。
「でも、小刀の使い方、わからないんですよね……今まで小刀に比べたら大振りの武器ばっかり使ってたので」
私がつい不安を口にすると、甘党先生は胸を叩いてから親指を立てた。
「だーいじょうぶ!僕に任せておいて!今日……か明日ぐらいでは使えるようにしてみせるから」
甘党先生のこと、結構おじさんだと思ってたのに、言動がアレイス先生あたりと変わらない。違和感が大きすぎる。
「よし、まずは小刀の基本的な使い方を伝授します!」
先生はおそらく自分の物であろう小刀を取り出し、私の横に並んだ。
「これはねぇ……近くにいる敵に使うための物なんだ。まあ、言わなくてもわかるか。短いもんね」
こんなノリで甘党先生は永遠に話し続けるものだから、この授業はあまりにも長すぎた。多分、昼食を返上して私は授業を聞いて、実践をしていた気がする。
一応明日にこの授業内容を聞かれると困るから、復習はしておこう。
小刀は、近くの敵に使う。私の場合、サブ武器を弓にする予定だから、弓の距離ではないと思ったら、自ら近づいていくといいらしい。まあ、離れて弓の距離を作り出してもいいけど。
そして、こうも言っていた。
私は非力だし、小刀はそもそも、相手を一撃で殺すようなものではない、と。
だから、失血死させることを狙うべきらしい。失血などが存在しない魔物でも、受けた攻撃のダメージは蓄積されているだろうと言っていた。
そんな話は小2時間ほどした後、模擬戦が始まった。一応斬ることはできたが、全然ダメージにはなっていなさそうだった。コツがあるのだろうか。難しい。
模擬戦の途中で、私は気づいてしまった。小刀程度だったら両手に持てると。両手に持てば、攻撃も当たりやすいのではないか、と。
魔法は別に、小刀を握ったままでもできるし、何も問題ないのではないか。
そう言ったら、うーん、やってみる?ほんと、ナイフでもよかったかもしれない、と言われつつも、もう1本小刀をくれた。
やってみた結果、踏ん張りが効きにくい、つまり一撃が軽くなるのだと理解した。
でも、斬れ味がよく、失血を狙うようなやり方なのであれば、なしではないと思う。風魔法とか、身体強化で攻撃力を増すならなおさらアリだと思う。
てなわけで、私は小刀の二刀流という攻撃手段を手に入れた。
ちなみに、授業の結果は合格だ。
一応先生に小刀を当てられたのだから上出来だろう、と。
でも、これはタウのタイミングに従っただけなんだよね、悲しいかな。
合格してよかったというべきか、自分の力じゃないからなんか悔しいというべきか……。
もう疲れた。1日くらい休みたい。
この学院の制度、ほんとひどい。
『そのようにお考えになるのであれば、1日お休みになればよろしいのに……』
そんなこと言われたってさ、休みって……。
『どうです?そろそろ私の希望を叶えてくださってもよろしいのでは?主従交代の頃合いかもしれませんよ』
なるほど、それなら日にちは変わらないし、ありなのかもしれない。今はただ、休みたい。それだけだ。疲れた。
『明日から、卒業まで交代でどう?』
私がそう答えると、タウは作戦が成功した、とでも言いそうな勢いで、
『それでは、明日の朝より開始いたしましょう。本日はお眠りください。良い夢を』
『おやすみ』
意識はまどろみ、世界は暗転した。




