3話
約1か月後、無人ドローンのプロトタイプが完成した。性能面での問題もなく、ドローンはデブリの回収作業を効率的に行うことが確認された。
「これで、回収作業もかなり楽になるね」
「はい、マスター。これで私たちの作業効率も向上します」
「ドローンに関してなのですが単体運用ではなく積載量を多くとってオーガ4体のチーム運用にしようかと思っています。というのも即席で作ったオーガチームですが予想以上に効率的なのです」
とパラケルススは悠斗とハルに提案する
「分かったじゃあそれで進めて行ってくれ」
最終的にはドローンを回収する輸送艦などもあったほうがいいので検討して欲しいとの事だった
パラケルススの助言もあり悠斗は次のステップとして輸送艦の開発に着手することを決意した。資源の効率的な運搬とさらなる探索のためには、信頼性の高い輸送手段が必要だったからだ。
「ハル、輸送艦の設計に取り掛かろうと思うんだけど、何かアドバイスはあるかな?」
「もちろんです、マスター。まず、基本的なフレームから始めましょう。そして、十分な貨物スペースと防衛システムを組み込むことが重要です」
悠斗とハルは設計図を作成し、必要な素材をリストアップした。ゴブリンたちは引き続き採掘作業を行い、リッチとコボルトは資源の精錬と加工に努めた。これらのリソースを使い、輸送艦の基礎部分の組み立てが始まった。
「まずは船体のフレームから始めよう。これがしっかりしていないと、後で問題になるからね」
悠斗は慎重に作業を進め、ハルのアドバイスを受けながらフレームの強度を確認した。フレームが完成すると、次に貨物スペースと居住区を設ける作業に移った。
「防衛システムも忘れずに組み込もう。敵の襲撃に備えて、最低限の武装は必要だ」
「了解しました。防御用のシールドジェネレーターと、小型の魔導レールガンを設置しましょう」
「ハル、この輸送艦には有人ドローンを搭載したいんだけど、どう思う?」
「いいですね、マスター。有人ドローンを4機搭載し、それぞれのペイロードは通常の4倍はいけますね」
悠斗は設計図に有人ドローン用の格納庫を追加し、オーガ4体を乗せることができるスペースも確保した。これにより、ドローンの機動性は下がったが運搬能力が大幅に向上することが期待された。
試運転と改良
輸送艦の基礎が完成すると、悠斗は試運転を行うことにした。初めての運転は緊張の連続だったが、ハルのサポートもあって順調に進んだ。
「問題なく動いているようだね。ハル、何か気づいたことはある?」
「一部のシステムが過負荷になりやすい点がありますが、全体的には良好です。改良を加える必要がありますね」
試運転の結果を基に、悠斗はさらなる改良を施した。エンジンの出力を調整し、防御システムの強化を図った。また、航行の安定性を向上させるため、バランサーの追加も行った。
数週間の作業の末、輸送艦はついに完成した。艦内には広々とした貨物スペースと快適な居住区が設けられ、防衛システムも万全だった。また、有人ドローン4機も完璧に搭載され、ペイロードも4倍の効率を発揮できるようになった。
「これで、資源の運搬も安全に行えるし、探索もより効率的に進められるね。量産する為の準備に入ろう」
輸送艦の完成により、悠斗とハルの活動は一層広がりを見せていた。次なるステップとして、彼らは製造ドッグの開発に取り掛かることを決意した。これにより、さらなる艦艇やドローンの製造が効率化され、彼らの戦力が飛躍的に向上することを期待していた。
「ハル、次は製造ドッグを作ろうと思うんだけど、どうかな?」
「わかりました、マスター。製造ドッグがあれば、大規模な製造や修理が可能になりますね」
ハルは製造ドッグの設計図を作成し、必要な素材と装置をリストアップした。まず、製造ドッグのフレームから作り始め、次に製造ラインと修理用の設備を整えていく。
基礎工事
ゴブリンたちはフレームの組み立てに取り掛かり、オークやオーガは重い部材を運搬して基礎工事を進めた。リッチとコボルトも作業に加わり、彼らの魔法と知識を駆使して精密な部分の組み立てを担当した。
