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人はみな死んでしまう

 腎臓移植は成功した。でも、結局その後、よりちゃんはあっさりと死んでしまった。

「・・・」

 よりちゃんのまだ若い小さな遺体が、今私の目の前にある。それは、生きることの止まった、白く冷たい体だった。

「・・・」

 人はかんたんに死んでしまう。あまりにもろく儚いその存在を感じた時、生きていることの意味と人生の目的が分からなくなる。

 ちょっと前まであんなに元気で夢と希望にあふれていたよりちゃんが、気付けばもういない。私の目の前で、私の頭の中で、笑ったり、しゃべったり、泣いたり怒ったり、文句を言ったり、我がまま言ったり、喚いたり、よりちゃんは確かに生きていた。確かに存在していた。でも、今はもういない・・。

 みんなそうだった。みんな死んでしまう。兄も、唯も、シヴァも、旅で出会ったあの五体投地の親子も、そして雅男も・・。

 みんなかんたんに死んでしまう・・。人はかんたんに死んでしまう。大切な存在であるのに、でも、人はかんたんに死んでしまう。あまりにもろく儚くあっけなく、人は死んでしまう・・。

 

 葬式には、今AV男優として一世を風靡して大忙しの和尚さんが来てくれた。

「なんで人は死ぬんですか」

「知らん」

 私たちは二人並んで、よりちゃんの棺の前に座っていた。調べると本当によりちゃんには身寄りが一人もいなかった。

「なんか唯のお葬式思い出しますね」

「そうだな」

 二人でよりちゃんの棺を前に座っていると、自然と唯のことが思い出された。

「和尚さんはなんであの時、インドって言ったんですか」

「夢のおつげでな」

「そうなんですか」

 驚いて私は和尚さんを見る。

「嘘だ」

「そんな嘘要りませんよ」

 私は顔をしかめる。

「でもよかっただろう?インド」

「う~ん、どうだったんだろう」

 私はカティとその家族の事を思った。私が彼女たちを不幸にしてしまった・・。

「全ては因果だ」

「因果?」

「そうだ。因果の流れだ。流れがあるんだそういう。お前はその流れに乗って、インドへ流れていったんだ」

「運命みたいなものですか?」

「違う、因果だ。宇宙創成から始まり、ありとあらゆる事象の果ての結果としての今だ」

「壮大ですね」

「お前が今ここにいるのも、お前の意思じゃない。お前の因果の流れの帰結だ」

「・・・」

「お前がインドへ行ったのも、ここにこうしているのも因果だ。お前が背負う因果の流れの一時だ」

「因果・・」

 私は私を生きながら、しかし、私じゃない何かに流されている。

「・・・」

 私の因果はこれから私をどこへ連れていくのだろう。私は思った。

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