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赤さん産むと色々大変なのですが、幸せそうな話ばかりなので、リアルにエグイ話をしてみようかな。

双子以上は偉大だと骨身に染みた件

作者: 青い時計


 少し大きくなった乳飲み子は、1回に飲む量が半端ないです。

 1回で200ml以上飲むようになります。冗談抜きで吸われていると片乳がしぼみます。

 サイズは置いておいて、吸われる前がメロンやスイカの丸さとすると、吸われた後は萎びたナスのようです。しおしおです。

 「あれ? 胸肉全部液体になった?(怖」と戦々恐々とします。


 さて、私は一度に1人しか産んだことがないのですが、姉妹の子が3日違いです。これ前提。


 遠方の実家に行きました。なかなか行けませんで子供たちは初対面でした。どちらも1人で座れるか、ギリギリつかまり立ちできる程度のサイズです。まだ日本語は話せません。こちらから話しかける内容が分かっているような分かっていないような、記憶が定かではないのですが0歳6~9ヶ月頃だと思われます。


 乳幼児2人が仲良く遊び初めまして、それを見た姉妹が「髪を切りに行きたい」と言いました。


 分かります。乳幼児連れで美容院って行けないんですよね。

 だってミルクを飲むし大小便をおむつにするし、大便は普通に臭いです。そして泣きます。

 近所の買物すら気を遣うのに美容院とか無理です。


「卒乳してるから麦茶で大丈夫」


 そう言って彼女は出かけて行きました。ド田舎なので車でないとどこにも行けません。親が運転手としてついて行きました。


 残ったのはふよふよした子供2人と私です。この頃は子供の速度がナマケモノレベルです。木からぶらさがっているあの動物です。遅いです。ですので脱走の心配もありません。機嫌よく遊んでいるので問題なかろうと思いました。



 さてさて、どこまでカットに行ったのやらと訝しむほど時が経った頃、姉妹の子がズリズリと麦茶の哺乳瓶に進んでいきました。もう面倒なので”いとこ”とします。


 そうだよね。のど乾いたよねと持ち手付きの哺乳瓶を口に持って行くと自分で持って飲み始めました。


 おおお。自分で持てるなんて凄いな。結構重いぞ? と思っていると自分の子が(おっ)ぱいクレになったので、座って与えました。


 麦茶を飲みつつ何気なくこちらを見たいとこの顔は忘れられません。

 哺乳瓶越しに目がカッと開いていました。


 そしてやおら哺乳瓶を取り落とすとフラフラとこちらから遠ざかる方向にさまよい始めました。


 えっ? どした? どうした? 大丈夫?? と口から出つつも授乳ですぐに動けない。

 急いで我が子の口ロック(赤子が母乳を吸うときは乳首周辺の肉ごと口の中に引き込み、上あごと下あごで乳をロックしているかのごとく吸います。コツが分からない人には口を乳から外すことができません)を外そうとするも何故かなかなか外れない。薄目を開けていとこを確認すると目を閉じて本格的に飲みだす始末。


 そうこうするうちにいとこが「うわーんうわーん」と”うわーん”のお手本のような泣き声をあげながらジグザグに部屋を行ったり来たりし始めました。全然泣き止みません。


 あっけに取られつつ「の、飲む?」と冷や汗を垂らして言ったところ、すーっと直進して来てがぶりとなりました。当然乳にです。


 一瞬にして「半日居たけどずっと母乳やミルク吸ってなかったよね」とか、「姉妹の断乳の苦労が水の泡になったらどうしよう」とか、「そもそもよそ様の子に母乳あげちゃってる。やばいやばいやばい」などが頭をよぎりましたが、もう飲んでしまっているのでどうしようもありません。


 せめて気管に入らないようにしようといとこを抱いたところ右側にいた我が子がチラッと左を見ました。そしてゆっくり手を伸ばします。


 ああ、近くにいとこが来たから触りたいのかなとほほえましく見ていたのですが、どう見ても指がいとこのほっぺにめりこんでいきます。そしてそのままどんどん押しています。

 子供なので加減ができないのかなと思いそっと手をのけたのですが、また手が伸びてきます。

 口は食事中なので無言なのですが、薄目を開けていとこをひたと見据えながら足まで伸ばしてきました。どう見ても排除しようとしています。


 えっ。ウチの子こんなに好戦的だっけ!?と思っているといとこも手を伸ばしてきました。そして指はウチの子のほっぺへ。


「え? ちょっと仲良くして!?」


 当然全く聞いてくれません。ナマケモノスピードですがどちらも相手をぐいぐい押しやろうとします。

 腕で赤子の頭を持ってお腹のあたりで赤子のおしりと足を支えているのにぐいぐいぐい。

 お互いクロスカウンターが決まったボクサーのような顔になっていますが激しい縄張り争いのごとく一歩も引きません。母乳はごくごくと飲み続けています。


 ちなみに、ご存知か分からないのですが、人間の胸は人体の前面についております。つまり赤子が乳を吸ったまま相手と距離を取ろうとすると乳が左右にみょーんと引っ張られて痛い事この上ないです。

 ちょっと待って! 乳首が肩より外側(体感)に行っちゃってる! ちぎれるちぎれる!! ってなります。縄張り争いの一番の被害者です。


 しかもお互い負けまいとしてか意地でも乳から口を離さない。


 無理無理血が出る肌が破れると思うのですが、両手で赤子を抱いているので改善することができない。

 月齢的に8~9kgだと思われますので持ったまま立ち上がる事もできない。口ロックも外れない。


 仕方なくお互いの視界に入らないように頭を乳と肘の内側でキープしておけつを手のひらに載せた状態で腕の位置を上下に分けて飲ませました。手がぷるぷるするし上下でも乳はそれなりに痛い。

 完全にコサックダンスのポーズです。


 戻ってきた姉妹が笑いすぎて床にうずくまっていました。そんなことはいいから早く助けて。



 これを毎日やっているであろう双子ちゃん以上を見ると、しみじみお母さんを尊敬してしまいます。

 あ、そうそう。赤子たちの張り合いの結果か、両乳は未だかつてなくしおしおになりました。




……って、知り合いが言ってました。


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― 新着の感想 ―
[一言] うちは人工乳だったため、 その手の苦労話は馴染みがなく おそらくここで哨戒されている事態が起きている当時は 大変だったんだろうな、 と分かりつつも この文章表現に、笑みを浮かべずにはいられ…
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