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悪女と言われ婚約破棄されたので、自由な生活を満喫します  作者: 水空 葵
第2章

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78. 離れていても

「待たせてしまってごめんなさい」

「お忙しいのは分かっていますからお気になさらないでください!」


 時間に少し遅れてしまったことを謝ってから席に腰を下ろすと、侍女さん達から優しい声がかけられる。

 どこかのマハシム公爵家では、少し遅れるだけでびっくりするくらい激怒されて、熱々のお茶をかけられたこともあったわね。


 原因はジャスパー様だったけれど、痛い目に遭ったのは私だった。

 咄嗟にマハシム公爵夫人に火魔法を放たなかったあの時の私を褒めてあげたいわ。


「ありがとう」

「とりあえず、冷める前に始めましょう!」

「ええ、そうね!」


 侍女達に促されて、食事を始める私。

 いつも通りの明るくて楽しい夕食。グレン様が居ないから少し寂しいけれど、これくらい我慢できる。


「奥様、最近領内で銀鉱脈が見つかったことはご存知ですか?」

「初めて知ったわ。どの辺で見つかったのかしら?」

「スレスレグの近くでございます」

「どの辺りかしら?」


 執事さんの言葉を聞いて、頭の中でカストゥラ領の地図を広げてみる。

 ……あったわ。スレスレグは三つの町で描ける三角形の真ん中あたりにある大きな村で、素手でも魔物と渡り合えるような強い人たちが多いらしいという知識はあるけれど、それだけだ。


「……思い出したわ。でも、どんな村なのかは知らないの」

「素手でも魔物と渡り合える屈強な(おとこ)が多いことはご存じですか?」

「ええ、それは知っているわ。でも、それしか知らないの」


 そう口にすると、半分くらいの侍女さんが同意するように頷いていた。

 みんな強い人がたくさんいることだけは知っているみたい。


「それに加えて、剣山のように地面から突き出しているる断崖絶壁に囲まれている地形なので、馬車で村に入ることはできません。

 一人分の幅がある登山道はありますが、足を滑らせたらお(おしま)いです」

「そんなに危険なのね……」


 私には風魔法があって、ブランが連れて行ってくれるから困らないとは思うけれど、断崖絶壁になると中々立ち入れない気がするわ。


「はい。ですが、魔物の襲撃があっても絶対に被害を受けません。

 そういう意味では、ここよりも安全な場所です」

「銀はどの辺りから見つかったのかしら?」

「その崖に沿って、です」

「採掘は危険ね……。その銀は諦めましょう」


 神鉄(ミスリル)のために喉から手が出るほど欲しいけれど、誰かを危険に晒すことなんて出来ない。

 どうしても必要になったら、私が自分の手で採れば良いのだから無理する必要も無いと思う。


「諦められるのですか? 奥様なら魔道具の力で何とか出来そうですが……」

「魔道具は確かに便利だけれど、完璧では無いから過信は良くないの。

 もしも空を飛んでいる時に魔力切れを起こしたら、大変なことになってしまうわ」


 空を飛ぶための魔道具は魔力の消費も大きいから、貴族でも扱いが難しいのよね。

 そもそも、高いところを怖がる人が多いから、魔力の問題を解決出来たとしても難しいと思う。


「そこまで考えていませんでした……」

「だから空を飛ぶための魔道具を作るつもりは今のところ無いわ」

「でも、奥様は風魔法で軽々と飛んでいましたよね……?」

「一年くらい毎日練習して、ようやく出来るようになったのよ。

 それまで、何回も死にかけたわ」


 難しいことは身をもって経験しているから、人に勧めるなんて絶対に出来ないわ。

 あの時は防御魔法をかけていたのに大怪我だったのよね。


「……奥様でなければ修得する前に命が持ちませんね」


 練習をしている時のことを思い出していると、なんとも言えない視線を向けられてしまった。

 みんなも頷いているから、間違いは無いと思うけれど……。




   ◇




「ブラン、さっき言ってた千里眼について教えてもらえるかしら?」


 夕食を終えて私室に戻った私は、離れているところの様子を見れるという千里眼の魔法について尋ねた。

 この魔法があればパメラ様の様子をここからでも見れるというから気になるのよね。


「魔法陣を描けばいいのかな?」

「うん。それで大丈夫よ」


 ペンと紙はカチーナが用意してくれたけれど、ブランの足では上手く書けないと思うのよね……。

 本当に描けるのかしら?


 心配に思っていると、テーブルの上のペンが勝手に動き出して、滑らかな動きで魔法陣を描き始めた。

 ペンからはブランの魔力を感じるから、これも魔法みたい。


 でも、風魔法でも水魔法でも無いから、どんな魔法を使っているのか想像が出来ないわ。

 離れていても自由自在にものを動かせたら、重い物だって楽に運べるから、千里眼よりもこの魔法の方が気になってしまう。


「こんな感じだけど、分かるかな?」

「大丈夫よ。こうすれば良いのかしら?」


 試しに、玄関の方に手を伸ばして、魔法を使ってみる。

 千里眼の魔法は人を追いかけるものではなくて、自分の居場所から方向と距離を決めて使うものだから、誰かを追いかけるのは難しそうだ。


「場所は分かっているのかしら?」

「意識すれば見ている場所の魔力も感じ取れるから、それで追いかけるといいよ。

 多分、パメラの家にいると思うから、そこに近付けてみて」

「分かったわ」


 返事をしたのは良いけれど、王都はそこそこ広いから、探すのも大変だわ。

 でも、パメラ様の魔力は分かりやすくて、五分もかからないで見つけることが出来た。


 確かにブランが言っていた通り、面白いことになりそうだけれど。

 この状況は地獄絵図の方が正しいと思ってしまった。

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