34.各属性の授業5
「でも、動けないです……」
カトリはしまった、という顔をしながら、考え出した。
「そうだな、10分後にテストの受付を再開するかた、しばし待ちたまえ」
全員に聞こえるような声で話し、私の隣に座った。
「すべての属性を持っているのか……。記録更新ではないか。しかもそれは常識が覆らない限り破られることのない記録だ。誇りだな」
しかし、私は話す元気も持ち合わせていない。
「そうだなぁ、10分話し続けるか。闇属性は便利なものでな、契約ができるならば大抵のことは困らないとも言えるだろう。また、光属性も便利だ。回復魔法に浄化魔法。だから、このふたつがある人間は重宝されやすい。我みたいにな」
自慢かよ。ってツッコめたらよかったのに。
「しかし魔法というのは奥が深くてな…」
そこから10分間、私が動けるようになり
「もう十分です、よくわかりました」
というまでひたすらにカトリは魔法について語っていた。
「それはよかった。なかなかに楽しい機会であった。あぁそうだ、試験は合格だ」
「ありがとうございました」
あー、なんか疲れた。
私は自室に帰ろうと廊下を歩いていた。
すると、廊下にぼうっとした光があった。
『タウ、なんか光ってるんだけど…』
廊下は暗くて雰囲気もある。結構怖い。
『そうですね、光っていますね』
私は歩き続け、自然と光に近づいていった。
本当は近づきたくないが、自室に帰るにはこの道しかない。
『ねえ、顔みたいなの見えるんだけど』
『攻撃の許可をいただけますか?』
おぅ、物騒な。
『ちょっと待ってて。もう少し様子をみるから』
それに近づくと、それは私に話しかけてきた。足がない、幽霊だ。
「お前の髪の毛も……奪う!」
か、髪の毛!?
「え、な、なんで?」
つい疑問を口にしてしまった。
するとなぜか話してくれた。
「オレは、風属性の授業の最中に事故を起こしたんだ……。転移魔法を使ったと思ったら、髪の毛だけが転移していた…」
なんとも面白いミスの仕方だ。
でも、笑ったらやばい気がする。
「その転移先は、近くで焼き芋をしていた焼き芋部のつけた火の上だった……オレの髪が燃えた…」
残酷な連鎖が起こってる。
「そして、それに動揺したオレは、間違えてオレの心臓を転移させてしまった……さっきと同じ、火の上に」
動揺の仕方を間違えている気がするが。
ちょっと面白い。
「だからカツラを作っているんだ!お前ら、生徒のなぁ!髪を一本一本奪って!」
すごい幽霊に出会った。
『攻撃の許可を』
『いいよ』
『〈清光〉』
そういった瞬間に、辺りは光りに包まれた。
幽霊は、跡形もなく、一瞬で消えていた。
『え、最大火力で放ったの…?』
明らかに、魔力の残量が少ない。
軽く700は使ったのではないか。
『はい、もちろん』
あっ、相当怖かったんだな、タウ。
ほんと幽霊とか人形とかが苦手な魔王様だ。
『では帰りましょうか』
こうして、七不思議が六不思議になった。
と思っていたのだが、光が校舎全域に広がっていたせいで、
突如現れた光の柱
が増えて新たに七不思議ができたのだった。
土曜日。世間一般は休みのはずだが、この学院に休みはない。夏休みと冬休みはあるけど。
土曜日、土属性の授業だ。
教室に入り、すでに十数人がいることに安心してからホワイトボードを読み出す。
土属性は、土魔法が主に使われて、土を生み出すものと、土を加工するものにわかれる。
だから今回の授業は、土で壁を作り出して人形から投げられる火の玉に当たらないようにするというものと、落とし穴を作って火の玉を打ってきた人形を落とすというものだ。
危ない気もするが、大丈夫なのだろうか。
しばらくすると先生が教室に入ってきた。
穏やかな感じの男性の先生だ。
灰色の髪に、金色の瞳の先生だ。
生徒が呼んでいた名前から、ゾウガという先生らしい。
「はい、席についてくださいね〜。ん?今日はテスト内容変えてるよ〜。だって、せっかくシオカ先生が帰ってきてるんだもん。回復魔法をかけてもらえばこの内容でも安全でしょ?」
なるほどね。それなら安全っぽい。
「今日はテストやめておこっかな…」
「だよね、危なすぎるでしょ」
あっ、危ないんだ。
でも、私はやるしかない。
いつも通り転移し、テストを受ける直前まで来た。
「よーし、じゃあこの人形が火魔法を放つから、タイミング良く無詠唱で土の壁を作ってね〜。それができたら、人形の動く先に合わせて魔法陣を使って落とし穴を作って〜」
ちなみに、横にはクリーム色の髪を持ち、黒色の目をした先生がいる。おそらくシオカ先生だろう。
「スタート〜!」
私に向かって火魔法が放たれる。
私は即座に土魔法を使って壁を作り出す。
おそらく火魔法が当たったのだろう、辺りが一瞬暑くなる。
そして、土の壁を消し、人形の動きを読む。
おそらく、まっすぐ動くだけだ。
魔法陣を描き、落とし穴を掘る。
人形が落下した。
「よし、合格だね〜」
「ありがとうございます」