「ここに大型のクレーンを設置しましょう。これがあれば、大型艦の部品も簡単に移動できます」
「了解しました、ハル様。クレーンの設置は任せてください」
ハルの指示に従うオーガのリーダー
フレームが完成すると、次に製造ラインの設置に移った。自動化されたラインは、様々な部品を迅速に組み立てることができるように設計されていた。また、修理用の設備も整え、故障したドローンや艦艇の修理が迅速に行えるようにした。
「この製造ラインなら、大型艦も短期間で製造できそうだね」
「はい、マスター。さらに、修理設備も充実させましたので、戦闘で損傷した艦艇もすぐに修理できます」
製造ドッグが完成すると、初期稼働を行うための準備が整った。悠斗は最初のテストとして、新型のドローンを製造することにした。
「まずはドローンの試作機を作ってみよう。これがうまくいけば、大規模な製造も問題ないはず」
製造ラインが動き出し、次々とドローンの部品が組み立てられていく。その速度と精度に、悠斗は感動を覚えた。
「これならどんな艦艇も製造できるね」
「はい、マスター。これからは戦力の増強も迅速に行えます」
製造ドッグの完成により、悠斗とハルの基地はさらに強力になった。彼らは新たな目標に向けて、次なる挑戦を始める準備を整えた。
「これからは、この製造ドッグを活用して、さらなる戦力を整えていこう。次の目標は何にしようか?」
「まずは防衛力の強化を優先しましょう。宇宙海賊を掃討してからその後、探索範囲を広げて新たな資源を見つけることが重要です」
「了解。それじゃあ、次は戦艦だね。戦艦って響きだけで、やっぱり胸が躍るなぁ」
「製造するとしたらフラッグシップですか?それとも輸送艦の護衛艦クラスですか?」
悠斗はフラッグシップの製造か、輸送艦の護衛艦隊の製造か、どちらを優先すべきかで悩んでいたのだ。
中央指令室
「エルダーリッチは、製造ドッグが完成したから次はフラッグシップを作ろうか、それとも輸送艦の護衛艦隊を作るべきかな?」
「どちらも重要ですが、現在の資源状況と今後の計画を考えると、まずは護衛艦隊を整えるのが賢明かと思います。輸送艦を守るための防衛力を強化することが、長期的な利益につながるでしょう」
「そうだね。護衛艦隊を整えて、輸送艦の安全を確保しつつ、資源の輸送効率を高めるのが先決です」
エルダーリッチにパラケルススも同意したので間違い無い護衛艦にしようと悠斗は決めた
エルダーリッチにパラケルススは護衛艦隊の設計図を広げ、どのような艦艇を製造するかを決定した。迅速な対応が求められるため、複数の小型で機動力の高い艦艇を製造することにした。
「まずは、機動力のある駆逐艦を数隻製造しよう。これなら敵の奇襲にも迅速に対応できる」
「そうですね。駆逐艦の設計図を基に、必要な素材と装置をリストアップします」
設計図のメイン機関は小型化に成功した魔道エンジンだった。ただ出力が落ちているのは耐久面などから致し方ないことではあった。
機動性を優先しつつもマナトーピードと魔導レールガンもあるので武装面は問題ない
魔導エンジンが搭載できたことによってマジックシールドジェネレーターも積まれているので防御面も問題ない
製造開始
製造ドッグが稼働し、駆逐艦の製造が始まった。ゴブリンたちは細かな部品の組み立てに、オークたちは重い部材の運搬に従事し、リッチやコボルトも魔法を駆使して作業を効率化していった。
「ハル、駆逐艦の製造は順調かな?」
「はい、マスター。順調に進んでいます。製造ドッグの性能が発揮されており、予定通りに進んでいます」
数週間後、駆逐艦が次々と完成し、護衛艦隊としての初期配備が整った。悠斗は新たに完成した艦艇を確認し、その性能に満足した。
「これで護衛艦隊の第一陣が整ったね。これなら輸送艦の安全も確保できる」
「はい、マスター。この護衛艦隊があれば、宇宙海賊程度の攻撃にも迅速に対応できます」
今回の輸送艦隊は元のデータバンクにあった廃棄された資源衛星に向かわせることにした。
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