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「スキル????」  作者: 古来 冷翠
2.魔法学院編
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21.日記〜0〜

夜も更け、私たちは寝る準備を万端にした。

と言っても、私はまだ寝られないわけだが。

だって、タウから勉強するように言われているから。面倒だ。

そんなことを考えていると、いきなり部屋に、ドアをノックする音が響いた。誰かが来たみたいだ。


1番扉に近かったリゼが、外の様子を見に行く。


「アミ、レイさんがきてるよー。なんか、少し用事があるんだとか」


用事?何かあったっけ…。というか、私に聞くようなことがあるのか…?


疑問は大量に浮かんでくるが、とりあえず聞きに行けばすべてわかる話だ。


「はーい。ちょっと待っててー」


私は玄関に行く。

そこには、パジャマ代わりの浴衣の姿をしたレイがいた。


「どうしたの?」


私は問う。

その答えが返ってくることはなかった。


『お嬢様!逃げてください!』


タウの願いは届かず、レイの手は私に届くことになる。

レイは、私の胸に手を当てる。

そして、少し力を入れたかと思うと、私の体は動かなくなった。


えっ…なにこれ。

レイが、私に害を与えた、ということ?

だとしたら、私は今どうしたらいい?


『タウ!助けて…!』


『私には…どうすることもできませんね…これは。私の知らない何かだ…。とりあえず、応急処置を致します。しばらく、私に体を預けて』


タウに従うしかない。

私は体の力を抜く。

タウがどう動いたのかは知らないが、私が確実に言えるのは、目の前が真っ暗になったという真実だけだ。

最後に見えたのは、レイの静かな微笑みだった。







ここは…どこ?

目を覚まし、辺りを見渡す。

しかし、何もない。闇が広がっている。

私の体は、闇の中に浮いていた。


『タウ?いるの?』


私は呼びかけるが、反応はない。

タウもいないとなると…


『いますよ。でも、今は話しかけないでもらえると助かります。緊急事態なので』


あっ、いた。

ひとつ、安心できた。


しばらくしたら、話しかけてもいいのだろうか。

まあ、終わったら話しかけてくれるよね。

そう信じて、私は待つことにした。







約2時間後。

時計なんてないから大体の感覚だ。

何もなかったから暇で長く感じただけで、実際は20分ほどだったのかもしれない。


『お嬢様、一段落がつきました。現状を説明いたしますね』


タウが語ってくれたのは、なんとも言えない、疑問の残る話だった。




あの後、リゼやクウ、イソクは私を助けに来た。倒れる音がしたから、だそうだ。

そして、ベッドに寝かせてくれた。

レイはどうなったのか。

もちろん、リゼが放っておくはずもない。

追いかけた。隣の部屋も行った。

でも、見つけられなかった。

だからとりあえず、寝て明日を待とう。

そう事が運ばれたらしい。


タウはどう動いたのか。

まず、原因究明を図った。

すると、魔力が動いていないことを悟る。

おそらく、レイに魔力を放たれ、それによって固められている状態だ、と。

そうなると、生命活動を維持できる状態を作り出しつつ、その固まった魔力を少しずつ溶かしていく、というのが最適解になると考えたらしい。

魔力を溶かすのにかかるのは、約1カ月と半分。

そうなると、私は暇だ。

だから、闇属性の魔法である収納、その中に私を放り込んだ。

収納の中には、借りてきた日記もあるからちょうどいい、と。

その後、生命活動の維持のために、いろいろと頑張った。いろいろと。だから、緊急事態だった。

まあ、これが現状だ。




すべて聞いても、疑問しかない。

なぜこのようなことをしたのか。

収納の中にいるってどういうことなのか。

どうやって魔力を固めたのか。

でも、その解を聞き出すことはできなかった。


『私が、なんとかします。なのでお嬢様は、ゆっくりと本でもお読みください。私の読書時間の確保のためにも、急いで終わらせます。ここからは少し余裕がありそうなので、疑問は聞いてもらっても大丈夫です』


うん。そういう自分の目的のためってほうが安心できる。ちゃんと進めてくれそう。


『じゃあ、任せたよ』


『仰せのままに』


ここまで言ったタウは信頼していいと思う。

彼は、嘘をつかない。なんでって聞いたら、それが美しいからって言ってた。

だから、私は言われたことをする。



さぁ、650年前の世界へ。

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